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ヤスの駄文部屋

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『モスラ』が魅力的過ぎた話。

2017-08-10 23:15:20 | 怪獣
皆さんどうも、ヤスでございます!

今回は前回お話ししたとある虫怪獣が主役の映画『モスラ』の感想を書いていきます。幼いころに一度見た切り見てなかったのでなんかむかつく外人が出てくる程度の記憶しかなかったんですが、見返したら滅茶苦茶面白かったのでちょっとビックリしております。





今回もネタバレありなので苦手な方はご遠慮ください。





ストーリーについて
個人的に『モスラ』はストーリーが凄く面白かったです。
まず、何よりもテンポが良いですね、インファント島でなぜか第二玄洋丸の乗組員が核実験から健康体で生還→調査団が結成されるがロリシカ国側事務局長ネルソンが不審な行動をとる→インファント島で小美人を発見、その後ネルソンが誘拐→モスラ出現!→ネルソン、小美人、モスラを巡り主人公たちが奔走といった感じで怪獣出現までの流れも出現後の流れも実に軽快で見やすい。
『ゴジラ』や『ラドン』等に比べて全体的にストーリーが陽性なのも大きな特徴ですね。本田監督もその辺りを踏まえてかこの作品を最も気に入っている作品に挙げているらしいですし、制作年代も考えれば後の怪獣映画に大きく影響を与えた作品かもしれません。
また、基本的にストーリーの軸をモスラ襲来の原因であるネルソンと主人公達との攻防に置いているために、怪獣が出現してもドラマが途切れることがないのも素晴らしいですね。怪獣映画における人間ドラマと怪獣を巡るドラマの連動は難しいというのが私の持論ですが、『モスラ』の場合はネルソンを追うことがそのままモスラによる被害を抑えることでもあるので「人間サイドのドラマ」と「怪獣サイドのドラマ」がしっかりと連動しているのです。何でもないことのようですが『モスラ』の面白さの要因の一つであることは間違いないでしょう。
「ネルソンという傲慢な人間によってインファント島の平和の守護神であるモスラが襲来する」という一連の流れを通して「平和」という一貫したテーマが描かれるのも好印象。そこまで深い掘り下げがあるわけではないですが、やはり一本筋が通った映画というのは面白いです。
強いて気になることを挙げるとすれば最後のモスラの紋章とメロディに気づくシーンの唐突さですかね。
十字架と太陽が重なる様子を見て紋章がモスラを呼ぶものであるのでは?と推測したり、メロディが小美人が歌う音楽と一致していると気づくこと自体は面白いと思うんですよ。モスラという架空の守護神と現実に存在する神を重ねるというやり方のおかげでかなりスマートに描写できていると感じる部分もあるんです。
しかし、劇中でインファント島とロリシカ国の交流が描かれていないせいか説得力が弱いように思ってしまいます。もちろんロリシカ国とインファント島は地理的には結構近いので、その昔に交流があって何らかの形でモスラが現実の神話に組み込まれていったというのは容易に想像できるんです。ですが、それが本編で語られない以上それはあくまでこちらの想像にしかならないじゃないですか。まあそこは敢えて深く掘り下げなかったのか、尺の都合で省いたのかはわかりませんが、もしロリシカ国とインファント島の関係をもう少し掘り下げてくれたらもう少しノイズなく見れたかなというのが正直なところです。
他にも気になるところはなくはないですが、全体的に娯楽要素が強いところを踏まえれば許容範囲ですかね。基本的に陽性で見やすく、それでいて一貫したテーマを感じることが出来る本当によくできた娯楽怪獣映画だったと思います。





モスラの特撮
モスラの特撮シーン、カメラワークもミニチュアワークも合成もどれも高水準でとても素晴らしかったです。
特にモスラの幼虫が日本を進撃するシーンが圧巻ですね。調べてみたところ初代ゴジラが25分の1スケールに対して、モスラは20分の1スケールとなっており縮尺がゴジラよりも大きいらしいのですが、そのおかげかミニチュアがかなり精巧になっていて画面から伝わってくる説得力が違います。
セット全体もこれまでより広くなっているらしく奥行きを感じさせてくれるのも嬉しいですね。奥行きの表現って言われることが少ないですが僕はとても重要だと思います。セットで撮っている都合上どうしても狭い所で撮っていることがわかってしまうことがよくありますが、奥行きをしっかりと表現することでそういった「セット感」を薄めることができるのです。
また実景にモスラとミニチュアセット合成したり逆にミニチュアに人間を合成するという手法が積極的に行われており、怪獣の「実在感」を高めているのも好印象。若干ブルーバックが残ってしまっていますが個人的には許容範囲です。
カメラワークやミニチュアワークも冴えわたっていて、特にモスラが進撃する様子を上から撮影したり、ミニチュアの街を戦車が走っている様子の見せ方が抜群に上手くて印象的でした。
成虫が飛び回るシーンの「風」の演出もラドンから5年たってさらに進化したような印象ですね。単純に技術が上がったのか、自分の気のせいなのかはわかりませんが、抜群に見せ方が上手くなっていたように思います。





モスラについて
自分が無知なのもありますがモスラのキャラクター性は怪獣の中でも特異なものではないでしょうか?
「ゴジラ」なんかもそうですが、怪獣映画で怪獣側が「被害者」的に描写されることがよくあると思います。しかし多くの場合は人間の住む世界を破壊することによって「被害者」であると同時に「加害者」としての側面を持つことになります。「被害者」であることにはもちろん変わりはないのでその最後がある程度悲劇的に描かれることはあっても、作品の中で善玉として描かれることはありません。そうした視点から見るとモスラという怪獣の特殊性が見えてきます。『モスラ』では『ゴジラ』や『ラドン』では最後まで「敵」として描かれていた怪獣がはっきりと「善玉」として描かれているのです。もちろんモスラが移動することで街が破壊されますしそれにより被害も出るため細かく考えれば完全な「善」とは言えません。
しかし、モスラではネルソンという人間側の悪役を設定することでモスラを「善」として描くことに成功しています。「モスラが暴れるのはネルソンが小美人をさらってしまったせい」とすることで、物語上のヘイトを完全にモスラからそらしているんですね。さらに小美人の口から「罪のない人達を巻きことになる」という発言をすることで、モスラの襲撃が完全にモスラの意思の下で行われていないという印象を強め視聴側がモスラや小美人に同情すら出来るようにしているのです。
こうした観点から見ると、モスラという怪獣がそれまでの怪獣に比べてかなり特殊な立ち位置であることがわかります。





モスラの怪獣としての魅力
モスラは怪獣としての魅力も十分すぎる大変優秀な怪獣だと考えます。
まずなんといっても形態変化が素晴らしい。モスラは劇中で卵→幼虫→繭→成虫といった具合に姿を変えていきますが、これにより一粒で四度おいしい怪獣としての地位を確立していると思います。
幼虫の状態ではほかの怪獣が「歩いて」移動しながら街を破壊するところを「這いずって」移動するという形でかなり独特の映像を作り出しています。密集している建物を押しのけながら進撃する姿はゴジラとは違う魅力があると言えるでしょう。
また、成虫の状態ではラドンのように空を飛ぶことによりスピード感のある演出や風による演出を見ることができます。ここがモスラの凄い所でラドンだったらこの「空を飛ぶ」というところが最大の「売り」になるにも関わらず、モスラはその「売り」がデフォルトでついているんですね。直前に繭の形態が入ることで成虫になるまでの「溜め」が出来るのも成虫の特別感に繋がりますし、物語上の「溜め」として役立てることも出来、とても面白いと思います。
また、上述の通り怪獣としては珍しく善玉として描かれているので、どこか健気さを感じさせるヒロイックな怪獣となっているのも大きな特徴です。このヒロイックさがモスラの魅力の一つかもしれません。





まとめ
実は八月から書き始めていたんですが、どうにもモチベーションが上がらずこんな時期の更新になってしまいました。以前ラドンの記事で高らかに予告したのにこの有様というのは我ながら情けないです。
モスラの特徴の中で上げた「形態変化する」、「這いながら進む」といった特徴は何気に『シン・ゴジラ』にも共通する部分だと思います。『シン・ゴジラ』が『モスラ』に影響を受けたかどうかはわかりませんが、『モスラ』のいくつかの演出は怪獣の見せ方としては一つの到達点と言えるかもしれません。他にも「横田に基地を置く国」という明らかなアメリカをモデルとしたロリシカ国が登場したり、外交関係について描いているのも『シン・ゴジラ』に似ていたりして。
あと以前モスラについてTwitterで「大きな画面で見たい」と呟きましたが、11月2日の京都みなみ会館さんで行われた『ゴジラ誕生祭』で無事鑑賞することが出来ました。やはり思った通り完成度の高い特撮が大画面でとても映えていて、とても感動しました。また、その際に「ゴジラ以外で面白い怪獣映画を上げろというと大抵の人はモスラを上げる」との話を伺いましたが本当にその通りだと思います。
『モスラ』はとても素晴らしい怪獣映画ですから、まだ見たことない人は是非ご覧になってください。可能ならば大画面で見ることをお勧めします。





『モスラ』皆で見よう!





では皆さん、またいつか。


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