隠れ家-かけらの世界-

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統一性の欠如シリーズ(笑)その④~『綴り字のシーズン』

2007年03月17日 18時34分55秒 | 映画レビュー
 シリーズ第一弾『砂と霧の家』、第二弾『黄昏』、第三弾『博士の愛した数式』に続いて、最後は『綴り字のシーズン』。

 不思議な映画です。家族を描いているんだけど、バックにある宗教や神秘の世界がとてもミステリアス。家族が崩壊していくさまがまるでミステリーのようにスリリングで、現実と神秘の世界が交差する。
 
★家族再生映画+ミステリー
 宗教学者のソール(リチャード・ギア)は、一見穏やかな父親に映るが、ある意味、自分の専門と自分の興味にしか心がいかない男なのかもしれない。優秀な息子の教育に熱心に取り組んでいたかと思うと、娘イライザの綴り字の才能を知るや、今度はその娘のほうにしか興味がいかなくなる。
 結局、妻の抱えるトラウマも、見放されたかのような息子のやりきれなさも、彼は気づくことがなかったのだ。
 誰も声を荒げることもしないし、けんかも、そう口げんかさえしないのに、家庭はどんどん壊れていく。それを観客である私たちは目の当たりにし、妻と息子と、そして幼い娘は恐れているのだが、父親だけは気づかない。知的で優しそうで、でも愚かな男だ。そういう男を演じて、リチャード・ギアがとてもいい。
 トラウマを抱えて、盗みを繰り返し、結局精神病院に入院することになる妻を演じるジュリエット・ビノシュも、すごくいい。
 何より、綴り字の才能を発揮するイライザのフローラ・クロスの表情が何かを感じさせて印象的。綴り字を思い浮かべるときの、どこか別に世界に入ってしまったかのようなようすが、この家族再生映画にミステリーの味付けをしていると言っても言いすぎではないかもしれない。
 この賢い娘は、その幼い心で考え、スペリングコンテスト全国大会の決勝の最後の最後の一文字で、家族を救う。テレビカメラを通じて病院の母をみつめる、その目が誇らしく、何かをやりとげた達成感を感じさせ、心に温かいものを残してくれた。

 ちょっと疲れたので(笑)、最後は短くなりました。
 読んでくださって、ありがとうございます。
 これから散歩に出かけます。
 

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