gooブログはじめました!

第3話(3)

 ミサイル、撃て!(3)

 敵ミサイル艇の探知が遅れた。
レーダー画面上で、ミサイル艇の映像が陸の映像に隠れてしまったのだ。

 上甲板の監視兵が、水平線上に弧を描いて昇る3個の火の玉を発見した。
それらが、自分たちに向かって急速に近づいてくる。
「ミサイル!」

 艇は飛び上がり、ミサイルを避けるため急激な運動を始める。
チャフ・ロケットが打ち上げられ、白い雲となる。

 ECM(電子対策装置)が作動し、ミサイルに対し、そのミサイルの発信電波と同じ波長、周波数の電波を送り返す。
敵のミサイル艇が装備していない新兵器だ。

 恐怖の2分間。

 機関砲が火を吐く。
アミルは身を縮め、衝撃に備えた。
“神よ!”

 艇の近くで大爆発が起こり、船体が震える。
「外れたぞ!」
安堵の声が上がる。

 「ミサイル戦用意!!」
シリア軍ミサイル艇は3隻だ。
一直線にこちらに向かってくる。

 敵は相対距離30キロで第2弾を発射した。
味方のミサイル艇はジグザグ航走に切り替える。
敵ミサイルの射程距離は40キロあるが、味方ミサイルの射程距離は20キロにすぎない。
敵に肉薄するより勝ち目はない。

 続けて敵はミサイルを撃ち込んでくる。

 数十秒後、敵のミサイル群が襲いかかってきた。
一発はチャフの雲に突入し、海中で爆発した。
もう一発は、黒いサメのような姿で、艇の頭上を飛び去る。

 相対距離が20キロ近くになったとき、敵のミサイル艇は南に回頭を始めた。
追跡する。

 相手との距離が17キロになった。

 「お返しだ。ミサイル発射!」
艇のもう1基のミサイル容器から、ガブリエル・ミサイルが轟音を上げ、飛び出す。
それが敵を捕捉し、ホーミングに移った1分後、アミルは発射ペダルを踏み込み、新しいミサイルを相手に送り込んだ。

     
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「ロック・オン」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事