児童サービス論を読んで 2 (追記あり)

もう一冊児童サービス論を読みました。『児童サービス論 地域とつながる公共図書館の役割』伊香左和子/塚原博(編著)ミネルヴァ書房
2023年刊の新しい本です。ミネルヴァ書房の本はわりと好きで、この出版社のものなら信頼できると、個人的に思っています。全体的に、考えが新しくて現実的だと思いました。

前に書いたように、紙芝居とストーリーテリングについて、どう書いてあるかとても興味がありました。
特筆(私が勝手に思っている)すべきは、索引でストーリーテリングを探すと「語り(ストーリーテリング)」となっていて、「語り」の言葉が優先されていることです。やっぱり「語り」の方がすべてのやり方を包摂できるよね。

追記:
それから紙芝居の説明が、古い文献を元に書かれているのに気づきました。「一組12~32枚の絵を~」とありますが、今は8枚物が、とくに小さい子向けに多く、全体で三分の一位は8枚ではないかと思います。また、32枚のものなどないと思います。引用が2004年の『最新図書館用語大辞典』からのようですが、これもまた一段古いものをそのまま引用したのではないでしょうか。できたら、新しい紙芝居資料を見てから書いて欲しかったです。その程度にしか思っていない様子はちょっと残念です。

それからもう一つ
どうして紙芝居が子どもを引き付けるのか、明快(?)に書かれていました。こんなにしっかり書いてあるのを見るのは初めてでした。
絵本は子どもたちが一時的に別の世界に行くことであり、慣れていない子はその世界に入りにくいということ。
これに対して紙芝居は開かれた世界であり、子どもたちはなじんだ世界にいながら、演じ手の先導で物語を楽しむことができるということ。付け加えて、子ども自身が演じ手になることができるということです。
紙芝居文化の会(まついのりこさん主張)の、「絵本は入っていく、紙芝居は外に広がっていく」の理論を「一歩進めた」説明で、とても良かったです。
ただ、「集団相手の絵本の読み聞かせは、ほとんど紙芝居だ」と思う私には、「絵本は入っていく」のところが納得いかない面がありました。個別や自分で読む絵本なら「絵本は入っていく」と分かるのですが、集団で一つの画面を見るのは「絵本であっても広がっている」感じがします。

逆に、紙芝居は昔はのぞきからくりで、覗くものでした。自分が入っていく世界でしたね。紙芝居も「入っていく」感じがする人がいてもおかしくはないと思います。
何事も、誰かの特定の理論に合わない部分の方が大きいような気がしています。自分の感じ方を他の人に指示されるのは、もう勘弁してほしいですね。
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