世相と心の談話室

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ライブドアのニッポン放送株争奪戦について

2005年03月22日 20時46分47秒 | 世の出来事放談
 ライブドアとフジテレビのニッポン放送株争奪戦。最初、堀江社長を応援していたが、ここのところ、“ちょっと待てよ”という気がしている。初めに応援していたのは、あまり好きでないフジテレビを相手にしていたからだ。フジテレビは、かつて「面白くなければテレビじゃない」というキャッチフレーズで、漫才ブームを呼び起こし、「ネアカとネクラ」といった差別用語を生み出した。その路線は今も続いているようなところがあり、そのような路線を追随するような傾向になっている他の民放もある。どこのチャンネルを回しても、演出された同じような笑い(時には差別的な内容も含んだもの)を押し付けてくる番組が多かった。そんな放送漬けの世代が今の日本の中心的世代となっている。現代日本人の倫理観欠如の原因の一端を放送界が担っていると声高には言わないが、全く否定もできないだろう。
 このフジテレビの独断的放送路線が嫌で、これが変わればという思いもあって、当初は堀江社長を応援していた。しかし、最近、彼のマスメディア観を聞いてみると、どうもインターネットの利点ばかりを強調していて、メディアが担う倫理観が欠落しているように思われる。ライブドアのメディアへの進出がラジオ界だけに限られるとは思われない。むしろテレビ界進出が本命であろう。これで、ライブドアがテレビ放送界に台頭することになれば、もっと倫理的な面の崩れが促進される予感がある。インターネットは、かなり長所もあるが、ネット犯罪や青少年に与える悪影響的なものを考えると、これがテレビメディアと組み合わさった場合、社会的な負の側面が多く出てくるのは目に見えている。ニッポン放送を買収して、ラジオメディアとインターネットを融合させて何をしようとしているのか、監視の目を怠ってはならない。
 インターネット界における倫理的側面が整備されてない現状で、ライブドアのようなネット業者が放送権を支配するべきではない。これは、株式取得方法に端を発する経済活動の自由を云々する以前の話である。確かに、これまで大手メディアは、既得権の上にあぐらをかき、競争を排除してきたのだろう。「マネーゲームによりメディアの公共性が損なわれてしまう」という言い分も、フジ・サンケイグループの同族支配の保守に立った弁明に過ぎないかも知れない。証券取引法に抵触しないライブドアの株券取得は、経済原理の上では正当なものであろう。しかし、私が言いたいのは、経済至上原理による公害の問題である。インターネット業界が公的な放送メディアに進出することによる、公共性より倫理性損失の問題である。
 インターネットに関する倫理制をもっと意識的に、早く整備していかないと、今以上にインターネットがもたらす問題はもっと深刻さを増していくだろう。なぜなら、経済優先の世で、ライブドアがテレビ界に進出するのは時間の問題だろうし、堀江社長にメディア倫理などという言葉はないように思うからである。

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