こんにちは。
先日、北九州芸術劇場で上演された
蜷川幸雄演出のシェイクスピア劇「シンベリン」を観てきました。
感想・・・
書くけども・・・
胸がいっぱいで
感動もらっちゃって←ちょっとユノ風に
ふざけてる場合じゃなく
すごく良かったんです。
まず、劇場に入った瞬間の事から話さなければ・・・
劇場に入るとまずビックリするのが
舞台の上に役者たちの楽屋が再現されていること。
そして、そこでは上演前の楽屋さながら役者たちが談笑しています。
上演時間を待つお客様に出番前の役者たちの風景を見せているような。
私、恥ずかしながら劇場を間違えたのかと思いましたよ。
だって、シェイクスピア見る気満々で行ったら
舞台がめっちゃ日本の楽屋なんだもん。
すっごいうろたえちゃって、周りの人のパンフ見たらちゃんとシンベリンだったから
安心して座ったんですよ、ばかでしょ?笑
この日のお席、なんと
センター前から3列目。
もう前過ぎるくらいでした。
でもそういう席でしか味わせえない迫力を味わってきました!
楽屋には次々と出演者が現れ、和やかに談笑を始めます。
しかし、阿部寛さんが出てきた時にはビックらこいたよ。
でかっっ!!!
て心の中で確かに叫んだ自分の声を聞いた。
ほんとに大きいんです。
出てきたとき、度肝抜かれたもん。
大竹しのぶさん、勝村政信さん、鳳蘭さんも次々に目の前に現れて感動。
上演時間が来ると、開演を知らせる鐘が鳴り
役者たちは一瞬にして談笑を止め、舞台前方に整列します。
楽屋着を着たままの役者たち。
ですがその表情は舞台が始まる殺気とも言えるような緊張感を醸し出しています。
次の瞬間
後ろから楽屋着が一気に引きはがされ
全員が美しい純白の衣装に早変わりするんです!
私、こんなオープニング初めてでした。
観客は一気に芝居の世界に引き込まれる不思議な感覚と興奮を覚えることができます。
この時点で私、ちょっとウルウルきてます。
昔から極度の感動で涙腺がゆるむタイプなんです。
シンベリンはシェイクスピアのロマンス劇。
悲劇でもない喜劇でもない悲喜劇→トラジコメディです。
私、今回すごく面白かったことがですね?
このお芝居、泣けるところから笑えるところにコロッコロ変わるんです。
たぶん、それに時々観客はついていけない。
実際、面白いシーンが続いて、観客はもうすっかり楽しい気分で笑いが絶えないわけです。
しかし、突如、悲しいシーンに早変わり。
観客、そのことに気付かず笑い続ける。
みたいなこと。
イノジェンが仮死状態になる薬を飲んでから目を覚ました時
首をはねられたクロートンの死体が転がっているのを見て
その着ている服が恋人のものであることに勘違いして
恋人が死んでしまったと泣き叫ぶシーンがあるのですが(ロミジュリ的な)
それまでのシーンが面白いのでイノジェンの悲劇も
滑稽感が引きずって、観客が笑い続けるんです。
でもだんだん大竹さんが本気で泣き出して皆、あれ?シーン・・・てなるみたいな。
今、思い出すと本当に面白いシーンだったな~と思うんです。
芝居ってこういうものだな~って。
こういう風にもう何世紀も観られてきたんですよね。
観客の生の反応や笑いや戸惑いなんかと一緒に。
ここは笑うところ、とか、ここは泣くところ
とか決まってなくて観る側にすべて委ねられているんですよね。
蜷川さんの演出・・・本当に素敵です。
うん、もうあぁ・・・素敵だなぁ・・・と思えるんです。
シェイクスピアに和を取り入れる絶妙な感じは、やはり!です。
ブリテンの背景が日本の山水画のようだったり
イタリア貴族が談笑する部屋の背景はなんと!
源氏物語の「雨夜の品定め」なんです!
最初に背景が大和絵なこと、イタリア貴族の衣装が和な事には
そういう演出なのね・・・と普通に心得たのですが
背景に「雨夜の品定め」源氏物語と書いてるのが見て取れた時
そして、その場面がイタリア貴族が女性の品定めをしているシーンであることに気付いた時。
すごいなぁ・・・
感動しました。
雨夜の品定めは光の君と頭中将などが
女性の好し悪しについて語り合うシーンです。
それをポステュマスとイタリア人の
どんな女が素晴らしいかって話のシーンにシンクロさせるなんて
さすがですね。
あぁ、もうこのシーンだけでどんだけ長く書いてんの。
阿部さんの情熱的なポステュマス。
大竹さんのイノジェンは類まれな美しさの姫というのを
自分に納得させるのにちょいと時間がかかりましたが←あ・・・
でもさすが。何といってもものすごく上手いので
すっかり可憐で可愛いお姫様に見えました。
勝村さんが出てくると凄く安心するし、楽しいし。
鳳蘭さんはもう貫禄、素晴らしい王妃っぷり。
シンベリン役の吉田さんも、もう当然素晴らしかった。
そして、ヤーキモー役の窪塚君。
ちょっとこれ、お芝居には関係ないんですけどね?
ものすごく美しかったですよ?
びっくりした。顔小さいし、美しいし、肌は透けるように白い。
うっとりしちゃいました。
だって3歩くらい進めば触れる場所で演技してるし。
途中、これ抱きつけるな・・・
とか思っちゃったし。←結局は・・
すごく個性的にヤーキモーを演じてました。
美しいってそれだけで尊い気がするのはなぜでしょう・・・
おっと脱線しかけている(男前に弱い)
蜷川さんの舞台、もっと観たいです。
繊細で大胆で美しくて。
楽しくて!
物語的にはどうしようもないところもあるこの戯曲を(え!そんな強引な・・みたいなのがいっぱいある)
赦しに満ちた楽しく美しい形で舞台に表現されていました。
すばらしい!
この作品はロンドン五輪を記念して開催される
ロンドン ワールド・シェイクスピア・フェスティバルに正式に招待されています。
ロンドンでもこの美しい舞台が成功することを祈っています。