会えるなら もう少し先がいい

■会えるなら　もう少し先がいい

伸ばした指先に　触れるものはない
せめて　あの日の淡い喜びだけ　見えたらいいのに
果てない思いなど　今はないけれど
思い出というタイトルは似合わない
風にも匂いがあること
雨にも温度があること
短い歩みが教えてくれた
会えるなら　もう少し先がいい
記憶が少し薄れた頃に　前触れもなく
私の肩をたたいてほしい
泣きはしないけれど　きっと泣かないけれど
振り向いたときの光景を思うだけで
胸の奥が震えます