ぼやきぼやかれ、ふりふられ。

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『巨匠の眼 川端康成と東山魁夷』展に行って来ました。

2014-05-29 14:11:00 | 絵画・芸術・展覧会


空き時間を利用して静岡市美術館で開催中の『巨匠の眼 川端康成と東山魁夷』展に行ってきました。
「巨匠の眼 川端康成と東山魁夷」|静岡市美術館

平日の昼時でしたが、開期終了間近ということもあってかとても賑わっており、そのうえ、課外授業の中学生のグループに出くわす…というアンラッキー(T^T)でしたが、あまり時間もなかった為、くじけず観て廻ることに(笑)

深い親交があったという二人の交流に焦点をあてながら、川端と東山の収集した作品および東山作品200点余を集めたこの作品展は、
川端や東山自身の言葉や、お互いへの言葉なども合わせて紹介されていて、二人の眼を通して作品を観る!!という楽しさも味わえるつくりに♪ヽ(´▽`)/


4つのセクションに分けられた展示はまず…
「第一章 文豪・川端康成」
と題された、川端自身の自画像でスタート。
文化勲章やノーベル賞メダル、墨書や当時の書斎の再現~と、まさに文豪としての川端が伝わるような展示。

「秋の野に」と題された屏風は、川端がノーベル賞受賞の夜につくった句を書にして東山に贈ったところ、東山が屏風に仕立て、裏に画を描いたものなんですって。金色に輝く夕映えの草原がとても美しい画でした。


展示は
「第二章 川端康成の眼」
へ。
そのコレクションの多岐にわたること三( ゜∀゜)土偶に始まり、漆塗り、ガラス、日本画、西洋画…と、独自の視点での収集がとても興味深かった。
目玉はやはり、国宝【十便十宜画冊】(池大雅「十便宜」・与謝蕪村「十宜図」)なのかな?
一茶の墨画や、渡辺華山、岸田劉生…などなど。

「おぉ…!」と思わずため息がでるような作品の数々にあって、ひと際私の眼をひいたのは
[雑草] [不知火]と題された2つの水彩画。草間彌生、無名時代の作品は、現在のようなエネルギーは全くなく、むしろ静と冷をかんじるモノ。これを見染め購入していた川端の眼にも感服です!


つづく
[第3章 川端文学世界]
では、タイトルの通り川端文学に関連した作品群が並びます。

芹沢けい介による装幀、
ふたりの出会いともなった東山による装幀や挿し絵とその原画…

川端康成の交友の広さが伺える書簡の数々。(谷崎潤一郎、菊池寛、安吾…などなど!!)
とりわけ、興味深かったのは、太宰治からの1936年の書簡。
「晩年」において、芥川賞を自らに与えてくれるよう懇願したその手紙は、4~5Mはあろうかと思われる長いながい書簡。

「死なずに生きとほして来たことだけでもほめてください…」
独特の筆跡と文体で、その人となりがうかがえるものでした。


そして
[第4章 東山魁夷の眼]
紀元前ギリシャのブロンズ、中国の陶器、香炉、日本画…と、こちらも様々なコレクションが並び、
つづいて
若い時代の東山のスケッチ~晩年の風景まで、色彩豊かな作品がずらりと並びます。

実は、東山魁夷の作品をちゃんと観るのは初めて。「あの、風景画の人ね…」くらいの知識しかなかったことが逆に良かったのか、余計なことを考えずただただ彼の世界に浸ることができました。

冬の景色(雪や氷)も、秋の枯れはじめた山も、青々と繁る夏も…透き通るような色彩で、温かくさわやかに、そして強ささえ感じられる。冬の景色でさえ温かさと柔らかさが伝わるような景色。
それはピカソの[ゲルニカ]や、ゴッホの[ひまわり]に感じるうち震えるような感動ではなく、静かに打ち寄せるさざ波のような…ゆったりとしておだやかな感動でした。

[北山初雪]
川端コレクションの作品ですが、
独特の造形美と、空気感まで伝わるような色彩は、いつまででも眺めていられる大作でした。


急がしく観てまわりましたが、
絵画と共に読書も好きな私にとっては、とても満足のいく作品展でした。
東山作品の魅力をもっとじょうずに伝えられたら…とも思いましたが、なかなか言葉では説明できない画家や作品ってものがあるのです…と久しぶりに感じました♪ヽ(´▽`)/


「私は生かされている
野の草と同じである。
路傍の小石とも同じである。
生かされているという宿命のなかで
せいいっぱい生きたいと思う。」
―東山魁夷―

富士山の見える景観。

2014-05-27 22:54:33 | 日記

富士山が世界遺産に登録され、その景観をより美しく…と、電線を地中に埋める動きがあるみたい。
もちろん、電線がないほうが空もスッキリして富士山も良く見える!! いいことです♪ヽ(´▽`)/

東海道新幹線新富士駅からまっすぐ北(富士山の方)へ向かう道路は施工時から全ての線を地中に埋めて作られているので、とてもきれいな富士山が見えます。他所から来た方にはたまらない景色でしょう!!

でも、なぜか私は[電線の張り巡らされた空と富士山]がとても好き。
見慣れているからかな?
日本の風景…って気がして、ある意味独自の文化ですよね。

ちなみに、電線の地中かが進まないのには訳があって…地震が非常に多いこと、またそれに伴う停電時の復旧が、電線の方が格段に早いこと…など、だそうです。


富士市は、かつては[紙の町]と呼ばれたほど製紙工場が多く、煙突と富士山もまた、見慣れた景色。
現在は煙突のかずもピーク時の半分ほどらしいけど、夜にはライトアップされたりしてるモノまである。

美観の為にいろいろ隠すのもいいですが、電線をはり工場を建て発展してきた、町の歴史まで消えてしまわないことを祈ります。

そんな私も子供の頃は、煙突からたちのぼる煙や、電線の向こうで 夕焼けに染まる富士山、工場の終業を知らせるサイレンがとても怖くって、夕暮れにはよく泣いていました(笑)
それもまた、富士山をかこむ景色のひとつなのかも…。

なまえのハナシ。

2014-05-20 23:52:16 | 日記
高校生の頃、自営業をしていた父の事務仕事を手伝っておこづかいを稼いでいた。
ガッツリとバイトもしていた私にとっては、こちらは本当お手伝い程度。
それでも月末になると、『お給料』と称したおこづかいを他の従業員さん(といっても若いコが2人ほどいただけですがww)同様、『給与』と書かれた封筒に
【加奈江 殿】
と名前を入れて「ごくろうさま」と、手渡ししてくれた。

父がなんとなく嬉しそうにしていたので、結局言えないままだったんだけど…

わたしの名前は
【香奈枝】
です(T^T)

一文字だけ、正解してるね。
ちなみに、実の父のハナシです(笑)

24時間マラソンて…いったい!?

2014-05-19 16:53:39 | 日記
24時間テレビのチャリティーマラソンって、今だに毎年やってるのね。

TOKIO城島「24時間テレビ」マラソンランナーに決定 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能

万全のバックアップ体勢のなか、ギャラをもらって走ってる人を見て、何が楽しいんだろう?
誰かと競う訳でもなけりゃ、自分の決めた目標に向かってる訳でもない。

ま、あれをドラマチックに仕立てるTVをさすが!!というべきか、『感動』とか『勇気』とかいう言葉に餓えている日本人が多いだけなのか…(´Д`)

全くもって理解不能な私の心が荒んでいるのかも…だけど、
私にとったらあんなデキレース(レースですらないけどww)より、市民ランナー川内くんの走りの方が100倍感動的だなぁ、と思うのです。


迷子のおばあちゃん。迷子のこころ。

2014-05-17 23:16:09 | 日記
片側一車線であまり広くはないけれど、そこそこの交通量があるいわゆる生活道路。毎日のように通る道だ。
車一台がギリギリ通れるほどの狭い脇道があって、普段は気にもせず通り過ぎるその少し奥に、小さなお婆さんがうずくまるように座っていた。
脇道に入る角には、緑色のフェンスで囲まれた駐車場があり見通しがよく、車で通り過ぎるだけの私にもお婆さんの姿はすぐにわかった。
田舎なので時々、道路の脇などで座って休むお年寄りなどもいるけれど、なにか様相が違う。あんなに細くて歩道もないところに…?

私は、角の駐車場に車を止めさせてもらい、お婆さんの元へ駆け寄った。(休んでるだけなら挨拶でもして帰ればいい) そう自分にいい聞かせて。

「こんにちは。おばあちゃん、大丈夫ですか?」
「…」
返事がない。
「どうしました?大丈夫ですか?」
もう一度声をかけると
「あー、あー」「うー、うー」
と、言葉にならないような声を発するばかり。
意識ははっきりしているけれど、様子は明らかにおかしい。
「どちらから来ました?」
無駄だと思いながら、もう一度声をかけると
「あー、あー」
といいながら倒れるように私にもたれかかってきた。
強い日差しのおかげで、アスファルトも焼けるように暑い。
私は、背中側からお婆さんを支えるように座り…さて、どうしょうか?と。

鞄もスマホも車におきっぱなしで来てしまっていた!!
お婆さんは、どっぷり私に寄りかかっているので動くわけにもいかない。
車はひっきりなしに通っているのに…。
絶対ドライバーの視線に入っているのに…。
(スマホだけは持ってくるべきだったなぁ、動けないし助けも呼べやしないじゃん…)

自分の愚かさを悔やみつつ、すがるように道路を見つめていると、通り過ぎた一台の車が少し先で止まった。
(あぁ、やっぱり親切な人っているもんだなぁ!!)
「どうしました?大丈夫ですか?」
中年の女性が声をかけてくれ、車を路肩に止めたご主人も後を追ってすぐに駆けつけてくれた。
「痴呆のおばあちゃんみたいで、動けないんです。救急車を…、あれ?警察の方がいいのかな?スイマセン、電話も車に置いてきちゃったんで…」

その間もお婆さんは
「あー、うー」
と言いながら体をよじる。しっかり捕まえておかないと私ごと倒れてしまいそうな力。
「おばあちゃん、動くと危ないよ。寄りかかってて下さいね」
理解できてるのかもわからないけれど声をかける。

すると、背の高いご主人が思い出したかのように
「そこのケアセンターからきたのかも…」
と、生活道路の反対側を指さし
「ちょっと聞いてくるから待ってて。」
と、小走りで道路を渡っていった。
2~30M先にケアセンターらしき薄いベージュの建物がある。

「こんなに車が走ってるところを渡って来れたのかしら?」
奥さんも私と同じ事を思っていたらしい。
「…ですね。私が見つけたときはもう、うずくまってたんでわかりませんが。あそこが違ったらやはり警察を呼んだほうがよさそうですよね」

そんな会話をしていると、ご主人を先頭にケアセンターの職員らしき女性が二人、一人は車イスを押しながらこちらに向かって走ってくるのが見えた。

「やはり、そこのお婆さんだったみたいです」
先に戻ったご主人の声を遮るように
「○○さん、何してるのっ!?ダメでしょ。」
年長の女性が大きな声でお婆さんに声をかけ、こちらに向き直ると
「スイマセン。知らない間に抜け出しちゃったみたいで…」
と。
「はぁ。」
(いやいや…知らない間にって。)
曖昧に返事をしている私に、車イスを押してきた若い女性が
「もう大丈夫ですから」
と苦笑いを向けながら、支えていた私を押し退けるようにお婆さんを後ろから抱え、年長の女性と二人がかりで車イスに乗せた。
「○○さん、ダメでしょ。帰ろうね。」
年長の女性の威圧的な声が、暑さを増長させる。
二人は、ふーっ、と小さな溜め息をはくと
「ありがとうございました」
打ってかわって、まるで文字で書いたかのように温度の感じられない言葉を告げ、そそくさと車イスを押し始めた。

そのあまりの早さとそっけなさに、私たち三人は呆然と車イスを見送った。
「あー、あー」
お婆さんは力なく何か話していた。

言い知れない脱力感だけが残る午後。車は何台も何台も通り過ぎていった。

「ちょっと間違ったら、死んでいたかも…」
つぶやくように言ったご主人の言葉が、胸の奥でこだました。
夏のように暑い日。