直心是道場

障がい者施設に勤務しています。
障がいのことはもちろん、映画や音楽の話も…
日々想うことを書き記します

幸せはさりげなく…

2016年04月18日 | 日記
4月18日
夜になって、少し冷え込んできました。
熊本地方の被災者の皆さんは、まだまだ大変な日々をお過ごしのことと思います。

日中、私と同い年の利用者さんがいつも持ち歩いているカウンター(カチカチと数を数える機械)を持ってきて、「ネジを締めてください」と話しに来ました。
あまり強く締めすぎるとかえって悪くなってしまうのですが、使っているとネジが緩んでくるのが気になるようです。
持ってきた時間が休憩時間でもあり、「じゃぁ少しだけネジを締めようか…」と言いながらドライバーセットを持ってきて彼と一緒にネジを締めました。

彼とは同い年で、若い頃何年か担当を受け持たせていただきました。
若い頃は彼がいくつか持っている特別な行動が気になってしまい、何でもかんでも“問題行動”としてとらえて、「どうしたらいいんだ!」とずいぶん考え込んでしまったこともあります。
しかし、年々付き合っていくうちに彼の“心”の部分に少しずつ触れることができるようになりました。彼も、私に心を開いて話をしてくれるようになりました。(正確には私がそういう気持ちになったということですが… ^_^; )
そうすると、あれほど気になっていたことが少しずつ時間をおいて考えられるようになりました。

もちろん、現場の考え方も大事にしなければいけないので、時間のケジメなど現場職員さんの意向を聞きながら対応するようにしていますが、彼とのさりげないひと時が私にとってはとても幸せな時間ですし、私がそうした気持ちで接していることで、きっと彼も「気持ちの良い時間=幸せな時間」になっていると私は思いたいのです。

午後、先月亡くなられた利用者さんのご家族が、四十九日法要のご報告ということで、ご挨拶いただきました。
ご家族から「(亡くなられた利用者さん)〇〇さんが毎日書いていた日誌を読み返してみると、一生懸命に働き、そして楽しんで生活していたことがよくわかりました。」とお声をかけていただきました。
私たちにとっては身に余るお言葉であり、職員さんのこれまでの“さりげない”日々の努力を感じて、私は胸が熱くなる思いでした。

昨年の今頃、私は 故やなせたかし さんの言葉を紹介しました。
今日、もう一度紹介させていただきます。

ごくありふれた日常のなかに、
さりげなく、ひっそりと、幸福はかくれています
やなせたかし