花冠ブログ句会

主宰・選者/高橋正子 世話人/藤田洋子

●今日の秀句/高橋正子選

2010-10-17 08:01:14 | Weblog
■10月16日(土)
※該当作品なし

■10月17日(日)
★花束にして子が持ちし赤のまま/後藤あゆみ(正子添削)
赤のままは、ままごとのご飯から由来する名であるが、子が作ったその花束は、かわいいだけでなく、良き時代へのノスタルジックな雰囲気をもっている。それが表現されて、一味違う句になった。(高橋正子)

■10月18日(月)
※該当作品なし

■10月19日(火)
★秋草に午後の光のはや失せる/多田有花(正子添削)
秋の日の暮れ易さを、素直な自然観照で詠んでいる。秋草のやさしさと、それに置く光を捉えた感覚が新鮮だ。(高橋正子)

■10月20日(水)
※該当作品なし

■10月21日(木)
★玻璃戸拭き終え秋の空存分に/山中啓輔(信之添削)
玻璃戸しっかり拭き終えると、玻璃戸という隔てが無くなったように、秋の空が、直に、しかも存分に自分のものにできる。「秋の空」の感覚、秋の季節をよく捉えている。(高橋正子)

■10月22日(金)
★橋に見る水きらめくは溝蕎麦に/柳原美知子(正子添削)
そんなに大きくなし橋であろう。橋の上から見ると、川の水がきらきら光り、溝蕎麦の花を輝かせている。田園の澄んだ水、澄んだ空気の中まで感じさせてくれる。(高橋正子)

■10月23日(土)
★秋澄むや新築現場の杉の香に/桑本栄太郎(信之添削)
新築の現場に行くと、新材の匂いがする。そのなかでも杉の香りが高くしていると、辺りが澄む感じとなる。「秋澄む」である。(高橋正子)

★薄立つ高さよ向こうの山よりも/多田有花(信之添削)
小高い丘などに登ると、薄が向こうの山よりも高く立っている。見晴らしのよさにも秋の深まりがある。(高橋正子)

■10月24日(日)
※該当作品なし

■10月25日(月)
★秋深き山道薪の高々と/小西 宏(信之添削)
やがて来る冬に備えて、薪が山道に高々と積まれているのを見ると、「秋深し」の情感が高まる。(高橋正子)

★月明るし靴音立てて帰り来ぬ/後藤あゆみ
澄んだ月夜に靴音を響かせて家に帰ってくる。月が明るいことのうれしさである。(高橋正子)

■10月26日(火)
★窓開ければりんりんと朝寒の風/迫田和代(正子添削)
窓を開けると、もう朝の風が寒い。風も心身も「りんりんと」する。(高橋正子)

■10月27日(水)
※該当作品なし

■10月28日(木)
★蔦曳けば数多揺れけり烏瓜/後藤あゆみ(正子添削)
烏瓜の朱の色は、枯れゆく野のなかにあって、目をひく色である。手繰り寄せようと蔦を曳くと、たくさんの烏瓜が揺れる。その驚きようがたのしい。(高橋正子)

■10月29日(金)
★鳶一羽色無き風を正面に/多田有花
鳶が真正面からの風を受けて滑空するようすは、見ていて爽やかで大いなる気が湧く。色無き風が音もなく滑空する鳶にふさわしい。(高橋正子)

■10月30日(土)
★鵙鳴いて玻璃くっきりと今朝の空/藤田洋子
キチキチと鋭く鳴く鵙の声にこたえて、よく磨かれた玻璃に、抜けるような青空が見える。自分の内なる温みに対して、外には、鋭い鵙の声と、すっきりとした空の青がある。(高橋正子)

■10月31日(日)
※該当作品なし

●今日の佳句/高橋正子選

2010-10-17 08:00:24 | Weblog
■10月16日(土)
★ふるさとの田畑や如何に赤のまま/桑本栄太郎
★ふるさとの秋の山なみ遥かより/黒谷光子
★三重の塔の上なる鰯雲/後藤あゆみ

■10月17日(日)
★山風やひとつひとつの柿の色/小口泰與

■10月18日(月)
★風に陽に色まさりゆく野紺菊/黒谷光子
★遠き田にコスモスの色あざやかに/多田有花

■10月19日(火)
★此処を過ぎ秋の花咲く野原まで/迫田和代
★土曜日のコスモス畑子らの群れ/高橋秀之

■10月20日(水)
★十三夜勤め帰りの娘の寄りぬ/黒谷光子
★萩に触れ萩の滴を受けにけり/多田有花

■10月21日(木)
★サフランのうすむらさきや知らぬ間に/河野啓一

■10月22日(金)
★ゆらゆらとゆれてコスモス夢の色/河野啓一
★何処からか鴨の来ていて池の波/小西 宏

■10月23日(土)
★熊除けの鈴と歩みし紅葉谷/小口泰與

■10月24日(日)
★もてなしのサラダの黄菊しゃきしゃきと/後藤あゆみ
★溝蕎麦や浅き流れの川の水/桑本栄太郎
★秋晴れの銀杏一本ずつ高し/藤田洋子

■10月25日(月)
★秋夕焼け町には城址石碑のみ/祝恵子

■10月26日(火)
★秋風にたわわ槐の実のみどり/川名ますみ
★銀杏のひしめきあってときを待つ/河野啓一

■10月27日(水)
★風吹けば薄のさらに光りおり/多田有花
★セロファンにミニパプリカの五色透け/後藤あゆみ
★冬支度目高を掬い水槽に/河野啓一

■10月28日(木)
★雨の朝色付き初めし実南天/渋谷洋介
★秋草の庭に満ちいし母病めば/小西 宏(信之添削)
★初黄葉やさしくなりし空の碧/川名ますみ

■10月29日(金)
★大むかご谷へ落ち行く宙にあり/古田敬二
★漕艇の早や遠ざかる秋の川/山中啓輔
★秋澄むや砂丘に佇む吾のいて/祝恵子

■10月30日(土)
★菊咲いて大仏殿の錆刀/河野啓一
★剪定の切り口白し冬隣る/桑本栄太郎
★白鳥の列に耀く空と湖/黒谷光子

■10月31日(日)
※該当作品なし