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第2話(1)

 “エイラート”被弾(1)

 1967年10月、イスラエルのミサイル艇隊誕生のきっかけになった事件が起こった。

 イスラエルの圧勝に終わった第3次中東戦争停戦から4ヶ月後、エジプトのポート・サイド沖の公海上で、イスラエルの駆逐艦“エイラート”が、エジプトのミサイル艇から発射されたミサイルにより撃沈されたのだった。

 “エイラート”に乗っていた、今は予備役のトビク元中尉がアミルらミサイル艇隊員の前で講演した。

 「我々はイスラエルの存在を誇示するため、エジプトの領海ぎりぎりの公海上を航行していた。」
「エジプトが敗戦の屈辱を晴らすため、何かしでかすかもしれない、という不安は常に持っていた。」

 果たせるかな、あの日の日没前、
「緑色ロケット!右舷!」
ブリッジから見ると、港のある黒々とした陸地から、明るく輝く緑色の光が飛び上がった。すぐにその光はオレンジ色に変わり、水面上を猛スピードで突っ込んできた。

 「警報!」

 水兵達が駆け足で戦闘配置につく。
「前進一杯!取り舵一杯!」
回頭して船尾をミサイルに向けるのだ。
「司令部に通報! 我、ミサイル攻撃を受けつつあり!」

 ガガガガッ
右舷の20ミリ連装機銃が吠え始めた。
数秒後、右舷側で大爆発が起こり、中尉らは壁に叩きつけられた。

 「被害状況を報告せよ!」

 応急チームを引き連れて右舷に行くと、舷側外板が大きくめくり上がり、紅蓮の炎が数メートルの高さに吹き上がっている。
機関室のボイラーもやられたらしく、熱した白い蒸気に行く手を遮られる。

 ここかしこに死傷者が横たわり、目を覆うような惨状だ。
負傷者は重い火傷を負っている者が多い。

 最初の爆発から数分後、今度は左舷側で大爆発が起こった。

     
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