(原文)
Chapter ⅩIII The Navy in the Invasion of France( 1944 )
70.
Vast, unprecedented, was the press of shipping. From Felixstowe on the North Sea, around the South Coast to Milford Haven in Wales, English harbors were crowded with ships. By 3 June almost every vessel assigned to cross on her own bottom-and there were 931 of them for the American beaches and 1796 for the British-was in her assembly port awaiting the word to go.
Would the capricious June weather of northern Europe allow it to go? Forecasts on Saturday June 3 were unfavorable, even alarming. By 0400 Sunday, when Eisenhower met the generals and admirals at Southwick House, it seemed hopeless. The Supreme Commander then postponed D-day from the 5th to the 6th of June, and vessels which had already started were recalled. At 9 o’clock Sunday evening all top commanders met in Southwick House. The weather chart still looked foul, but the staff meteorologist predicted moderating wind and sea for the 6th. If D-day were postponed further, it would have to be postponed for two weeks, when the tide would be right again for landing; that would never do. So, one hour before midnight 4 June, orders were issued to all ships of both Navies to sail to meet a 6 June D-day, and, at 0415 June 5, General Eisenhower made it definite with the laconic order: “O.K. We’ll go.”
(訳)
第13章 フランス侵攻での海軍( 1944年 )
70.
船団の密集した様は広大で空前絶後だった。 北海のフィリクストウからウェールズのサウス・コースト付近からミルフォード・ヘブンにかけて、イギリスの港は船で埋まっていた。 6月3日までに地図に所在地を示されたすべての船舶は、出撃の合図を待ちながら集結港にいた。 それらの内、931隻はアメリカ軍の、1796隻はイギリス軍上陸の浜辺をめざす船だった。
北ヨーロッパの不安定な6月の天候は上陸作戦を許すだろうか。 6月3日土曜の天気予報は歓迎すべきものでなく、むしろ不安にさせるものだった。 日曜の4時、アイゼンハウアーがサイスウイック・ハウスで将軍や提督と会合している時、天気は望みがないように思われた。 それで、総司令官はDディを6月5日から6日に延期した。 そして、すでに出航していた船は呼び戻された。 日曜日の午後9時、すべての上級指揮官達がサウスウイック・ハウスに顔をそろえた。 天気図では、まだ悪い状態のように見えた。 しかし、気象学者の参謀は、6日には風と波は和らぐと予測した。 もし、Dディがさらに延期されたら、潮汐が上陸に再び良くなる2週間後までも延期せねばならなかったろうし、そんなことはできなかったろう。 そこで、6月4日真夜中の1時間前、両国海軍の全艦船に6月6日Dディに集結するよう出航せよ、という命令が発せられた。 そして、6月5日4時15分、アイゼンハウアー将軍は明確で簡単な命令―“オー・ケー。 さあ、行くぞ!”を下した。
(注釈)
上陸には穏やかな海象状況のほかに、2つの気象条件が必要であった。 一つは空挺部隊が発見されにくいため、月の出が遅いことだった。 もう一つは、上陸部隊にとり危険な水中障害物が目視できるように、干潮が夜明け直後に起こることだった。 この2つの条件を満たす月日は、6月5,6,7日を逃すと2週間後になった。
〔参考文献:コーネリアス・ライアン著「史上最大の作戦」、ハヤカワ文庫〕
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