隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

誤解しないで。でもひょっとして「ストーカー」賛歌?~スピッツ「Holiday」(『ハヤブサ』より)

2007年03月03日 17時45分54秒 | スピッツ
★導入は軽く「ストーカー」談義で
 最近はストーカーがらみのイヤな事件が頻発して、「ストーカー」という言葉自体の市民権は失われ、というか剥奪された感があります。
 でもさ、多少のストーカー要素がなければ恋愛なんてなりたたないよ、と本音を言ったら、年頃の娘をもつ女性から、「でも相手が怖いと思ったらおしまいだから」と切り捨てられたし。たしかにそうだよな、「怖いよ、あの人」と思われたら、恋愛どころじゃない。
 恋愛における「ストーカー要素」には、本来は「ささやかな楽しみ」とか、「せつなさの表れ」という雰囲気があったと思うんですけどね。今はもう「ストーカー=アブナイやつ」という等式になってしまった。ちょい「ストーカー妄想」の持ち主である(笑)私としては、本当に残念な昨今なのです。

★「Holiday」に雄叫び?
 そんな私にとって、2000年リリースのスピッツのアルバム『ハヤブサ』におさめられた「Holiday」は、ストーカー魂全開の画期的な作品です。これをはじめて聴いたとき、「あーっ! これは禁断のストーカー曲だー!」と心の声が雄叫びをあげましたから(笑)。(ごめんなさい。この曲をもっと違うふうに受け止められた方がいらしたら、不愉快になったでしょ? これはあくまで変態な人の勝手な雄叫びですから。念のため)

★「まとも」だったのに
 こいつ、ずるいな、最悪だな、と思ったのは歌い出しの歌詞。だって、キミに出会わなければ自分はきっと「もう少しまともだったのに」って言ってるんですよ。「朝焼け」のときから夕暮れまで「キミを探そう」なんてきわどいことをしながら、そういう自分の行為を好きになった相手のせいにしているんですから。最低な男…。でもせつない。だってすぐあとで、キミなんか好きにならなかったら、幸せでいられたのになあ、なんて気弱なことも言ってる。
 「アブナイ」だけで突っ走らずに「せつない」を加味するところが、草野の計算だったりして。「アブナイ」だけを期待する一派の出鼻をくじいて陰で笑っているのかなあ、なんて。

★センスのいい人にストーカーは似合わない
 不気味だなと思ったのは、「あみだをたどるように」キミを探そう、ってとこかな。ロックに「あみだ」ってすごいですよね。最初「なみだ」と聞こえてスルーしてたんだけど、「ん? あみだ?」と知って感服しました、マジで。
 あみだをたどるように、街のあちこちの角を曲がって曲がって…。キミの居場所はわからないんだけど、でも確実に目的地に向かって進んでいる、というところに、ストーカーの嗅覚の鋭さを感じてしまいます。ある意味、怖いです。
 この人はきっとださい格好をして自転車に乗って探しているんだろうな、と私の中ではイメージができあがっています。「ださい格好」が絶対条件。イケメンでもいいけど、ファッションセンスのいいやつにはストーカーは似合わない。これ、私の持論です(笑)。
 それとね、徒歩じゃないだろうな、って。歩くスピードでは迫ってくる怖さがない。車は論外だけど、自転車くらいのスピードがピッタリ。ゆっくりだけど適度な速さで「敵」はあなたに近づいています、という感じかな。うまいなあ。

★勝手に描いてしまう「心の闇」
 サビの部分の歌詞には、この人のずっと抱えてきたものがこめられていて、痛いほどせつない。「心の扉」を「痛みをこらえて」開ける、って、どんな状況なんだろうと想像して、妄想癖のある恥ずかしい私は、勝手にこの人物の心の闇まで浮かべてしまった(恥)。
 キミを呼ぶのが「古い暖かな部屋」というのは、やっぱり健全な心の持ち主ではないかもなあ、と思ってしまいます。部屋に呼んでどうするんだ、ってね。いかがわしくはないんだけど、でも絶対に部屋に行ってはダメだよ、「まともな」子なら行ってはダメ、きっとトラウマになるよ、と助言したくなる。うまく言えないけど、そういうアブナサと、でもせつなさを感じさせてくれるところです。
 「古い暖かな」というところ。「古い」も「暖かな」もごくごくふつうの形容詞だけど、こういう曲でこのふたつの語が合体すると、うまく言えないけど、深い病んだものを想像させてしまう。これは私がヘンなだけですか?

★「ダダダー、ダダッダダー」(笑)
 なんと言っても好きなのは、いつかは「こんな気持ち悪い人」をやめたいと思っている、ところ。でもなぜだか状況が「険しく」なればなるほど「すごく元気になる」というところ。「Holiday」は、ここの歌詞だけで、私には「神の曲」(笑)ですね。
 自分のしていることのおかしさにちゃんと気づいているんだな、こいつは、と思うと、なんだか悲しい。こんな気持ちの悪い男を好きになんてならないだろうなと、きっとわかってはいるんでしょう。でも困難な状況になっていくほどに、ペダルを踏む足は力強くなるし、テンションもどんどんハイになっていく。これって、やっぱり怖いですか?
 この曲のバンドアレンジがとにかく好き。「ダダダー、ダダッダダー」(すいません、意味不明でしょ?)というリズムが、どんどん「元気に」なっていく心臓の音を表しているようで、小気味いいのです、そしてせつないのです。スピッツってすごいなあ、かっこいいなあ、深いなあ、と感心してしまうのです。

★ガンバ、「ストーカー」君!
 「Holiday」というタイトルもすごい。ふつう「ホリデー」というタイトルを聞いたら、なんとなく楽しい明るい雰囲気を想像するでしょ。でも、この曲からはそういうものは皆無。
 きっとふつうの日常生活を送っている人なんだろうけど、こんなふうに「まともじゃないなあ」と自分でも感じるような行為をしている日々が、この人にとってはなによりの「ホリデー」なんだろう。
 アブナイかもしれないけど、でもこんなふうに自分のあやうさに気づきながらも「ストーカー」まがいなホリデーを過ごしている人に、私はエールを贈ってしまえる人でいたいのです。ガンバレ!


 勝手なことを書きなぐりました。スッキリしたー(笑)。
 ちなみに「ホリデイ~♪」と歌う草野の英語の発音は、けっこうグッドです。
 彼はストーカーはしない体質の人なんだろう、わかんないけど。でも、そういうアブナイことをさせてしまう恋愛の妙味や、恋をする人の異常な(と第三者が感じてしまう)行為をわかる人ではあるんだろうな。と、これは大きなお世話でした(笑)。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 私はただいま工事中 | トップ | 生ぬるい雨が降る »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。