脚本『福をよぶ大うちわ』

手作り紙芝居 『福をよぶ大うちわ』 

18年秋に製作後、図書館に寄贈。ただいま閉館中のため、借りることはできません。会では幾つか持っています。
 
鳥がでてくるところは、創作です。
脚本

むかし。新潟がまだ、貧しい町だった頃のはなし。
この町にすむ たろべえさんが、浜辺でひとりごとを言っていたと。
「ああ、静かな海だなあ。
この海の向こうにゃ、きっとわしの知らんいろんな人たちがすんでいるんだろうなあ。舟に乗ってやってこんかなあ、
いや、わしが会いにいけばいいのかなあ。
ここには大きな川がある。働き者の人もいる。
舟がたくさん来るようになれば、賑やかになるのになあ」
するとそのとき、

②  
「バタ バタ バタ 」
「なんだ、鳥かあ、
どおれ、さっきつった魚でもやるか。
しっかりとれよ、そーれ。
おまえ、わしの願いをきいておったか?
遠くまでとどけてくれよ。」
「バサ、バサバサッ」

③                   
「鳥はいいなあ、わしにも羽があれば、遠くの舟まで飛んでいって、船頭さんに教えてやるんだがなあ、ここにこんないい港がありますよ、とな」
鳥の姿は遠くなって、見えなくなりました。
やがて、
 《 抜きながら 》
ヒューヒュー

④                   
ヒューヒュー
「おや、何か光ってるぞ。だんだん近づいてくる。
ややや、あれは誰だ?」

⑤                     
雲の上にはなにやら不思議な白いひげのおじいさんがおりました。
「たろべえよ、わしは海の神じゃ。さっきの魚のお礼に、
おまえの願いをかなえてやろう。
だが、ひとつやってもらわにゃならんことがある。
明日までに、大きなうちわを作ることはできるかな。
できたなら、明日の朝、海に向って それで あおいでみるといい」
さっそく たろべえさんは その夜、
大急ぎで 大きなうちわを 作ったと。
 《 半分抜いて 》
そうして次の日、たろべえさんは 砂山に登って、
「沖の舟よ、こっちこーい。
おーい」
すると、おやおや、

⑥ 
おおきな舟が。
すーーーーい 
と、 こっちに向ってやってくるじゃないか。
たろべえさんは大喜びでね。
また、次の日。
「おーい、おーい」
と、呼ぶと
 《 舟が二つのところまでぬく 》
すーい、すーい
また、次の日。 今度は、
「おーい、おーい、おーい」とよぶと

⑦                    
すーい、すーい、すーい。
こんなふうに次々と舟がやってきてね。
「ここはいい町じゃ」「ここはいい港じゃ」
ふなびとたちはそう教えあって、噂が広まって。

⑧                   
それからというもの、新潟のみなとは栄えて、
大きな港になっていったんだって。
その縁起をかついで、祭りのときに大うちわが繰り出したこともあったんだそうな。
お祭りのときにうちわがいるのは、こんなことのせいかもしれないね。これではなしはおしまい、どっとはれ。
   参考文献   『新潟市の伝説』新潟市
制作     平成18年10月   脚本・絵 / 石倉恵子・佐藤義二
                            新潟かみしばいクラブ
           脚本はご自由に変えて結構です。  彩色  / 
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