2025.04.13
ロック大陸漫遊記
TOKYO FM
「4月も2週目。運転中の方、お仕事中の方、暇こいてる方、いろんなシチュエーションの方がいらっしゃると思いますが、ちょっとした息抜きにしていただけたらと幸いです」
そして今日は、ワンアーティスト特集、【ザ・ブームタウン・ラッツで漫遊記】。
ブームタウン・ラッツといえば、ボーカルのボブ・ゲルドフさんがチャリティー企画「バンドエイド」の発起人だった、というイメージのみで留まっているかも。
でも「結構いい曲が多いです。ボブ・ゲルドフさんは決してうまいボーカリストではないけれど、なぜか心にひっかかるいい歌唱です」。
「わたくし、草野は世代的にはドンピシャでした」
オンエアリスト
01 ネズミの進化(スピッツ)
02 Lookin' After No. 1(The Boomtown Rats)
03 Like Clockwork(The Boomtown Rats)
04 Rat Trap(The Boomtown Rats)
05 I Don't Like Mondays(The Boomtown Rats)
06 Diamond Smiles(The Boomtown Rats)
07 Here's a Postcard(The Boomtown Rats)
08 あの時計の下で(Chara)
漫遊前の一曲は、スピッツで「ネズミの進化」(2007年、12thアルバム『さざなみCD』)。
「ベタなつながりですが・・・」という前置き、The Boomtown “Rats”→ネズミ、ということで、この曲です。
(スピッツというバンドの、ちょっとひねくれた主張が垣間見れて、笑えるけど、すっごくいい曲! ライブではとくにかっこよく迫ってきます)
最初の曲はThe Boomtown Ratsの「Lookin' After No. 1」(1977年、1stシングル)。
草野くん自身は、リアルタイムでは80年代に入った「かなりポップになったブームタウン・ラッツから入った」ので、初期のパンクロックな彼らの曲は「あとから追っかけて聴いた」。
「最初はパンクだったんですね、ご機嫌な曲でした」
The Boomtown Rats(ブームタウン・ラッツ)について簡単に。
1975年、アイルランドのダブリン近郊出身の6人が集まって、The Nightlife Thugsというバンドを結成。
まもなく、ボブ・ゲルドフさんによって、ウディ・ガスリーの自伝に登場したギャング団の名前にあやかったThe Boomtown Ratsというバンド名になった。
76年の夏に初ステージを踏み、ロンドンに拠点を移し、年末にインディーレーベルと契約。
77年、トム・ペティーのツアーサポートをへて、8月にシングルデビュー、翌月に1stアルバムリリース。
「デビュー当時から、わりと話題のバンドだったみたい」
次は、The Boomtown Ratsの「Like Clockwork」(1978年、4thシングル/1978年、2ndアルバム『A Tonic for the Troops』)。
2ndアルバムは1stに比べて、「パンク味は減ってちょっとポップになっているが、ひねくれた感じもあって、これはその後のブリットポップに通じる感じもある。アルバム『Modern Life Is Rubbish』あたりのBlurの雰囲気に近いかな?」と。「サウンドもとてもタイトで気持ちがいい」
The Boomtown Ratsで思い出すこと。
キーボードのジョニー・フィンガーズさんのステージ衣装がパジャマだった。『ミュージック・ライフ』でもときどきいじられていたが、「当時としてはなかなか画期的だったのでは? 90年代にニルヴァーナのカート・コバーンさんも着てたけど。これはブームタウン・ラッツのジョニーさんの影響もあったのかな?」
(ゴースカでのパジャマスピッツも懐かしい? 私が行ったときはアロハスピッツだったけど)
そのジョニーさん、バンド解散後は東京に移り住んで、「荻野目ちゃんやUAさんに楽曲を提供されたり、清志郎さんのバンドやリンドバーグでも演奏されたりしていた」というネットの情報もある。「知らんかったけどね」
次の曲は、The Boomtown Ratsの「Rat Trap」(1978年、2ndアルバム『A Tonic for the Troops』)。
シングルとしては、最初の大ヒット曲。パンク・ニューウェーブの曲では、初の全米1位となった。
そして次は、The Boomtown Ratsの「I Don't Like Mondays 哀愁のマンデイ」(1979年、6thシングル/1979年、3rdアルバム『The Fine Art of Surfacing』)。
草野くんにとって、「ブームタウン・ラッツと言えば、この曲でしょ」という代表曲。
アレンジは、ピアノとストリングスとボーカルと、ちょこっとティンパニが入っているだけ、で、「バンドの音ではないんですけどね」。
「でもすごいきれいなメロディーで、不器用だけど胸に迫ってくるような、ボブ・ゲルドフさんの歌い方」で、当時草野くんはまだ小学生だったが、「カセットに録音して、繰り返し繰り返し聴いていました。聴かずにいられない中毒性がある、というか」。
草野くんは歌詞の内容をずっとあとになって知ったが、実はアメリカでの16歳の少女による銃の乱射事件、という痛ましい事件がモチーフになっている。犯行後に動機をきかれて、少女は「I don’t like Monday.」と答えたという。
悲惨な事件であっても、わかりやすい動機や理由があるわけではない、という世の中の不条理を、きれいなメロディーにのせている、「これぞロックだよな」とは思うが、アメリカでは地域によってはなかなか「オンエアされなかった」。
「今の時代なら被害者の感情を想像するとリリースされなかったりするのかな、といろいろ考えながら聴いてしまいます」
(それなりには若かった頃の衝撃を思い出す。こういう曲を受け止めて感じ取れる成熟した社会であってほしいなと思ったことも)
The Boomtown Rats - I Don't Like Mondays (Official Video)
メッセージコーナー。
今の若者は忠臣蔵を知らない(居酒屋さん?と言われたとか)・・・と知って、少し寂しい思いをしたリスナーさんから、「若いアーティストと話していて、世代間のギャップやこんなこと知らないんだ~、あるいはなんだそれ?と感じたことはある?」。
「バンドマン同士は共通の話題が多いので、あまりないような・・・」、だけど「たしかに時代劇っぽい居酒屋さん、多いよね、『新選組』とか『家康』『信長』・・・」。
バンドマン仲間でなければ、「ロックについて知らない若者はすごく多いし、ま、それが普通ですよね」。
草野くんはこのリスナーさんより10歳上だけど、「『忠臣蔵』は子どもの頃から、共感できなかった記憶がある。今の価値観と微妙に合わないから、テレビでもあまりやらないのかもしれない」。
少人数で巨大な敵に挑むなら受け入れられるかもしれないけど・・・。「みんなで寄ってたかって老人一人こらしめてる、みたいに見えちゃうのかも」。
でも「世代間のギャップも楽しんでおもしろがるくらいにとらえてたほうが、今の時代はいいかも?」
ボブ・ゲルドフの歌唱
ボブ・ゲルドフさんの歌い方って、「ボブ・ディランさんの影響が強いのかな? 意識して聴くと、アメリカやイギリスのシンガーでボブ・ディランさんのフォロアーなのかなっていう人、結構多い。私の主観かもしれないけど」。
トム・ペティさんはもろ、だし、ルー・リードやイアン・ハンターもそうかな、と。
「ボブ・ゲルドフさんもその系譜につながるのかな」
そして、The Boomtown Ratsの「Diamond Smiles」(1979年、7thシングル/1979年、3rdアルバム『The Fine Art of Surfacing』)。
ZO-3でカッティングを聴かせてくれて、「スピッツにもありそうな・・・という曲調」。(「ハネモノ」とか?)
The Boomtown Rats - Diamond Smiles
ボブ・ゲルドフの社会的な活動
ボブ・ゲルドフは、80年代以降はバンドエイドの発起人としてのイメージが強いが、実はもっと「前から社会的な活動をしていた」。
81年のアムネスト・ショーを皮切りに、「Do They Know It's Christmas?」をミッジ・ユーロ(ココで特集)とともに作曲して、バンドエイドにつながる。
これがきっかけで、USA for Africaの「We Are the World」につながっていく。
ボブ・ゲルドフは「アイデア豊富で、リーダーシップもとれる、頼れる兄貴的なキャラの人なのかな?」。
実際には賞賛ばかりではなく、「アメリカの一面的な暗くて貧しい、怖いという間違ったイメージを世界中に与えたのではないか」とか「ベテランミュージシャンのための売名だったのでは?」という批判や、ゴシップも多かったので「結局セレブでしょ」みたいに言われたり、バンドメンバーと金銭的なトラブルもあったり・・・。
でもそれでもめげずに、今でも現役で社会的な活動を続けているらしい。「真相はわからないが、今日は、ブームタウン・ラッツの曲、イカしてるよな、ということでお送りしています」。
最後の曲は、The Boomtown Ratsの「Here's a Postcard」(2020年、7thアルバム『Citizens of Boomtown』)。
4thアルバム以降もヒット曲はあるが、草野くんはあまり聴いていないので「端折らせていただきまして」。
解散~再結成を経て、今でも活動を続けているので、ここでは最新アルバムから。
「この曲もいい具合に枯れていてカッコいいです」
The Boomtown Rats - Here's A Postcard (Official Video)
2020年、ギターのギャリー・ロバーツさん、亡くなって、トリオ編成になる。
今年、全員が70歳を超えたが、5月の音楽フェスに参加決定。10月からはイギリス国内をツアーで細かく回るそうだ。
「お元気で、いつまでも」
特集の最後に。
ブームタウン・ラッツ・・・、ヒット曲も多くて、フロントマン、ボブ・ゲルドフさんの知名度のわりには、「バンドの知名度はチョイ低めかなあ」。
「本業以外の活動の印象が強すぎると、本業(ここではバンド活動)のほうがかすむのかな」
例として、「怪談話で有名な稲川淳二さん、もともと本業は工業デザイナー」。
ブームタウン・ラッツ、「いい曲がたくさんあるので、気になった方はさらに掘ってみてください」。
そして今日の「ちょっぴりタイムマシン」は、Charaさんの「あの時計の下で」(1992年、2ndアルバム『SOUL KISS』/作詞・作曲:Chara、編曲:C. Pierre)。
(イントロは、「ハネモノ」!(笑))
スピッツとは同世代なので、「デビュー当時はイベントで一緒になったり、雑誌で対談したり・・・」。
「本人には言ったことはないけど、Chara、すごいやつだと思うんですよね。当時、革命的シンガーソングライターだったと思います。90年代初めころ、それまでいないタイプの方だった」
あくまでキュートなイメージを保ちつつも、男性にこびていないキャラの女性シンガー・・・、「今は普通ですけど、Charaはパイオニアだったのではないかな」。
ライブを見に行ったときも、「女性のファンが多かった記憶があるんだよね」。
「歌い方の独特さを抜きにしても、まず曲がよかった、メロディーがすごく強くて、あの頃、この曲すげーな、って思った曲を今日は聴いてもらおうと思います」
そして来週は、「エモで漫遊記」。
90年代からゼロ年代にかけて起こった、アメリカのロック・ムーブメント。
もともとは、インディーパンクから派生したエモーショナル・ハードコアのことで、「パンクロックに抒情的なメロディーを乗せて、エモーショナルに歌い上げるスタイル」。
のちにそのシーンからいろんな人気バンドが出てきて、エモーショナルなパンクロックのバンドを広く指して「エモ」と呼ぶようになった。
そんなエモのバンドの曲をセレクトして特集します。
「草野さん、観葉植物のお世話はお任せください」
草野マサムネ、ラジオ出演!!
フラワーカンパニーズのラジオ番組「CHARMING BONGO」に2週続けてゲスト出演するそうです。
https://spitz-web.com/news/7668/
★「CHARMING BONGO」α-STATION-FM京都
DJ :フラワーカンパニーズ(鈴木圭介・グレートマエカワ)
OA:4月20日(日)・27日(日)15:00-16:00
とくに目新しい内容ではないけれど、こんな記事も。
「ロビンソン」のなが~い歴史と、変わらずに聴くことができる不思議な力!
https://trilltrill.jp/articles/4031955