2022.04.17
「草野マサムネのロック大陸漫遊記」
FM TOKYO
4月も4週目(ホントに早いなあ)!
草野「心に余裕がある方も,意外とぎりぎりな方も,ちょっとした息抜きにしていただけたら」
そして、今日の特集は、お待たせしました! 【スピッツ曲リクエスト/思い出エピソード添えで漫遊記パート①】。
草野「メチャメチャたくさん、2000通以上、マジか! リクエストいただきました。あなたの思い出エピソードとともに、スピッツ曲、楽しんでいただこうと思います」
オンエア曲
01 楓(adieu)
02 さらさら(スピッツ)
03 春の歌(スピッツ)
04 ベビーフェイス(スピッツ)
05 愛のことば(スピッツ)
06 恋のはじまり(スピッツ)
07 冷たい頬(スピッツ)
08 遥か(スピッツ)
09 夢追い虫(スピッツ)
漫遊前の一曲は、「今日はスピッツの曲ばかり流れるので、カバーバージョンで」、スピッツの「楓」(1998年、19thシングル/adieu 上白石萌歌 2020年、デジタルシングル)
草野「すごくきれいな声で、歌い方もナチュラルで、ステキです」
(ホント、力が抜けてくる)
曲終わりで、「すごく丁寧に歌っていただいて。車のラジオから聴こえてきたときは、自分の曲じゃないようで、しんみりふんわり聴かせていただきました」。
草野「東京都、草野マサムネさんのリクエストってことになるのかな」
最初の曲は、「さらさら」(2013年、38thシングル/2013年、13thアルバム『小さな生き物』)。
カナダのトロントにいた頃、彼に浮気されてひとりでマイナス20度の真夜中の道をとぼとぼと歩いたことを思い出すという。別の人と結婚して幸せな日々送りながらも、アルバム『小さな生き物』を聴くと、心の中がざわざわするそうです。
草野くんが「例えばこういうエピソード」と例にあげた「さまにそのタイプのリクエスト」。「模範的なお便り、ありがとうございます!」
カナダ、トロント、冬! 「『さらさら』のメロディーとリンクしている、って不思議な感じでいいなあ」。
草野くん、トロントと言うと、トロントタワー(CNタワー)、屋根が開閉式のスタジアム(ブルージェイズの本拠地)、オンタリオ湖・・・くらいしか浮かばないけど、「さっき画像検索したら、ステキな街ですね」。
次の曲は、「春の歌」(2005年、11thアルバム『スーベニア』/のちに、30thシングル)。
(草野くんの声で紹介されるスピッツ曲がラジオから続けて流れるというのは、なんだか不思議な感じです。「春の歌」、サウンドが力強く響く。優しい声さえも力になる曲)
この曲がリリースされたころ、名古屋の栄を自転車通勤で通っていたら、夕暮れ時にスピーカーから流れてくるのは「春の歌」だけ。「毎日、『春の歌』を聴きながら帰宅していました」。
書道の先生から、筆耕、テレビアニメの文字担当、アート書道講師デビュー・・・、「食べられるものをすべて食べたら」、20代のころは想像もしなかった道が開け、「仕事の幅が広がりました。『春の歌』は2005年から続く、私の応援歌」。
「文字のプロの方なんですね。文字がきれいというだけで単純にリスペクトしてしまいますが」と草野くん。
(あなたの文字も、とても味わいがあってかわいい・・・)
草野くんも「街角のスピーカーから流れる曲ってずっと心に残って、励まされることありますね」と。
「夢をかなえる過程でスピッツの曲が寄り添うことができたのだとしたら、とてもうれしいです」と。
次の曲は、「ベビーフェイス」(1994年、8thシングル「空も飛べるはず」のカップリング/5thアルバム『空の飛び方』)。
「大したエピソードじゃないけど、恥ずかしくて誰にも話したことがない」なんて、「なになに?」とききたくなるじゃないか。
パチンコ好きな昔の彼氏は、よくパチンコをしながら自分の仕事が終わるのを待っていてくれた。
そのとき自分もやってみたら、彼よりも玉が出ちゃって・・・。で、景品で、当時ほしかったスピッツのアルバム5枚をゲット! 「ちゃんと買わずにすみません。あとは買ってます」(笑)。
そしてそこから本格的にスピッツが好きになり、初めて買ったのがシングル「空も飛べるはず」。
「なぜかカップリングの『ベビーフェイス』のほうを部屋でよく聴いていました。ですから、今でも『ベビーフェイス』を聴くと、実家の西陽で熱い自分の部屋を思い出します。そして、あの5枚のアルバムで、パチンコ屋を思い出します」と。
草野くん自身はパチンコをしたことも関心もないけれど、「自分とまったく縁のないものとスピッツの曲がリンクするのは楽しいな」。
(学生のころ、キャンプ場の管理室でバイトして、一人の夜、置いてあったパチンコ屋の本物の機械1台で楽しくわびしく遊んだこと、思い出すなあ。玉がなくなったら自分で補充できるから、半永久的に続けられて、スリルがないからそのうち飽きちゃったけど。あ、スピッツがまだ影も形もないころの思い出だ)
パチンコ屋の有線でスピッツが流れると負ける・・・と言っていた人、結構いたそうです。「あんまり景気のいい音楽じゃないのかもしれないですね」
(なんだか、わかる・・・。勝てそうにない)
次は、「愛のことば」(1995年、6thアルバム『ハチミツ』)。
(『ハチミツ』リリース当時、これがいちばん好き!と言っている人、本当に多かったなあ)
14歳のころ、初めてスピッツを認識した曲。(初めてのラジオ投稿。投稿せずにはいられない!と)
当時はMDプレイヤーが主流だったが、カセットプレーヤーしか持っていなかった・・・。
サザン大好きな友人がサザンの楽曲をたくさん入れたカセットを貸してくれて、それを聴いていたら、B面で突然スピッツのあの曲が・・・。
桑田さんの声でアゲアゲ気分だったところに、突然ミステリアスな曲変更に、思わず「誰?」とツッコんでしまった。それでも幻想的な曲と声に心を奪われ、何度も繰り返し聴いた、あのときの衝撃な鮮烈に覚えているそうだ。
「アナログだからこそ、の偶然の出会い。そして、この曲がスピッツだったからこそ、今も続くスピッツ愛になったのだ」と。
草野「MDや今のサブスクだったら、『あれ、サザンじゃないじゃん』って指先でピッと消されてたかも」
でもカセットやレコードならば、「あれ?」と思っても、ひとまず我慢して聴いて、「そのうち沼に落ちてることも・・・」
(スピッツデビュー当時、スピッツ聴いてみて、と薦めても聴く耳を持たなかったわが旧友。『リサイクル』をたまたま手に入れてすっかり気に入って、「スピッツって知ってる? すごくいいよ」と、何年かぶりに私に電話してきたことがあったなあ。出会いって、どこに転がっているかわからない)
次の曲は、「恋のはじまり」(2005年、11thアルバム『スーベニア』。
(当時から、イントロが好きでした。粘っこい感じ。「それは恋のはじまり そして闇の終わり 時が止まったりする♪」が好き好き。「俺を揺らす♪」ではドキッとさせてくれる)
カープの本拠地「マツダスタジアム」ができたのが2009年。それから2年間、地元の新聞社のモバイルコーナーでレポート(新スタジアムの座席からの眺め、スタジアムグルメの紹介などなど)を担当されていた。
そこで知り合った人のブログを覗いてみたら、「鯉のはじまり」というタイトルで、スピッツの歌詞になぞらえて、「それは鯉のはじまり 闇の終わり カープが連勝した~♪」と書いてあった(草野くん、歌ってくれました)。
シングル曲じゃない、アルバム曲をなんで? もしかしてスピッツファン?と興奮したそうだ。「好きなものが同じ」は友人として最強の条件、それも「スピッツとカープ」ということで2つも! 「スピッツとカープ」で、「スピカ友達」となったそうです。
一緒にスピッツライブに行ったり、マツダスタジアムでカープを応援したり。住んでいるところが近いのでコロナ禍にランチしたり。お付き合いがずっと続いている、「大人になってからでも、友達ってできるんですね」と。
草野「大人になってからの友達って、共通の趣味からつながるパターンって多いかもしれない。子どものころとか学生のころって、近所に住んでたり同じクラスだったり、偶然のつながりから友達になったりするけどね」
次の曲は、「冷たい頬」(1998年、18thシングル/8thアルバム『フェイクファー』)。
当時付き合っていた彼に、当時リリースされたばかりのアルバム『フェイクファー』と何枚かのCDを貸してあげたら、ある日部屋で「冷たい頬」を弾き語りしてくれた!
ところが・・・! 「あのマサムネさんのステキな手書きの歌詞カードに、ボールペンでギターのコードが書き込まれていた」。(うわー)
顔面蒼白になったただならぬ彼女のようすに、平謝りしてくれた彼。口では「いいよいいよ」と言いながら、「泣きそうなくらいショックでした」。
(すみません、笑っちゃうくらいに気持ちわかる)
コロナ禍でギターを始めた彼女は久々にCDを引っ張り出して、例の歌詞カードを見てみたら、「今もボールペンのコードがしっかり残っていて」、でも書き込まれたコード、結構間違っていたとか(笑)。
人のCDの歌詞カードに勝手に書き込むって、なんやねん!と思いつつ、「あの彼、元気にしてるかな」と。
草野「めちゃめちゃ、文章うまいよね。短編小説読んだような感じ」(ホント。読ませる文章!)
歌詞カードについての価値観の相違から生まれた悲喜劇?
草野くんは子どものころ、貸した雑誌がポテチの油じみをつけられて戻ってきたときショックを受けた記憶があるとか。「人から借りたものには注意しないとね。オレも気をつけなくちゃ」。
(人生、あるある。小学生のころ、大事にしているものという課題で、年老いた叔母からのたった1通の手紙を提出。戻ってきたのを見たら、あちこちにえんぴつで薄く罫がひかれていて、大人でこんなことする人がいるんだ、と衝撃だったこと思い出した。)
次は「遥か」(2001年、23thシングル/2002年、10thアルバム『三日月ロック』)
(語りたい歌詞が溢れている曲。「匂いそうな I love you♪」だぞ)
そして、「超個人的なエピソード」!
リリース当時中学生だった彼女のクラスに授業中によくいねむりをして怒られる翼くんというクラスメートがいたそうだ。ある日、いねむりする彼の姿を見て、突然「あ、これが本当の『夢から覚めない翼』じゃん」と気づいてしまった・・・。
草野「(今後ライブで「遥か」を歌うとき)、想像上の翼くんを思い浮かべてしまうかもしれない」
若いころは眠かったという草野くん、「50過ぎると、すぐ目が覚めちゃうんですよ。だから、眠るのにも、若さというか若いパワーが必要だったんだな」と思っちゃうそうです。
最後は、「夢追い虫」(2001年、24thシングル/2004年、スペシャルアルバム『色色衣』)。
(5本の指に入るぞ~。MVのボーカルが珍しくセクシー。あれ、最近ライブであまりやらない?? 重いサウンドが絶妙なのに)
20年くらい前、保育園児の育児、家事、仕事に追われて、こんな日々がいつまで続くんだろうと疲れ切っていた頃、「ユメに見たあの場所に立つ日まで 削れて減りながら進む♪」に、前に進もうぜ、そのうちゴールが見えてくるよ、と励まされたような気がして涙が出た「若いお母さん」。
「いろいろ削れて減りましたが」、娘さんたちも成人し、お仕事もあと数年で定年、というところまで、「少しずつですが進んできています」。
「20年前の私にエールをおくってくださって、本当にありがとうございました。いまでも『夢追い虫』を聴くと涙が出ます」
(なんだか、こちらも涙がでてきた。「削れて減りながら」は私にとっても大事な言葉。ちょっと大変だった頃のこと思い出しました)
草野「曲に意味を与えてもらって、存在意義を与えてもらって、作り手としても、作ってよかったな、と思います」
(きっとみんなそれぞれに、自分の大事なスピッツ曲に「自分にとっての意味」を感じているんだろうな。きっとそうだよ、草野くん)
同い年だそうで、「50年以上頑張って生きてきたよね、と同志のような感情を抱いてしまいます。今後、オレも削れて減りながら生きていけたらなと思っております」と。
そして、特集の最後に。
メッセージの数々、「読んでいて本当に楽しかった」。
内容は、別れだったり病気のことだったり、「決して楽しいものばかりではないけれど、そこに寄り添えているというだけでも、音楽を作る人間としてありがたいなと思いました」。
そして、「長くバンドをやってきたご褒美みたいなものですかね」と。
(2000通のラブレターをいっぺんに受け取った、ということか。すごいな。どんな気持ちか、想像がつかない)
そして、メッセージをたくさん伝えたかったので、それぞれの曲はあえて、フルでは流さなかったそうです。
そして、オールリクエストの日、ということで、「ちょっぴりタイムマシン」のコーナーはお休み。
来週は、引き続き、【スピッツ曲リクエスト/思い出エピソード添えで漫遊記】のパート②。
今日のエピソードの選択も絶妙。王道あり、コミカルなものあり、最後はグッと迫ってきました。
来週も楽しみ。
そして、「草野さん、ブロッコリー食べ過ぎたら、おならがすごいんですけど」
(へ~、そうなんだ。便秘にいいのかな?なんて)
と、ちょっと呑気に、今日はここまでで。