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バルセロナ展に、行ってきました。

2019-12-21 12:04:00 | 絵画・芸術・展覧会
静岡市立美術館で開催中の

(奇蹟の芸術都市)バルセロナ展

に、行ってきました。


久しぶりの静岡市美術館です。
いつ来てもシンプルで綺麗で大好きな美術館ですが、ヒールで来ると床がコツコツととってもよく響くのだけが難点。
貸し出しのスリッパもあるのですが、本日はラッキーなことにフリートークデー(´∀`)
おしゃべりしながら観ても良い一日です。
とはいえ、ひとり来館のわたしにお喋り相手はおりませんが、そんなことは気にせず、靴音も気にせずいざ、入館!



19世紀末〜20世紀初頭、急速に発展した都市と、それと呼応するように育まれた芸術。
絵画はもちろん、家具や宝飾品にいたるまで、近代カタルーニャ芸術の数々がその歴史とともに展示されています。

残念ながら館内は撮影不可。
そのかわりゆっくりじっくりと鑑賞です。

第1章:都市の拡張とバルセロナ万博
 国際都市へと発展するバルセロナの姿が[ラナシエンサ]と呼ばれる文芸復興運動とともに紹介されています。松崎半造の「いろは引紋帳」をイメージソースとした作品など、ジャポニズムへの傾倒もみられたのはとても興味深いところ。

第2章:コスモポリスの光と影
 華やかな建築が次々と作られた時代。カダファルク作のカサ・アマッリエー。モンタネール作のカサ・リェオー。そしてガウディ作のカサ・バトリョ。その一部が日本で観られるなんて、もう最高。リェオーの内部を再現したかのような配置で置かれたインテリア展示は本当に素晴らしいの、一言でした。


第3章:パリへの憧憬とムダルニズマ
 ムダルニズマと呼ばれる芸術様式が登場した、世紀末。新たな可能性を模索していた画家ラモン・カザスとサンティアゴ・ルシニョル。ふたりの作品を中心にユトリロの父、ミケル・ウトリリョの作品など、発展してゆくカタルーニャ芸術の過程を垣間見られるような展示。

第4章:四匹の猫
 今回いちばん楽しみにしていたコーナー。
1897年バルセロナにオープンしたカフェ兼レストラン「クアトレ・ガッツ」。様々な芸術家たちが足しげく通ったこの店の様子を、伺い知ることのできる資料や作品群がたっぷりです。
大好きなピカソのデッサンも多数。紙にインクでさらりと描いただけのデッサンが、こんなにも表情豊かに躍動的かと、思わずため息がこぼれます。
かつて訪れたことのあるレストラン「四匹の猫」を思いだしてみたり、そのまま世紀末までタイムスリップしてみたり。
想像力を掻き立てる展示の数々でした。

第5章:ノウサンティズマ〜地中海へのまなざし
 ギリシャ、ローマなど、地中海沿岸で育まれた美の様式への回帰を特徴としたノウサンティズマ主義。彫刻や工芸作品を中心とした展示。初めて触れるものばかりでしたが、リカル・クレスポのデザイングラスや、シャビエ・ヌゲースのタイル壁画など、やわらかくデザイン性に富んだ作品たちはとても可愛いらしかったです。

第6章:前衛美術の勃興、そして内戦へ
 いよいよ展示も大詰め。前衛芸術が流入したバルセロナの動向をたどる展示です。
ピカソ、ミロ、ダリからル・コルビュジェのリトグラフまで、なんとも素晴らしいラインナップ。フォービズムやキュビズムの影響を強く受けていたころのミロの(赤い扇)や、若かりし日のダリの作品(ヴィーナスと水平)など見応え抜群です。最後に展示されていたジュリ・ゴンザレスの(サボテン人間)ブロンズは、まさに前衛でした。

まとめ
 独自の文化と、独特の雰囲気をもつ都市バルセロナ。そのバルセロナの街の発展と芸術の繁栄を並行して観られる良い内容でした。
バルセロナへの憧れがまた強くなったひとときです。