紙芝居ボランティア(ページ7)(作る・歴史とこれから)

10 紙芝居を作る

① はじめに
印刷紙芝居の実演に慣れると手作りもやりやすいでしょう。地域再発見の目的ならば盛りだくさんや説教調にならないよう。「絵解き」のように個別のエピソードを並べるより、主人公を固定しそれを中心に面白い物語として展開します。身の回りのこと、ありそうもない変な話、民話を自分で組み立てなおすのがおすすめで、絵本の作り変えは出版社に問い合わせが必要で、園などで作ったものはその限定された範囲でしかできません。また、子ども参加型の紙芝居も楽しいのですが、どうしても既製の絵本と内容が似てくるので注意しましょう。

② 脚本
セリフを中心に進めます。一枚が30秒以内で進みすべてを10分以内にまとめると、大切なところが残り訴える力が強くなります。口に乗せて、語りやすい美しい言葉を捜しますが、回りくどく飾らず、登場人物の行動や気持ちをそのまま言葉にしましょう。

③ 絵と仕上げ
大型にするより、B4のまま枚数を増やした方が楽しいし分かりやすいのです。コマ割りといって紙を8等分してマンガのように大まかに箱書きします。画面上には文字を入れません。 
 共同制作として絵を分担するのは、色や形が連続しませんし、個人的な好みを無理にあわせることになるので行き詰まるのではないでしょうか。右から左に場面が流れるように構図をとります。同じ部分は同時に塗ったほうがいいので広い場所に並べて描ければいいのですが。
パソコンで描くより人の手の勢いや温もりを大切にしたいものです。細かい書き込みより遠目がきくことが大切で、画面のふちぐるり2センチ位は隠れて見えなくもなり、下書きのうちに舞台に入れて見ましょう。仕上げに墨入れとして強調したいところに縁取りをし、画面の隅に番号を書きます。作者の名前も表紙に書き、印刷紙芝居と同じように裏書をします。
 音楽や鳴り物でデフォルメするより語る力を大切にと願っています。手作りときくと周りの評価が甘くなりがちなので、しっかり実演練習します。その過程で脚本を直すことも多いからです。
子どもが作る場合、内容については自由に絵を描きながら進めていくような感じでいいと思います。言いたい放題言いながら描いた怪作が子どもの手作りの魅力です。
 
11 紙芝居の歴史とこれから
 
① 歴史
御伽草子の時代から「絵を見ておはなしを聞く」という楽しみはずっと続いてきました。絵巻物や寺社で行われた説法や絵解きを起源として、のぞきからくり、幻灯、影絵や現在ペープサートとして残っている立ち絵などが庶民の芸として栄え、祭りの見世物や自転車に乗せられ街の中に進出しました。やがて平絵とよばれる今の紙芝居の形になり、街頭紙芝居として栄え、これを宗教や教育関係者が子どもの教育のために製作、印刷し販売するようになり、現在、教育(印刷)紙芝居として園や図書館で親しまれています。なお、のぞきからくりは全国で3つしか残っていないあでやかな見世物ですが、新潟市と合併予定の巻町に保存され語りの太夫さんもおられるようです。
街頭紙芝居は下火になりましたが、手作り紙芝居として民話などで作られイベントで活用されることが多いのです。ただ枚数が多いと印刷販売は無理で、大きく作られたり無断で絵本を作り変えたり、ミュージカルのように音響もと盛りだくさんで、実演の場が限られ、限られた人しかできません。実演に手間がかかり印象が強すぎ、繰り返しの実演に耐えにくいです。

② これから
地域の民話は書物になってよく出版されますが、紙芝居になって書棚からライトの当たるところへもっと出ればよいと思います。普通の大きさにし、余計な付加価値をつけず作品そのものに執着し紙芝居本来の形にしていけばおはなし会でも活用可能で、強みが発揮されます。
テレビはかつて電気紙芝居と言われました。また、情報の発信元が個人であることが多く内容が井戸端会議的なインターネットは、手作り紙芝居の感覚です。そして印刷・手作り紙芝居を同じ舞台で演じるのは、テレビにインターネットが進出して両方楽しめるのと同じように思えます。しかも重要なことは、電気でなく人の力で全て培われるということです。
保管した手作り紙芝居が他の地域でも貸し出されるようなルートに乗れば、遠くに住む人の生き生きした姿が親しく立ち現れます。
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