どうも皆さん!ヤスでございます。
今回は本日めでたく最終回を迎えました、「ウルトラマンオーブ」について語っていきたいと思います。
今回はガンガンネタバレしていきます。苦手な方はご遠慮ください
過去の力はもういらない
「ウルトラマンオーブ」最大の特徴は、ウルトラマンの先輩方とフュージョンアップして戦うところにあります。しかもこれまでのウルトラマンとは違い、序盤のオーブは他のウルトラマンの力を借りなければ変身すら不可能という状態でした。そして、そこから本来の姿を取り戻すまでが「ウルトラマンオーブ」の中盤までのメインストーリーです。
これはあくまで私の考察ですし、メタ的な話なのですが、私はこの中盤までの流れはスタッフの「過去作の力はもう借りない」という姿勢の表れなのではないかと思っています。オーブの最強の姿が過去のウルトラマンの力を借りた姿ではなくオーブ自身の本来の姿であるのは、過去の要素を借りない、新たな一歩を踏み出すんだという製作陣の思いの表れではないでしょうか?
メビウス以降、様々な理由により過去のウルトラマンや怪獣に頼らざるを得なかったウルトラマンシリーズ。それはフュージョンアップしなければ戦えない序盤のオーブの状況と重なります。そういった状況を打ち破り過去の力を借りない、新しいウルトラマンを創造したい。オーブオリジンの覚醒はそういった製作陣の姿勢の表れなのだと思います。最終回で歴代ウルトラマンと並び立つオーブオリジンの姿は、誰の力も借りないオーブ本来の姿が、ウルトラマンシリーズの歴史に刻まれたことの証なのではないかと私は思います。
偉大なる冒険
「ウルトラマンオーブ」は防衛隊が存在しなかったり(ビートル隊はこれまでとは大きく異なるので防衛隊とは見なさないとします)、主人公が平成では珍しい風来坊であったり、遊び回と本筋回が明確に分かれていなかったり、シリーズ全体で見てもかなり冒険した作品だったと思います。防衛隊がいなかったり遊び回が少ないのは寂しくもありましたが、構成の上手さもあって中々濃い人間ドラマが展開されたと思います。他にも遅れて帰ってくる渋川一徹等、ウルトラマンシリーズに詳しければ詳しいほどニヤリと出来る部分がありましたね。光と闇の描き方にも面白い部分もありましたがそれについては後述します。とにかく良かったと思うのが、こうした冒険要素がマイナスでなくちゃんとプラスの方向に働いていたことです。冒険要素は、時に上手く機能しないこともあるのですが「ウルトラマンオーブ」ではちゃんと作品の面白さに貢献していたと思います。
光と闇=ガイとジャグラーの物語
「ウルトラマンオーブ」とは光と闇=ガイとジャグラーの物語であったと思います。光に選ばれたガイと闇に魅入られたジャグラー、この2人が繰り広げるドラマが「ウルトラマンオーブ」最大の魅力でした。光と闇、それは誰の中にでもある希望や夢、恨みや憎しみです。そうした光と闇の物語自体はこれまでの平成ウルトラマンシリーズでも描かれてきましたが、今作ではこの光と闇がかなり独特な描かれ方をしていたと思います。と言うのも「ウルトラマンオーブ」ではこの光と闇が単純な対立構造になってないんですね。どちらかというと表裏一体で、どちらが欠けてもいけないものの様に描かれていたと思います。そして、今作の主人公クレナイ ガイとそのライバルジャグラス ジャグラーは、それを象徴する様な存在でした。
ガイはかつてオーブオリジンの力を使いこなせず、大切なものを傷つけてしまい、それが原因となってオリジンの力を失ってしまっていました。さらにその後のギャラクトロン戦で、サンダーブレスターの力を使いこなせなかった彼はオリジンの時と同じ過ちを繰り返してしまいます。光に選ばれたウルトラマンでありながら闇に飲まれてしまったのです。一時は闇を恐れたガイですが、その後は闇を抱きしめることを選びました。闇を恐れず、受け入れたのです。それを象徴する様にサンダーブレスターを使いこなすことができる様になった彼は、己を信じる勇気を取り戻し、オリジンの再び手にしました。彼がオリジンの力を取り戻す物語は光に選ばれた彼が闇を抱きしめる物語でもあったんです。光と闇という対となる力を手にしたオーブはまさに、二つのパワーで戦う戦士であると言え、この作品そのものを象徴する男だと思います。
そして、忘れてはいけないのがジャグラス ジャグラーです。ウルトラマンでは珍しいライバルキャラクターだった彼は、その独特のキャラクターで人気を博しました。
序盤から中盤にかけては完全に闇と言える存在として描かれていたジャグラーでしたが、物語終盤からその危うさが浮き彫りになっていきました。彼の闇へのこだわりが光への執着の裏返しであったことが描かれていったのです。光への執着があるからこそ、それに選ばれなかったことを認められなかった。それが彼の今までの行動の原因だったのです。魔王獣を復活させたのも、ガイを闇引きずり込もうとしたのも、自らの手でガイを倒そうとしたのも、全ては光への強いコンプレックスの表れなんです。しかし、闇に魅入られ、闇にこだわりながらも彼は消えることのない光を抱えていました。光を抱えながらも光に選ばれず、そのコンプレックスから闇へのこだわりを持つ、ジャグラーはそんな危うい存在だったのです。光に選ばれながらも闇を抱きかかえたガイと対になる様に、闇に魅入られながらも光を抱えた存在として、彼もまた「ウルトラマンオーブ」を象徴する存在だったと思います。
あと「ウルトラマンオーブ」と言えばヒロインのナオミも印象的でしたね。ガイが自らの光を失った原因であり、ジャグラーの心に残る光を象徴するキャラクターでもあるナターシャの子孫であり、結果的にガイとジャグラーが光を取り戻すキッカケにもなったキャラクターでした。
総評
ガイがウルトラマンとしての自分を取り戻すまでの物語と、ジャグラーの光と闇の狭間での葛藤等を通して描かれた光と闇の物語は、シリーズでもかなり濃いものだったのではないでしょうか?
何より良かったのは、これだけ冒険しておきながらガイとジャグラーを通して「ウルトラマンとは何か?」が描かれたり、しっかりウルトラマンとして面白い作品になっていたこと。
「ウルトラマンとしての面白さ」と「冒険作としての面白さ」二つの魅力に溢れた、素晴らしい作品でした。ウルトラマン生誕50周年に作られた作品でありながら、記念作としてでなく、新たな一歩として作られた本作は、ウルトラマンの未来に光を照らす作品となったと思います。こんな素晴らしい作品を作って下さったスタッフやキャストの皆さんには色々感謝の言葉を述べたいところですが、ここは、この言葉で締めたいと思います。
ウルトラマンオーブに関わった全ての方々、お疲れさんでした。
では皆さん、またいつか。
今回は本日めでたく最終回を迎えました、「ウルトラマンオーブ」について語っていきたいと思います。
今回はガンガンネタバレしていきます。苦手な方はご遠慮ください
過去の力はもういらない
「ウルトラマンオーブ」最大の特徴は、ウルトラマンの先輩方とフュージョンアップして戦うところにあります。しかもこれまでのウルトラマンとは違い、序盤のオーブは他のウルトラマンの力を借りなければ変身すら不可能という状態でした。そして、そこから本来の姿を取り戻すまでが「ウルトラマンオーブ」の中盤までのメインストーリーです。
これはあくまで私の考察ですし、メタ的な話なのですが、私はこの中盤までの流れはスタッフの「過去作の力はもう借りない」という姿勢の表れなのではないかと思っています。オーブの最強の姿が過去のウルトラマンの力を借りた姿ではなくオーブ自身の本来の姿であるのは、過去の要素を借りない、新たな一歩を踏み出すんだという製作陣の思いの表れではないでしょうか?
メビウス以降、様々な理由により過去のウルトラマンや怪獣に頼らざるを得なかったウルトラマンシリーズ。それはフュージョンアップしなければ戦えない序盤のオーブの状況と重なります。そういった状況を打ち破り過去の力を借りない、新しいウルトラマンを創造したい。オーブオリジンの覚醒はそういった製作陣の姿勢の表れなのだと思います。最終回で歴代ウルトラマンと並び立つオーブオリジンの姿は、誰の力も借りないオーブ本来の姿が、ウルトラマンシリーズの歴史に刻まれたことの証なのではないかと私は思います。
偉大なる冒険
「ウルトラマンオーブ」は防衛隊が存在しなかったり(ビートル隊はこれまでとは大きく異なるので防衛隊とは見なさないとします)、主人公が平成では珍しい風来坊であったり、遊び回と本筋回が明確に分かれていなかったり、シリーズ全体で見てもかなり冒険した作品だったと思います。防衛隊がいなかったり遊び回が少ないのは寂しくもありましたが、構成の上手さもあって中々濃い人間ドラマが展開されたと思います。他にも遅れて帰ってくる渋川一徹等、ウルトラマンシリーズに詳しければ詳しいほどニヤリと出来る部分がありましたね。光と闇の描き方にも面白い部分もありましたがそれについては後述します。とにかく良かったと思うのが、こうした冒険要素がマイナスでなくちゃんとプラスの方向に働いていたことです。冒険要素は、時に上手く機能しないこともあるのですが「ウルトラマンオーブ」ではちゃんと作品の面白さに貢献していたと思います。
光と闇=ガイとジャグラーの物語
「ウルトラマンオーブ」とは光と闇=ガイとジャグラーの物語であったと思います。光に選ばれたガイと闇に魅入られたジャグラー、この2人が繰り広げるドラマが「ウルトラマンオーブ」最大の魅力でした。光と闇、それは誰の中にでもある希望や夢、恨みや憎しみです。そうした光と闇の物語自体はこれまでの平成ウルトラマンシリーズでも描かれてきましたが、今作ではこの光と闇がかなり独特な描かれ方をしていたと思います。と言うのも「ウルトラマンオーブ」ではこの光と闇が単純な対立構造になってないんですね。どちらかというと表裏一体で、どちらが欠けてもいけないものの様に描かれていたと思います。そして、今作の主人公クレナイ ガイとそのライバルジャグラス ジャグラーは、それを象徴する様な存在でした。
ガイはかつてオーブオリジンの力を使いこなせず、大切なものを傷つけてしまい、それが原因となってオリジンの力を失ってしまっていました。さらにその後のギャラクトロン戦で、サンダーブレスターの力を使いこなせなかった彼はオリジンの時と同じ過ちを繰り返してしまいます。光に選ばれたウルトラマンでありながら闇に飲まれてしまったのです。一時は闇を恐れたガイですが、その後は闇を抱きしめることを選びました。闇を恐れず、受け入れたのです。それを象徴する様にサンダーブレスターを使いこなすことができる様になった彼は、己を信じる勇気を取り戻し、オリジンの再び手にしました。彼がオリジンの力を取り戻す物語は光に選ばれた彼が闇を抱きしめる物語でもあったんです。光と闇という対となる力を手にしたオーブはまさに、二つのパワーで戦う戦士であると言え、この作品そのものを象徴する男だと思います。
そして、忘れてはいけないのがジャグラス ジャグラーです。ウルトラマンでは珍しいライバルキャラクターだった彼は、その独特のキャラクターで人気を博しました。
序盤から中盤にかけては完全に闇と言える存在として描かれていたジャグラーでしたが、物語終盤からその危うさが浮き彫りになっていきました。彼の闇へのこだわりが光への執着の裏返しであったことが描かれていったのです。光への執着があるからこそ、それに選ばれなかったことを認められなかった。それが彼の今までの行動の原因だったのです。魔王獣を復活させたのも、ガイを闇引きずり込もうとしたのも、自らの手でガイを倒そうとしたのも、全ては光への強いコンプレックスの表れなんです。しかし、闇に魅入られ、闇にこだわりながらも彼は消えることのない光を抱えていました。光を抱えながらも光に選ばれず、そのコンプレックスから闇へのこだわりを持つ、ジャグラーはそんな危うい存在だったのです。光に選ばれながらも闇を抱きかかえたガイと対になる様に、闇に魅入られながらも光を抱えた存在として、彼もまた「ウルトラマンオーブ」を象徴する存在だったと思います。
あと「ウルトラマンオーブ」と言えばヒロインのナオミも印象的でしたね。ガイが自らの光を失った原因であり、ジャグラーの心に残る光を象徴するキャラクターでもあるナターシャの子孫であり、結果的にガイとジャグラーが光を取り戻すキッカケにもなったキャラクターでした。
総評
ガイがウルトラマンとしての自分を取り戻すまでの物語と、ジャグラーの光と闇の狭間での葛藤等を通して描かれた光と闇の物語は、シリーズでもかなり濃いものだったのではないでしょうか?
何より良かったのは、これだけ冒険しておきながらガイとジャグラーを通して「ウルトラマンとは何か?」が描かれたり、しっかりウルトラマンとして面白い作品になっていたこと。
「ウルトラマンとしての面白さ」と「冒険作としての面白さ」二つの魅力に溢れた、素晴らしい作品でした。ウルトラマン生誕50周年に作られた作品でありながら、記念作としてでなく、新たな一歩として作られた本作は、ウルトラマンの未来に光を照らす作品となったと思います。こんな素晴らしい作品を作って下さったスタッフやキャストの皆さんには色々感謝の言葉を述べたいところですが、ここは、この言葉で締めたいと思います。
ウルトラマンオーブに関わった全ての方々、お疲れさんでした。
では皆さん、またいつか。
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