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第3話(2)

  ラザフォードからの手紙(2)

 開戦翌年には、私も軍務に就くことになった。
砲兵隊将校とて西部戦線に赴いた。

 戦線は膠着し、大砲と機関銃による大量殺戮の場と化していた。
“科学技術の発達も使い方を誤れば、人類に大きな災いをもたらす。”

 私は砲兵隊観測隊長として参加したヴェルダンの戦いで、砲弾の破片を受け負傷した。


 ベルリンの病院で、コペンハーゲンにいるボーアを介し、ラザフォードからの手紙を受け取った。

   親愛なるガイガー君へ

 君のチャドウィックへの配慮には深く感謝します。
この忌々しい戦争が一日でも早く終わるよう祈りましょう。

 ところで、君に知らせたいニュースがあります。
私は原子核の存在を見つけたが、その周りを回る電子の運動に関しては、明確な考えを持っていませんでした。

 私のところで研究している、デンマークからやってきたボーアがそれを解明したのです。
彼の提案した原子モデルはこうです。

 【電子は原子核の周りを安定軌道と呼ぶ離散的な軌道上を回っている。
外側の軌道にいた電子が何かの原因で内側の軌道に移ったとき、軌道間エネルギー差の光を放出する。】
 
 このモデルなら、原子核とその周りを回る電子群が力学的に安定して存在していることを説明できます。

 軍事研究の合間に(実際はその逆ですが)研究を続けています。

     旧友の無事を祈って 
        アーネスト・ラザフォード        

 私は、原子の研究が外の世界では進んでいることに焦りを覚えた。

 参考図:「アーネスト・ラザフォード」、ハイルブロン、大月書店、2009
     
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