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3-3

 より強力なロケットを!(3)

 各部門では、同じテーマを2つのチームに与え、競わせた。

 ロケットの誘導制御には2つの方法が考えられる。
一つは慣性誘導システムであり、もう一つは電波誘導システムだ。

 ワシリエフは慣性誘導システム開発のチームに入った。
「慣性誘導システムの方が、実績があり、熱や振動などの環境変化に強い。」
「いや、電波誘導システムの方が、軌道修正が容易で、目標到達精度も高い。」

 結局、電波誘導システムの方は、ソ連のエレクトロニクス技術がまだ不十分ということで、採用されなかった。

 ロケット・エンジン部門では、グルーシュコのチームが新しいエンジンRD-101、続いてRD-103を開発し、ロケットの推力を向上させた。

 制御部門でも、R-1の水平ジャイロ、垂直ジャイロにかわり、回転型ジャイロを開発し、より信頼性を高めた。

 また、新材料の開発や推進剤タンクの外側を、そのままロケットの外殻とすることにより、ロケットの大型化、軽量化と推進剤量の増大を可能にした。


 いよいよ、射程1万キロメートルの大陸間弾道弾(ICBM)の開発、その先にある、宇宙への人工衛星打ち上げの道筋が見えてきた。

 しかし、ここで難関にぶつかった。
エンジン1基の出せる出力が、限界に近づいていたのである。

 そこで考案されたのが多段式ロケットで、ロケットを積み重ね、1段目のエンジンが停止したとき、2段目のエンジンを点火する方式だ。

 さらに1段目に同種のエンジンを束ね、出力を大きくする。

 「これは良い方法だ。さらなる大型大出力のエンジンを開発する必要がなくなる。」
「しかし、エンジンを同期させて、同じ出力を出させるのは難しいぞ。」
「ロケットの重量も増えるだろう。」

 参考図:「スプートニク」、ジョアン・フオンクベルタ、筑摩書房、1999
     
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