「おもちゃ本」はほめ言葉

『子どもに定番絵本の読み聞かせを』尾野三千代/著(児童図書館研究会)について

児童図書館研究会ですから、大人が子どもに与えたいという立場(児童文化)で書いているように思います。ですから私は、この内容に付け加えて、子どもが子ども同士の中で育つよう(子どもの文化)にもう少し研究を深めてもらいたいと思います。

 「おもちゃ」と言って想像するのは、大人のものを真似してシンプルにしたものとか、子どもが手に取りやすいよう工夫されているものですね。「おやつ」というのもそうです。三度の食事で不足する栄養を補うとか、食べる子どもに喜ばれるように味や見た目を工夫する食べ物です。おもちゃもおやつも「子ども文化」として、そこで子どもが自由に遊ぶという存在意義があると思います。
 だから、児童文化の中には子ども文化も含める必要があり、読んでやる絵本にも おもちゃ絵本やおやつ絵本があったほうがいい。子どもは仲間の子どもが作ったような世界で育ちます。紙芝居も、本物の舞台を子どもの身の丈に合うように縮小した子どもの文化ですので、子どもに支持されます。「家に持ち帰って繰り返し読むものではない」と書いてありますが、実際はそうではなく、繰り返し遊ぶものだと思います。時には弟や妹に読んでやったりして遊びますし、大人がやってくれる時は大人が自分のレベルに合わせてくれるので、それは嬉しいことでしょう。
 紙芝居や「お化け・魔法・排泄」などぱっと見でウケる本というのは、子どもの文化の側面が大きいので、子どもに必要な栄養であり、ほめ言葉だと思っています。

 そして、コロナ禍でおはなし会の時間が短くなり、学校訪問も少なくなっている今、昔ばなしは「語り」よりも「紙芝居」で子どもの文化になりつつあるように思います。子どもの文化になって初めて、伝承されていくのではないでしょうか。
 だから、おもちゃもおやつも、決して低く見てほしくないです。低く見ることは子ども文化という「異文化」をバカにしているようなものですね。平和にやるということは、いろいろなものを含めて進むということだと思うのですが。

 

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