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第1話(3)

 訓練の日々(3)

 当時、ミサイル艇は世界的に見ても、新しい艦種だった。
艦対艦ミサイルの性能が十分実証されていないこともあり、イスラエルの同盟国、アメリカでも開発は進んでいなかった。

 しかし、東西冷戦のただ中、強大なアメリカ海軍に対抗するため、ソ連は熱心に開発を進めた。
そして、空母のような大型艦にも打撃を与えられるミサイル艇を完成させた。
ソ連の同盟国、エジプトとシリアにもミサイル艇は供与され、イスラエル海軍及び海運にとり、大きな脅威になっていた。

 イスラエルも急ピッチでミサイル艇の開発を進めた。

 最初は、船体をフランスから強引に搬出して整備し、後には独自に開発した。
ミサイルも中東の状況に合うよう、大型艦ではなく、小さな艇をターゲットにできるミサイル、“ガブリエル・ミサイル”を開発した。

 アミルが入隊したのは、これらのハードウェアをどう使いこなして敵を制圧できるか、の試行段階の時だった。

 「アレックス・ライアカス、アミル・メランキ、ハガイ・マタール、ミサイル艇隊に着任しました!」
「我がミサイル艇隊は誕生したばかりの新しい隊だ。」
「諸君らの若い頭脳と肝っ玉を必要としている。しっかりやれ!」

 午前中座学、午後訓練の厳しい日々が始まった。
操船、甲板作業、機関監視、機関砲操作、ミサイル整備、電子装置操作 --------- 。

 3人はミサイル艇“ヘレプ(剣)”への乗船が決まった。

 エレル艇長に配属の報告に行く。
「ミサイル艇では、乗員一人の気の緩みが、艇の破滅を招く。」
「常に全力で当たることを要求する。」

 「乗員55名は一つの家族のようなものだ。我が艇では、将校、下士官、兵とも、ファースト・ネームで呼び合っている。」

参考図:「激突!ミサイル艇」、アブラハム・ラビノビッチ、原書房、1992
     
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