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今さらだけど…【Pluto(プルートゥ)】浦沢直樹×手塚治虫 読みました。

2014-07-08 21:26:50 | レビュー・映画・本


手塚治虫の名作、鉄腕アトムの「地上最大のロボット」。言わずとしれたこの名作を浦沢直樹氏がリメイクした作品「Pluto」。
なかなか読めずにいたのですが、今日ようやく全8巻を一気に読破しました。(ネタバレあり)


「地上最大のロボット」とは…

アラブの長者サルタンはロボットの王となるべく、科学者に造らせた最大のロボットプルートゥに、世界中に散らばる7体の優秀なロボットを倒せと命じる。
この7体のロボット(アトムを含む)との戦いを描いた作品。

この名作を浦沢直樹氏がどのように作り上げるのか?とても楽しみでした。

最大の違いは、物語の進行がアトムではなく、刑事ロボットのゲシヒト目線で語られていること。

高レベルの人工知能を持ったロボットたちと、人間が共生している時代。
それでも人は権力を求め、戦争を行う時代。

浦沢マンガでは原作ではほとんど描かれなかった7人のロボットの背景にあるストーリーを綿密に描くことで

ロボット×人間
人を殺すロボット
ロボットを殺す人間
ロボットに芽生える感情
消えない記憶
戦争
科学の進歩が踏み込むべき範囲

など、多くの問題提起をしています。
原作では、あくまで「ロボット」であったロボットにほんの少し人間ぽさが加わることで、こんなにも感情的で激情的な物語になるのか…と思うくらい、泣きながら読みました。
ストーリー展開ももちろんですが、浦沢氏の描く人物の、悲愴感漂う表情や、悲しみの表現はたまらないのです。

でももちろん、大筋は原作のまま。
手塚治虫に敬意をしめしながらも、完全に浦沢ワールドに作りかえられた作品です。

最期は、もちろんアトムとの闘いですが…その先にある未来とは?
こちらは、見てのお楽しみ。
手塚作品よりも、優しく愛に溢れたストーリーです。(手塚治虫の原作が非愛というわけではなく、原作はもっとシンプルでクールにすべてが展開しています)


人権問題や、命の重さ、医学の発展、おわらない争い、集団的自衛権…などなど、様々なニュースが飛び交う現在、改めてあるべき未来のかたちを考えてみたりしました。
そして、わたしたちの現在、未来を予期していたかのような、手塚治虫の原作に改めて感動です。

そして、マンガを読んで泣く…という久しぶりの自分にも感動です。

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