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第2話(1)

 ティコとケプラー(1)

 ハンスがウラニボルク天文台に来て、1年がたった。
火星の他、白っぽい小さな水星、明るく輝く金星、灰褐色の大きな木星、乳白色の土星などの観測も行った。

 観測の仕方、星空の様相が少しはわかるようになり、自分の役割に面白味を感ずるようになった。


 そんなある日、ティコが血相を変えて王宮から戻ってきた。

しばらくして、事の顛末が皆の耳に入ってきた。

 「今まで天文台を支えてくれた国王フレデリック二世が亡くなられ、クリスティアン四世が国王になられたんだ。」
「ところが今度の国王は天文観測に興味を示さず、この天文台への支援は先細りになってしまった。」
「ティコと国王の関係も悪くなり、とうとうこの天文台を閉鎖することになったようだ。」


 上を下への大騒ぎになった。
多くの観測装置が解体され、観測資料と一緒に馬車に積込まれた。
ティコを援助してくれそうなドイツの諸侯を頼っての移動だと聞かさせた。

 先行きに不安を感じた多くの者がやめていった。
良くしてくれたインゲマンも、その一人だった。
「家族を連れて外国には行けない。残念だがね。」
「私はもっと星の観測がしたいので、ティコについて行きます。」
「ドイツではゴタゴタが続いている、気をつけてな。」

 参考図:「図説 神聖ローマ帝国」、菊池良生、河出書房新社、2009
     
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