神奈川絵美の「えみごのみ」

空と風と水と - HIGASHIYA GINZAの茶食会 -


気持ち良く晴れた休日。
食事会にご一緒した佐藤節子先生は、五月の風を独り占めしそうに
清々しい、紗袷のお着物。
「五月に入ったら、最後の二週と言わず、どんどん着るようにしているの」
下は白地につばめ柄だ。

ああ、いいですねぇ…。いつか誂えたいです。
感嘆の声を上げる私に、先生はこうおっしゃった。

-紗袷の柄はね、
   空をとぶもの
     風にそよぐもの
       水にゆれるもの がいいわよ-

こういったことを、
さりげない会話の中でさらっと言える、佐藤先生の感性が私は大好きだ。
そして、
著名なきもの関係者の本や、講演などではなく
さりげない会話を通して得られる私は、つくづく幸せだと思う。

--------------

着物縁が広がるとともに増えた愉しみの一つが「食」だ。
私は美味しいお店やお菓子には疎い方で、
今まで着物友にたくさん、良い情報を教えていただいた。

今回、お茶と食との融合という、一風変わった食事会に誘ってくださったのは

フードコーディネーターの松崎沙織さん。
イタリアン、フレンチ、ワイン、シャンパン…
幅広いジャンルに造詣が深い。
お茶のお稽古もなさっていて、この日は落ち着きと華やぎが共存する
いい色合いの紫の江戸小紋に、更紗の絵皿文の帯でスッキリ。

私は……

初めて袖を通した、更紗花の単衣の小紋。
帯は織楽浅野さん。

アイスブルーの地色が、私にはとても心地良い。


会場となった「HIGASHIYA GINZA」はポーラビルの2階にある。
ここには6人掛けのカウンター式の個室が1つあり、
今回の食事会はそこで行われた。

(HIGASHIYAは原則、個室も含め店内の撮影はNGだそうです。
下の写真は許可を取って、撮影しています)


出席者は男性3人、女性3人。
男性は初対面の方ばかりで、カウンターに横並び、というのも何だか
不思議な感覚ではあったが、会が進むにつれ話も弾んだ。

この日のお品書きは下の通り。

一見、普通の和食のフルコースだが
実は食事の前や途中に、さまざまな淹れ方をしたお茶がふるまわれる。


写真左は、玉露の入った「宝瓶(ほうひん)」という茶器。有田焼だ。
取っ手のあるものを急須、ないものを宝瓶というそうで、
この浅いお椀のような形は、HIGASHIYAオリジナル。

これで一煎目を、40℃という低温でゆっくり出したものを
食前に一口いただいたが、お茶とは思えないフルーティな味に驚いた。

さらに二煎目を60℃で、三煎目は冷茶として、シソの葉を混ぜて…

そして最後に、淹れた後の茶葉は細かく刻まれ、お出汁のゼリーとあえた
小鉢になって出てきた。
苦みやえぐみのまったくない、青菜の和え物のようでさっぱりといただけました。


こうした、和食にお茶を組み合わせた食事を
HIGASHIYAでは「茶食会(さじきえ)」と称している。
昼1組、夜1組(マックス6人の範囲で相席も)の限定メニューだ。

今回は松崎さんのアレンジで、
お酒も数種。
日本酒のシャンパン(という表現で良いのでしょうか。発泡させたもの)などを
少しずついただいた。
でも私はアルコールはほとんど飲めず、知識もないので、
レポができません…。
写真のラベルでご判断いただければと思います。

お食事もとても美味しく
そして何より、お茶のいろいろな淹れ方を
目の前で見ながら、厳選された器でいただく、ということが
とてもスペシャルな体験だった。
今はちょうど、新茶の時期。
温暖で澱みのない空や風、そしてピュアな水といった
お茶を育んだであろう自然の恵みを五感で受け止め、
心まで澄み渡るひとときだった。


※HIGASHIYA GINZAのサイトはコチラ。茶食会の案内もあります。
※佐藤節子先生の、紗袷に関するコラムはコチラ

コメント一覧

神奈川絵美
朋百香さんへ
こんにちは
佐藤先生の紗袷、
五月の景色がぱーっと眼前に広がるような
軽快で爽やかなお着物ですよね。
空をとび、風にそよぎ…なーんて聞いたら、
ますます誂えたくなっちゃいました

そうなんです、アイスブルーの単はこの日がデビュー。
アイスのソーダバーみたいな色で(笑)、
体感温度が低くなるような
神奈川絵美
風子さんへ
こんにちは
>以前 記事にされていたもの
そうでーす。ネットショップの赤札市(笑)。
色柄はよくても、生地質はどうなのかしら、と
少し心配でしたが、
しわになりにくく、着心地良いです

もう少しすると着物には過酷な季節になってしまうので、
ぜひぜひお早目に繰り出してくださーい
朋百香
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
佐藤先生、さすがですね~。
紗袷、んー、まだまだきものは奥が深い。
「空を飛ぶもの、風にそよぐもの、水にゆれるもの」
素敵な感性ですね。とても伺ったお歳とは思えない。
でも感性と歳は関係ないのですね、年代を経てなお
磨かれてゆくのだと思うと嬉しくなります。
絵美さんの単、これがデビューだったんですね?
アイスブルーがとても爽やかです。
風子
http://fuko346.exblog.jp/
こんにちは♪

このお着物は以前 記事にされていたものですね。
今から6月の単衣の季節にぴったりの さわやかさ♪
こういう寒色もお似合いです。

銀座で御食事、、、。
ただいま 東京エネルギーが不足しているので(笑)
また 繰りだしたいものです。
神奈川絵美
とうこさんへ
こんにちは
お茶は、玉露のほかにもお番茶とお薄が出まして、
お番茶は京都や阿波など3種類から選べました。
同じお茶でも、淹れ方によってまったく別のもののように
香りも味わいも違いました。

私も、人さまにお誘いいただいたり、連れていっていただく一方で、アテンドには自信がありませんが、
いつかお会いできるといいですねー
神奈川絵美
みぃさんへ
こんにちは
わ、タカシマヤにいらっしゃるのですね。
土曜日に行けるかも…確実ではないのですが、
お会いできたら嬉しいです。

こちらは今日も夏日でしたよー暑かったです。
単衣でも暑いくらいです。
佐藤先生の紗袷は、とても涼しげに見えますよね。
とうこ
http://ameblo.jp/toukolilas/
お三方、それぞれのお着物が、違う趣なのだけど、お互いが馴染んでいていい感じです。お茶のお料理もどんなものなのか、興味津々です。
本当、都会に近いといいなあ・・・。
いつか、連れてってくださーい。着物似合う場所ツアー。
みぃ
さわやかですね
http://blog.goo.ne.jp/sinderera_mie
なんと、さわやかなアイスブルー。
もう単衣や紗合わせなんですね。
相変わらず楽しんでいますね。
私も明日から4,5日東京です。
お忙しいでしょうが、ついででもございましたら
日本橋高島屋の日本いけばな芸術展もご覧なさってください。
ご招待券を、お送りしたいヮ!
神奈川絵美
K@ブラックジャックさんへ
食事、できるみたいですよ
個室ではないテーブル席やカウンターでも
お食事している人がいたような。
リンク貼ったので、よかったらチェックしてみてください
K@ブラックジャック
あら
銀座店はお茶しにしか行ったことなかったんですが、
食事出来るんですか?知らなかった
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