2023.06.18
「ロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
6月も3週・・・。
スピッツのツアーが始まるということで、この番組の収録をかなりまとめて前倒しで録音しているそうで、「予想なんですけど、もうかなり夏めいてきているんでしょうか。まだ雨降ってんのかなあ」。
(かなり暑い日が続いております)
夏になって気温が上がると、「オレなんか、すぐに食欲がなくなるんですよ。夏バテしやすい体質です」
「これってなんで?」と常々疑問だったそうで、ググってみたら・・・。
気温の低いときは、体温が下がらないように栄養を摂取せよ、という命令が脳から出ている。「だから秋冬は食欲が増すんだって」。
逆に気温が高いと、「そんなにカロリーとらなくていいよ、ってなるみたい。で食欲がなくなる」。
個人差はあるだろうが、「オレはとくにその傾向が強いのかなあ。どおりでね~と合点がいった」。
夏に食欲がないときに冷房がきいた部屋に入ると急に空腹を感じることがよくあるそうで、「それも脳の指令だったのか」。 「諸説あるのかもしれないけれど」という但し書き付きで。
それでも「これからの季節、無理をされないように」ということで。
(夏になってもまったく食欲が落ちないのですが・・・)
今回のテーマは、【マーク・ボランで漫遊記・後編】。
70年代前半に大きなブームとなったグラムロック。そのシーンを代表するアーティストの一人。
「ワタクシも後追いファンなんですけど、10代のころすごく影響を受けました」
好きな曲を選んでいたら1週では収まりきらない曲数になったそうで、「ワンアーティスト特集では初の」2週にわたって・・・です。
オンエア曲
01 迷子の兵隊(スピッツ)
02 Telegram Sam(T. Rex)
03 Jitterbug Love(T. Rex)
04 20th Century Boy(T. Rex)
05 Electric Slim & The Factory Hen(T. Rex)
06 Venus Loon(T. Rex)
07 Light Of Love(T. Rex)
08 Dandy In The Underworld(T. Rex)
09 F・L・Y(スペクトラム)
漫遊前の一曲は、スピッツで、「迷子の兵隊」(1994年、5thアルバム『空の飛び方』)。
ミューアルバムリリースをきっかけに昔の曲を振り返る機会があり、「これ、カッコよく仕上がってたんじゃない?」と再評価?できた楽曲。
(歌詞のイメージが広がる感じと、サウンドの重さ、ドラムやベースの荒っぽい音? みんないいですよね~)
最初の曲は、「T. Rex全盛期の楽曲」、「Telegram Sam」(1972年、3rdアルバム『The Slider』)。
「歌詞が謎でユーモラス。T Rexの歌詞って基本的にこんなのばっかり」、
「電報屋さんのサム あなたは私の大切な人です」(Telegram Sam, telegram Sam, you are my main man)って、どういうこと?と。
このアルバムのジャケット、「シルクハットをかぶったマーク・ボランさんがすごくカッコいい!」
これはビートルズのリンゴ・スターが撮ったという説があるが、wikiではプロデューサーであるトニー・ヴィスコンティ撮影とあるそうだ。
次の曲は、T. Rexの「Jitterbug Love ジルバの恋」(1972年、7thシングル「Children Of The Revolution」のB面)。
草野くんが「ときどき聴きたくなる大好きなナンバー」。
軽快なAメロからサビでゆったりしたリズムになるのが「すごく気持ちいい」。
サビを聴かせてくれて、「このサビのメロディーがいかにもマーク・ボランさんという感じで、好きですね」と。
(このあたりは、すごく懐かしい)
次の曲は、T. Rexの「20th Century Boy」(1973年、9thシングル)。
「この曲くらいまでが、T. Rexの全盛期・・・という感じですかね」でリフを弾きつつ、「現在では、マーク・ボランさんのいちばん有名な曲かもしれない」と。
多くの人にカバーされている。メタルバンドのDef Leppard、Grilschool、パンクバンドのスージー&ザ・バンシーズ、日本でもX JAPANなどがカバーしている。
浦沢直樹さんの『二十世紀少年』も、ここからきている。
この曲は、T. Rex来日の際に東京のスタジオで録音されたらしい、です。
次の曲は、T. Rexの「Electric Slim & The Factory Hen」(1973年、4thアルバム『Tanx』)。
ここらへんから、T. Rexは「徐々に売り上げが落ちていく」。
草野くん曰く、「内容的な濃さは変わらないと思う。むしろ、すごくいい曲が並んでいるアルバム」。
だから、「だんだん時代を合わなくなってきたのかな。T. Rexが、というよりグラムロックが時代遅れになってきていたのかなと思いますが」。
グラムロックは、「あだ花的なブームだったのかな」。
後追いファンの草野くんにとっては、このアルバムは最初に買ったT. Rexのアルバムなので、「すごい思い入れがある」。
高校生だった草野くんは、福岡の藤崎という町にあった、ご夫婦で経営していたレコード屋さんでこのアルバムを購入。その際、奥さんが「まだあったはず」と言って、倉庫からマーク・ボランのポスターをさがしてきて、おまけにつけてくれた。10年以上も店の奥で埃をかぶっていたポスターだったが、うれしくて、ずっと部屋の飾っていたそうだ。
大好きなレコード屋さんだったので、このアルバムを聴くと思い出す、と。
次は、Mark Bola & T. Rexの「Venus Loon ビーナスの美少年」(1974年、5thアルバム『Zinc Alloy And The Hidden Riders Of Tomorrow Or A Creamed Cage In August ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー』)。
このあたりから、当時パートナーだったグロリア・ジョーンズさんのパワフルなコーラスを得て、R & Bへの接近を試みる。
「でもいろいろやってみても、T. RexはT. Rex。マーク・ボランさんのマジックパウダーですべて味付けされる音楽」と。
例えば、デヴィッド・ボウイは、「同じ食材を使ってもトマト味とかクリーム仕立てとか、刻みニンニクで炒めてバルサミコ酢で仕上げた」というように、いろいろな手法を見せてくれる。でもマーク・ボランは「どんな食材でも一種類のマジックパウダーで味付けしちゃう、鶏肉をソテーしてマジックパウダー、ジャガイモもボイルしたらとりあえずマジックパウダー、パラパラ・・・みたいな」。
(たとえがイチイチ楽しい)
マジックパウダー自体は美味しいので、「はまる人が続出なんだけど、同じ味ばっかりだと、当時飽きる人も多かったのかなあ」。
「本当に独特なので、はまったら簡単には抜け出せない」。草野くんも「深くはまってしまった」。
ただマーク・ボランさんはすでに他界していたので、「俯瞰で聴くことができた」けれど、リアルタイムで聴いていた人は、「マジックパウダー、飽きちゃったのかな」と。
「オレの中でのグラムロック」とは?
グラムロック(glam rock)。glamはglamorousからきている。
「きらびやかな衣装を着て、キャッチーなロックンロールでみんなで盛り上がるようなロック」ですかね。
T. Rex、デヴィッド・ボウイのほかに、Slade、70年代前半のRoxy Musicなどがそのジャンルに含まれる。
そして次の曲は、T. Rexの「Light Of Love」(1974年、13thシングル/1975年、6thアルバム『Bolan's Zip Gun』)。
この曲は、CMで使われていた。「なんのCMだったっけなあ」
(ダイアン・レインの化粧品のCMだそうです)
ここから、トニー・ヴィスコンティさんと決別。「あの独特のストリングスがなくなり、よりシンプルなバンドサウンドになっています。それゆえの軽快さがあるかな。キーボードの一種、クラビネットの音が心地よい」と。
T.Rex - Light Of Love (Official Promo Video)
そして最後は、「T. Rexにとってもマーク・ボランさんにとってもラストアルバムから」、「Dandy In The Underworld」(1977年、8thアルバム『Dandy In The Underworld 地下世界のダンディ』)
このアルバムがリリースされたころは、「グラムロックは完全に過去のもの」になっていた。ミュージックシーンは、パンクロックに移行していた。
パンクロックのミュージシャンにはビッグなロックスターを嫌悪している人が多かったが、「マーク・ボランには一目置いていた」という話をよく聞くそうだ。彼自身もパンクロッカーたちにはシンパシーを抱いていた。
生前、「自分は30歳までは生きられないだろう」という予言めいた発言をしていたが、30歳になる前に交通事故で亡くなる。
恋人が運転するミニクーパーで街路樹に衝突するという事故。
その事故現場には彼を追悼する石碑が建てられていて、スピッツは撮影でロンドンに行った際、メンバー全員で訪れた。今でもファンが花を手向けたりしていて、その影響力は続いているようだった。
「もしご健在だったら、どんな音楽を聴かせてくれていたんだろう」と。
T.Rex - Dandy In The Underworld
(若くして亡くなったから、ファンには永遠にこんな若い姿のまま・・・)
特集の最後に。
マーク・ボランさん、若くして亡くなったので、「活躍していたのは実質10年くらい」。
ジミヘン、カート・コバーンと同様、「早世されていなかったら、その後どういう作品を生み出されていたのか、想像したりしますね」。そういうのも「ロックファンあるある」と。
草野くんが想像するに、「今もレスポールを抱えてグラムロックを奏でる、ちょっとストレンジなおじいちゃんだったのでは?」
そして、「ちょっぴりタイムマシン」のコーナーは、スペクトラムの「F・L・Y」(1980年、3rdシングル)。
(イントロは、「ドルフィン・ラヴ」。ワクワクするイントロ)
スペクトラムは、トランぺッターの新田一郎さんを中心に結成されたブラスロックのバンド。ブラスロックといえば、シカゴ。
(Chicagoの「Questions 67 and 68」のイントロを聴くと気持ちが全開するような気がして、アルバム『シカゴ I(シカゴの軌跡)』だけはiPhoneに入ってる)
オーディオのTVCMでは、スペクトラムのメンバーが北欧のバイキングの衣装をまとっていた。草野くんには、それがすごくインパクトがあった。雑誌の広告にも載っていて、印象的だった。
日本のコスプレバンドのハシリではないか?と。
少年のころは、ブラスロックはあまり・・・だったが、大人になって、「スペクトラム、カッコよかったんだ」と改めて思ったそうだ。「シティーポップは雰囲気もあって、とてもオシャレです」
来週は、【バイオリンが入ったナンバーで漫遊記】です。
映画『水は海に向かって流れる』の主題歌「ときめきPart1」で、スピッツは初めて、ソロのバイオリニストを共演した。そういう単体のバイオリンが入ったナンバーをセレクトして聴かせてくれるそうだ。
ストリングスの入った曲は世の中にたくさんあるが、あくまで「単体で」バイオリンが使われている楽曲、ということです。
「草野さん、アジフライのうまい店があるんですよ」
(アジフライのうまい店、私も知ってます)(笑)。
将棋は、「とりあえずは動かし方がわかる」のちょっと先にいる程度のワタクシですが、深い深い意味はわからずとも、なんとなく心に深く刺さります、そんなお話。
https://bunshun.jp/articles/-/63584