万華舎

宗家藤間流日本舞踊「万の会」と藤間勘舞恵の活動記録です。

都鳥

2011-11-17 12:50:04 | 日記
先日、稽古の時にお弟子さんから「都鳥ってなんですか?」という質問がありました。ちょうど長唄の「都鳥」が稽古に出ていて疑問に思われたのでしょう。
「カモメの雅称で伊勢物語に在原業平が詠んだ歌があります」とお答えしましたが、もう少し調べてみました。

都鳥はカモメとも鴫(しぎ)ともいわれていますが、一般には大型の千鳥、ユリカモメの事だといわれています。
伊勢物語の中で業平が都を離れた東国の隅田川の渡しにて

名にしおはばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしや

と詠んだ歌が有名です。
隅田川にかかる言問橋や周辺の言問の地名はここからとられたものです。

長唄の「都鳥」は作詞者が伊勢屋喜左衛門、作曲者は二代目杵屋勝三郎、安政二年六月に発表されたといわれています。
隅田川の春から夏にかけての風景やしっとりとした男女の情景などが詠み込まれた短いながらも洒落た風情の曲です。振り付けも流れの美しい情緒的なものとなっています。
(東明流にも同じ題名の曲があり平岡吟舟作詞作曲二代目東明柳舟補作曲。
小唄の「都鳥」は清元菊寿太夫の作曲で隅田川の燈籠流しをうたったもの)

もう一つ、都鳥といえば思い浮かぶのが、「賎機帯」ですが、こちらはまたの機会に。


長唄 「都鳥」

たよりくる船のうちこそゆかしけれ
君なつかしと都鳥
幾夜かここに隅田川
往来の人に名のみ問はれて
花の影 水に浮かれて面白や
河上遠く降る雨の晴れて逢う夜を待乳山
逢ふて嬉しき あれ見やしゃんせ
翼かはして濡るる夜は いつしか更けて水の音
思い思ふて深見草 結びつ解いつ 乱れおふたる夜もすがら
早やきぬぎぬの鐘の声
憎やつれなく明くる夏の夜

秋の帯

2011-11-17 11:59:10 | 日記

おはようございます。
今日も師匠宅に向かっています。今日はお泊り当番です。

先日は時鳥の話題でしたが、庭の小菊も満開。
何となく、古風で可憐で好きな花の一つです。
その小菊の帯。

菊の文様は四季を通して着られますが、やはり秋のこの時期に締めたい柄つきも。今年の秋はあまりお出掛けの機会がないので、締められるかしらん?
歌舞伎でも観に行こうかな…。