花冠ブログ句会

主宰・選者/高橋正子 世話人/藤田洋子

●入賞発表/10月16日(木)~10月31日(土)

2009-10-31 16:02:30 | Weblog
■10月16日(木)~10月31日(土)
□高橋正子選

【最優秀】
★鶏頭の色が燃え立つ山畑に/古田敬二
秋冷の山の畑に咲く鶏頭は、澄んだ色よりも、もっと鮮やかで「燃え立つ」色となる。山の畑の鶏頭に昔と変わらない故郷の風景が見える。(高橋正子)

【特選/8句】
★詩をひとつ賜る雲や秋うらら/多田有花
うららかな秋空にぽっかり浮かんだ雲に、ふっと詩が湧いた。「ひとつ賜る」晴れやかな心がいい。(高橋正子)

★椎の実のかなたの海に造船所/柳原美知子
椎の実の生る丘に登ると、彼方に海が見えて、造船所がある。鉄の塊の巨大な重機や、できつつある鉄船は、穏やかなの景色のなかに、ひと際力強いものとして目に映る。椎の実と造船所の対比に、あざやかに瀬戸内の風景が蘇る。(高橋正子)

★河口まで風つなぎゆく芒原/藤田洋子
河土手に沿ってゆくと、一面の芒原。風は芒原を波立たせ、また次の芒原を吹いていく。「風つなぎゆく」は、的確な把握で、作者らしい表現となった。(高橋正子)

★赤とんぼ群れ離れしが湖の面に/黒谷光子
一つだけ、群れを離れて、羽をきらきらさせながら、湖の面を飛んいる赤とんぼ。湖のさざ波も美しく、ひとつ離れた赤とんぼの赤も印象的。(高橋正子)

★紅葉して滝一筋の白さかな/宮本和美
紅葉を割るように落ちる一筋の滝の白。鮮やかな紅葉の色と滝の白が明確なコントラストをなして、直截な句。(高橋正子)

★大空を確と映して芋の露/國武光雄
「確と映して」によって、固く結んだ大きな芋の露が想像できる。その露にまぎれもなく青い大空が映る。秋気澄明な世界。(高橋正子)

★星の夜は木犀いよよ香の高く/小川和子
星のきらめく夜は、大気も清冽で、木犀もますます高く香を放つ。品位のある句。(高橋正子)

★月冴えて蒼き干潟の静けさよ/篠木 睦
水の反射とはまたちがう、泥を照らす月の鈍い光が感じられます。「静けさ」もただ事ではありません。「蒼き干潟」の重量感に圧倒されます。 (小西 宏)

【入選Ⅰ/10句】
★秋澄めり船着き場まで醤の香/成川寿美代
醤油倉の立ち並ぶ、たまり醤油の噎せるような中を舟着場まで歩かれた際の句と存じます。秋の澄み切った空気とたまり醤油の澱んだ香りとの対比も面白く、素敵な句と思いました。(宮本和美)

★白鳥のきらきら過ぎる朝日受け/丸山美知子
朝のひかりの中に飛ぶ白鳥が、きらきらと輝きながら過ぎる。息をのむような、明るい、みずみずしい景が目に浮かびます。(小川和子)

★捥ぎたての柚子の香夕餉の吸い口に/佃 康水
柚子の香りが読み手にも、まっすぐ伝わってくるような、豊かな夕餉のひとときです。 (小川和子)

★天辺も揺れず銀杏は宙に伸び/河野啓一
恐らく風もない穏やかな秋晴れの下と拝察致しますが、青空を見上げ、どっしりと鮮やかな銀杏の木の梢が思われます。日毎に色が薄くなり、鮮やかな黄葉ももう間もなくですね。(桑本栄太郎)

★秋夕焼散歩の犬もその中に/祝恵子
夕焼けの中を連れて散歩されて居る詠者の姿が眼に見える様です。「散歩の犬もその中に」の措辞が秀逸で、秋夕焼けの散歩の景を素敵に表現されて居り、佳句と存じます。(宮本和美)

★新米のきらきら香り祭りずし/藤田裕子
新米の炊きたてはふっくらと輝き、粒も立ってそれだけで美味しいもの。まして祭りずしとあらば尚の事。祭りを迎えて弾む真情が「きらきら香り」との措辞に良く表われいて、素敵な句です。(桑本栄太郎)

★一灯や丹波高地の霧の中/前川音次
丹波は霧の多い所と聞きますが、高地の一軒家でしょうか。霧の中に幽かに見える灯火に美しい詩情を感じます。 (河野啓一)

★新駅のホーム過ぎれば草の絮/桑本栄太郎
草の蘂の飛ぶような場所に作られた新駅。「ホーム過ぎれば」に発見があり、映画の一コマを見る様な気分にさせて呉れる句。素敵と存じます。(宮本和美)

★秋嶺に雨は固体の音で鳴る/川名ますみ
秋嶺はなだらかな山ではなく、尖った鋭い稜線を見せる山でしょう。雪が来るのを待っているそんな雰囲気です。すでに晩秋の冷たい雨、冬の接近を感じさせる音を「固体」と表現されたのが新鮮です。(多田有花)

★藁塚のみな南へと倒れけり/小口泰與
刈田に強い北風が吹き、南へと倒れている藁塚。秋もいよいよ終わりを告げようとしている野山の風景がしんとして身に迫ってきます。(柳原美知子)
コンバインで刈り取るようになったせいか、田を訪ねても藁塚を見かけることが少なくなったような気がします。農家の方々はたいへんなのでしょうが、たまに訪れる者が藁塚に出会うと、心慰められるものがあります。みな南へと傾いている藁塚の姿に御地の冬の厳しさの前兆がうかがわれます。(小西 宏)

【入選Ⅱ/11句】
★青空は欅黄葉のうえにあり/多田有花
秋の空は青く、天空の高さがない様に思われる程たが、「秋の欅黄葉の上にあり」の措辞がバツチリで、その様子を的確に詠まれて居り、佳句と存じます。 (宮本和美)

★野を行けば野菊の露に濡れにけり/古田敬二
二つの「野」がよりリズムを生んでいる。野を行くと、野菊がふれて、露に濡れてします。野の風情がしずかに、快く詠まれている。(高橋正子)

★桜紅葉散れば夕空広がれり/小川和子
桜紅葉が散ると、夕空がひろびろと感じられる。遠いものへの憧憬を持ちながらも、ものさびしい思いがする景色である。(高橋正子)

★海からの風の高さに伊勢大根/篠木 睦
「海からの風の高さ」とは、どのくらいの高さかというと、伊勢大根を干している高さであると、意表をついて、下五で納得させられる。「伊勢大根」が伊勢の海を想起させて効果的。気持のよい句である。(高橋正子)

★露草や青の清しき今朝の道/飯島治朗
朝の散策の菜の句と想像いたします。緑色の包葉と朝やかな藍色の花を「青き清し」と詠まれた巧さに感心致しました。(宮本和美)

★廃材の置かれて久し草紅葉/桑本栄太郎
状況の把握が抜群で、しかも、季語「草紅葉」を十二分に生かしきった佳句と存じます。(宮本和美)

★灯を消して予備校寮の秋深む/成川寿美代
受験の近いこの時期の受験生は、深夜まで頑張っています。 秋の深まりとともに灯が消えて眠りにつく時間も遅くなっているのでしょう。(高橋秀之)

★天空に星ひとつあり日蓮忌/渋谷洋介
何度も法難にあいながら不屈の信念を持ってそれに立ち向かった日蓮。宗教的巨人の存在が天空のひとつの星に象徴されています。(多田有花)

★澄み渡る秋の夜空に星ひとつ/高橋秀之
秋気澄む大空に、星ひとつの美しく明るい輝きがありありと伝わり、秋の夜空のさやけさを感じます。(藤田洋子)

★見上げればぬけるような空白い月/迫田和代
仰ぐ高空の広やかさに際立つ白い月、爽やかな秋の状景に心も晴ればれと澄みわたるようです。(藤田洋子)

★鵯のしきりに来たる庭の水/小西 宏
鵯のしきりにやってくる庭園の透明な水音や木の実の落ちる音が聞こえてきそうです。小鳥の声を聞きながら、美しい秋の庭園を眺める至福のひとときです。(柳原美知子)
ヒヨドリは冬は暖かな住宅地へ渡ってきます。庭の山茶花の蜜や蜜柑を食べに来ます。ヒヨドリが来るともうすぐやってくる冬の到来を感じます。野原でなく庭へやってくる鳥には愛着を感じます。(古田敬二)


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●今日の秀句/高橋正子選

2009-10-17 09:36:21 | Weblog
■10月16日
該当作品なし

■10月17日
★星の夜は木犀いよよ香の高く/小川和子
星のきらめく夜は、大気も清冽で、木犀もますます高く香を放つ。品位のある句。(高橋正子)

■10月18日
★詩をひとつ賜る雲や秋うらら/多田有花
うららかな秋空にぽっかり浮かんだ雲に、ふっと詩が湧いた。「ひとつ賜る」晴れやかな心がいい。(高橋正子)

■10月19日
★椎の実のかなたの海に造船所/柳原美知子
椎の実の生る丘に登ると、彼方に海が見えて、造船所がある。鉄の塊の巨大な重機や、できつつある鉄船は、穏やかなの景色のなかに、ひと際力強いものとして目に映る。椎の実と造船所の対比に、あざやかに瀬戸内の風景が蘇る。(高橋正子)

■10月20日
★河口まで風つなぎゆく芒原/藤田洋子
河土手に沿ってゆくと、一面の芒原。風は芒原を波立たせ、また次の芒原を吹いていく。「風つなぎゆく」は、的確な把握で、作者らしい表現となった。(高橋正子)

■10月21日
★野を行けば野菊の露に濡れにけり/古田敬二
二つの「野」がよりリズムを生んでいる。野を行くと、野菊がふれて、露に濡れてします。野の風情がしずかに、快く詠まれている。(高橋正子)

★海からの風の高さに伊勢大根/篠木 睦
「海からの風の高さ」とは、どのくらいの高さかというと、伊勢大根を干している高さであると、意表をついて、下五で納得させられる。「伊勢大根」が伊勢の海を想起させて効果的。気持のよい句である。(高橋正子)

★赤とんぼ群れ離れしが湖の面に/黒谷光子
一つだけ、群れを離れて、羽をきらきらさせながら、湖の面を飛んいる赤とんぼ。湖のさざ波も美しく、ひとつ離れた赤とんぼの赤も印象的。(高橋正子)

■10月22日
該当作品なし

■10月23日
★鶏頭の色が燃え立つ山畑に/古田敬二(信之添削)
秋冷の山の畑に咲く鶏頭は、澄んだ色よりも、もっと鮮やかで「燃え立つ」色となる。山の畑の鶏頭に昔と変わらない故郷の風景が見える。(高橋正子)

■10月24日
★紅葉して滝一筋の白さかな/宮本和美
紅葉を割るように落ちる一筋の滝の白。鮮やかな紅葉の色と滝の白が明確なコントラストをなして、直截な句。(高橋正子)

■10月25日
★桜紅葉散れば夕空広がれり/小川和子
桜紅葉が散ると、夕空がひろびろと感じられる。遠いものへの憧憬を持ちながらも、ものさびしい思いがする景色である。(高橋正子)

★大空を確と映して芋の露/國武光雄
「確と映して」によって、固く結んだ大きな芋の露が想像できる。その露にまぎれもなく青い大空が映る。秋気澄明な世界。(高橋正子)

■10月26日
★柿吊るす納屋も母屋も夕日濃し/宮本和美
吊し柿を作る季節になると、母屋も納屋も、日の当たることろにずらりと柿が干される。夕方ともなると、夕日が暖かく差して、柿の色も一段と濃くなる。「夕日濃し」に抒情がある。(高橋正子)

■10月27日
該当作品なし

■10月28日
★団栗が落ちたばかりの輝きに/古田敬二(信之添削)
落ちたばかりの団栗は、地にあるのがもったいないほど、きれいに輝いている。みずみずしい命の集約。(高橋正子)

■10月29日
月冴えて蒼き干潟の静けさよ/篠木睦(正子添削)

■10月30日
★十三夜橋の灯りの水に揺れ/藤田洋子

●今日の佳句/高橋正子選

2009-10-17 09:34:34 | Weblog
■10月16日
★露草や青の清しき今朝の道/飯島治朗
朝の散策の菜の句と想像いたします。緑色の包葉と朝やかな藍色の花を「青き清し」と詠まれた巧さに感心致しました。(宮本和美)

★秋薔薇の空映すかな深き色/河野啓一
★天空に星ひとつあり日蓮忌/渋谷洋介

■10月17日
★白鳥のきらきら過ぎる朝日受け/丸山美知子
朝のひかりの中に飛ぶ白鳥が、きらきらと輝きながら過ぎる。息をのむような、明るい、みずみずしい景が目に浮かびます。(小川和子)

★秋澄めり船着き場まで醤(たまり)の香/成川寿美代
醤油倉の立ち並ぶ、たまり醤油の噎せるような中を舟着場まで歩かれた際の句と存じます。秋の澄み切った空気とたまり醤油の澱んだ香りとの対比も面白く、素敵な句と思いました。(宮本和美)

★秋の陽の明るき竹林角を曲れば/古田敬二

■10月18日
★能果てし杜深閑と流れ星/黒谷光子
★青空へ団栗踏んで登る道/柳原美知子

■10月19日
★外湯出て次の外湯へ長き夜や/篠木 睦
★藁塚のみな南へと倒れけり/小口泰与
★鵯のしきりに来たる庭の水/小西 宏

■10月20日
★天辺も揺れず銀杏は宙に伸び/河野啓一
恐らく風もない穏やかな秋晴れの下と拝察致しますが、青空を見上げ、どっしりと鮮やかな銀杏の木の梢が思われます。日毎に色が薄くなり、鮮やかな黄葉ももう間もなくですね。(桑本栄太郎)

★青空は欅黄葉のうえにあり/多田有花
秋の空は青く、天空の高さがない様に思われる程たが、「秋の欅黄葉の上にあり」の措辞がバツチリで、その様子を的確に詠まれて居り、佳句と存じます。 (宮本和美)

★捥ぎたての柚子の香夕餉の吸い口に/佃 康水
柚子の香りが読み手にも、まっすぐ伝わってくるような、豊かな夕餉のひとときです。 (小川和子)

■10月21日
★隣よりあたたかき餅秋祭り/祝恵子
秋祭に餅を搗くという昔懐かしい風習に思わず、微笑ましく感じました。又、ご近所付き合いの深さを感じられ、素敵な句と存じます。(宮本和美)

★秋耕の田にある薄き日差しかな/多田有花
稲刈りの終わったあと耕された田に、太陽高度の低くなった秋の日差し。とこか秋の哀愁を感じる一句です。 (飯島 治朗)

■10月22日
★不動堂龍の口より秋の水/飯島治朗
そいうえば、よく行くお寺の手水鉢へ落ちる水も龍の口から出ていました。さりげなくて、しかし、ああ、確かにそうだ、秋の水だと思いました。(多田有花)

★木の実落つ夕づく家に帰りける/小口泰與(正子添削)
散策の途中、木の実の落ちる音に、灯の灯る我家に家路を急がれる詠者の姿を想像致しました。「夕づく家に」の措辞が秀逸で、秋の夕暮れの景を見事に詠まれて居り、佳句と存じます。(宮本和美)

★廃材の置かれて久し草紅葉/桑本栄太郎
状況の把握が抜群で、しかも、季語「草紅葉」を十二分に生かしきった佳句と存じます。(宮本和美)

■10月23日
★静けさや紅葉満ちたる朝の湖/小口泰與
澄んだ朝の空気に美しい紅葉が湖面に映え、しんとした透明感を湛えています。秋の深まりを感じます。(柳原美知子)

★黄昏て野菊一叢道の辺に/小西 宏
「黄昏」と「野菊」の対比が秀逸で、秋の黄昏時の状況を的確に詠まれて居り佳句と存じます。(宮本和美)

★大輪菊蕾を解く今朝の空/柳原美知子
晩秋の晴れ渡った今朝の空と大輪菊との鶏合わせもよく、且、中七の「つぼみを解く」の措辞も秀逸で佳句と存じます。 (宮本和美)

■10月24日
★秋夕焼散歩の犬もその中に/祝恵子
夕焼けの中を連れて散歩されて居る詠者の姿が眼に見える様です。「散歩の犬もその中に」の措辞が秀逸で、秋夕焼けの散歩の景を素敵に表現されて居り、佳句と存じます。(宮本和美)

★夫婦して出港支度秋の漁/佃 康水
瀬戸内海の、小さな漁船でしょうか。気心知れた、ご夫婦の、朝の風景が、見えてきます。忙しく、働き者の、二人を、朝日が、射しています。 (成川寿美代)

★新米のきらきら香り祭りずし/藤田裕子
新米の炊きたてはふっくらと輝き、粒も立ってそれだけで美味しいもの。まして祭りずしとあらば尚の事。祭りを迎えて弾む真情が「きらきら香り」との措辞に良く表われいて、素敵な句です。(桑本栄太郎)

■10月25日
★夕映えの桜紅葉や風の音/河野啓一
夕日を浴びて見事に紅葉した桜の葉は他の木に先立って散り急ぎますよね。特に風の強い日はいっそう散る様子が秋の寂しさを感じさせてくれます。(小口泰與)

★極上の青き空あり紅葉山/宮本和美
紅葉も美しいがそのバックの秋の空も今日は特別に澄んで美しい。その青空を「極上」と表現したところに惹かれます。(古田敬二)

■10月26日
★一灯や丹波高地の霧の中/前川音次
丹波は霧の多い所と聞きますが、高地の一軒家でしょうか。霧の中に幽かに見える灯火に美しい詩情を感じます。 (河野啓一)

★灯を消して予備校寮の秋深む/成川寿美代
受験の近いこの時期の受験生は、深夜まで頑張っています。 秋の深まりとともに灯が消えて眠りにつく時間も遅くなっているのでしょう。(高橋秀之)

★雀来よ鴉も来よと刈田かな/多田有花
稲が刈り取られた、切株ばかりか並んだ寂しい田を賑わすように、落穂を拾いにこいよと呼びかけているようだと作者は感じたのである。 (小口泰與)

■10月27日
★日の暮と月の出そろふ秋の暮/宮本和美
★晩秋の海峡をゆく貨物船/多田有花

■10月28日
★境内も堂も灯して十夜寺/黒谷光子
★新駅のホーム過ぎれば草の絮/桑本栄太郎

■10月29日
★楢山を暮れ残したる今日ひと日/小西 宏
★高層のビルが真つ赤ぞ秋入日/桑本栄太郎
★白薔薇の垣さやけしや日を返し/柳原美知子

■10月30日
★色づけば風を生みけり初紅葉/篠木 睦
★紅葉して滝一条の白さ哉/飯島治朗
★近づけば伊吹の威厳冬近し/黒谷光子


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●10月投句選句箱②

2009-10-16 08:53:16 | Weblog

※①10月16(金)~31日(土)の投句は、こちらの<コメント欄>にお書きください。
※②投句は、1日3句以内です。好きな句(コメント付きの選句)は、1日1句です。投句された方は、必ず<好きな句>を選んでください。
※③今回の入賞発表は、10月31日(土)となります。
※④31日(土)の午後6時から午後12時までの間は、入賞発表の作業中ですので、投句を禁止いたします。
※⑤花冠同人以外の方のご投稿は、ご遠慮ください。

※ご注意:<同じ句の投句>をご注意ください。すでに投句されているか、お調べの上、ご投句ください。


※入賞発表の作業中が始まりますので、午後6時をもって、投句を禁止いたします。

●入賞発表/10月1日(木)~10月15日(木)

2009-10-15 19:18:27 | Weblog
□高橋正子選

【最優秀/2句】
★小鳥来る崎の潮目の濃き流れ/柳原美知子
「崎の潮目」に作者の立つ風景がよく見える。流れの早さの違う潮が出会うと、一筋波打ったように見える潮目。その濃い色こそ小鳥が渡ってくる頃色と言える。小鳥来るを新鮮に詠んだ。(高橋正子)

★青空の大きな朝に鳥渡る/川名ますみ
「大きな朝」と受け止めたところが詩の心。広くて、ひんやりとした朝の大空を鳥が渡ってゆく。永遠の大きい空を渡る鳥が印象付けられる。(高橋正子)

【特選/8句】
★街灯りすみずみまでの良夜なる/藤田洋子
街をくまなく照らす月の光に、街に暮らす人たちのささやかな幸せが見える。街に住む人みんなの良夜。(高橋正子)

★稲田道わが影ともに持ち歩き/小口泰與
稲穂の垂れた稲田の道は、遮るものもなく、日差しが明るい。その道を歩けば、歩く限り、わが影がくっきりと映る。「影を持ち歩く」ことになる。(高橋正子)

★澄む水をたどりて山の懐へ/多田有花
「懐へ」が効いている。普段山に登る人でなければ、その山の懐がよくわからないだろうが、澄む水の流れをたどれは、山のほっかりとしたところに着く。そこが山の懐だろう。民話的な要素があるのもまたよい。(高橋正子)

★裏門を開けてありけり松手入/宮本和美
俳句の俳句たる良さのある句。いつもは閉めてある裏門だが、松の手入れをするために、脚立だの、箒だのと道具を持ち込む。また剪定した枝を運び出す。風通しもよくなって、ちらっと庭が見えたりする。手入れされていく松に、青空が透けて、すがすがしい庭となっているのだろう。(高橋正子)

★あかあかと鶏頭晴れたる山を背に/飯島治朗
晴れた蒼い山を背景に、鶏頭の花のあか色があざやかに浮かぶ。添削は、テーマが鶏頭であることをはっきりとさせた。(高橋正子)

★どこまでも群青の湖鴨来る/黒谷光子
どもまでも群青という美しい湖の世界。そこに長旅の終わりに舞い降りた鴨たち。湖で冬を越す鴨たちの、はじめの姿が印象深く詠まれた。(高橋正子)

★秋暑し奈良井は水場多き街/古田敬二
昨年秋に紅葉吟行で訪ねた、奈良井宿を懐かしく思い出しました。水場から吹き出る湧水の豊かさに感動しました。(渋谷洋介)

★色づけば風を生みけり猫じゃらし/桑本栄太郎
いつも風に揺れているような猫じゃらし、色づけば尚かるがると風を生んでいるようです。野の道の何処にでもある情景が素敵に詠まれています。(黒谷光子)

【入選Ⅰ/9句】
★月光の豊かに満ちて潟の波/丸山美知子
今晩は中秋の名月。満月の月明かりが湾に満ち溢れ、波を静かに輝かせています。叙情溢れる光景が素敵な好きな一句です。 (桑本栄太郎)

★校庭に育つ稲箱雨上がる/祝恵子
実習の稲作の箱も実りの秋、雨が上がれば取り入れが待っています。子ども達がお米を育てることを経験できるのはいいことですね。(黒谷光子)

★白樺の秋高々と輝ける/小西 宏
秋の澄んだ青空に輝く白樺のシロ。青と白の色彩が秋の日にくっきりとして明るい。清々しく、心の洗われる思いがします。(飯島 治朗)

★木の実降る空の青さとなりにけり/宮本和美
この句の主題は、「空の青さとなりにけり」。どのような空の青さかというと、「木の実降る」ころの空の青さだという。「木の実降る」と「空の青」の取り合わせがすっきりとしている。(高橋正子)

★リアス式の湾一望に秋澄める/篠木 睦
入り組んだ地形のリアス式海岸を一望できるところに、空気の澄んだ秋の日が清々しく感じられます。(高橋秀之)

★柿の葉のはらりと落ちて裏返る/井上治代
裏返るというのが、たくさんの落ち葉ではなく、一枚の落ち葉が微風に揺られた様子が見え、秋の深まりを感じさせてくれます。(高橋秀之)

★毬栗の弾けて海の見える場所/小川和子
空にも海にも秋光があふれ、丘の栗の木のみどり色の毬も膨らみ、海光を浴びて弾ける音が聞こえてきそうです。「瑞々しい毬栗に秋晴れの空」と海が静かにひろがっています。(柳原美知子)

★西山のふところを黄にをみなへし/前川音次
女郎花の黄色に染めあげられた西山の山懐を静かに歩めば、秋の深まりをしんしんと肌に感じます。今を心静かに楽しまれる気持ちが伝わってくるようです。(柳原美知子)

★金木犀大樹たりけり香に塗れ/渋谷洋介
「大樹たりけり」の「たりけり」で、金木犀がの大樹ぶりがよく詠われ、堂々としている。それほどの大樹なので、樹自身が、自分の花の香りに塗(まみ)れて立つことになる。(高橋正子)

【入選Ⅱ/10句】
★晩稲田を黄金に染めている夕日/桑本栄太郎
晩稲が熟れるころは、秋も深まる。夕日に染まり、黄金色に輝く田にもどこかにさびしさが見える。(高橋正子)

★秋天と海を背に歌舞奉納す/柳原美知子
奉納の歌舞が、原初の空と海を背景に舞われることに、神妙ながらも大らかさがある。秋の澄んだ天であること、藍色に澄む海であることに、歌舞がはなやかに浮き上がる。(高橋正子)

★台風の過ぎたる後の海青々/高橋秀之
この度の台風は、殊に、風が激しかったようですね。当地でも、雨なき青天に、列車も車も止まるほどの強風が吹き荒れました。それゆえ、野分晴の清澄は、一際。海もさぞ美しかろうと想っておりましたところ、御句に出会い、眼前に「青々」たる大海が開けました。(川名ますみ)

★秋うららお握り弁当篭に詰め/河野啓一
秋の遠出の有様を直裁に表現されて居り、私も思わず楽しくなつて参りました。季語「秋うらら」の選びも適切で佳句と存じます。(宮本和美)

★騎馬戦の喊声あがる秋の空/成川寿美代
騎馬戦は運動会の花型競技のひとつ。帽子をめぐる戦いの声が秋の空高く響き生徒たちの元気な様子が感じられます。(高橋秀之)

★炊き立ての新米飯に一夜漬/國武光雄
炊き立ての新米の美味しさと香りは格別ですね。白く輝く新米に添えて心利いた香の物、新米をいただく季節の喜びが溢れているようです。(藤田洋子)

★秋晴れの道軽やかにポストまで/藤田裕子
秋晴れの空気澄みわたった美しい空、おのずと心も明るく晴々とします。ポストまでの道すがら、作者の心弾むような思いが爽やかに伝わります。(藤田洋子)

★十六夜の月の浮き立つ家路かな/笠間淳子
秋の夜空に十六夜の月が美しく輝き地上を照らしている。その月を眺めながら、家までの道をゆっくり歩いている作者の姿を想像しました。(井上治代)

★落穂つけ豊作知らす棚田米/平田 弘
★賑やかに笑った後の秋の声/迫田和代


※コメントの無い句にコメントをお願いします。書き込みの場所は、下の<コメント欄>です。よろしくお願いします。

●今日の秀句/高橋正子選

2009-10-02 08:48:27 | 今日の秀句
■10月1日
★紅芙蓉入り日も雲も山に急く/小口泰與
芙蓉の花も咲き終わる頃、入り日も山に落ち急ぎ、雲も山へと流れる。夕方が一気に寄せてきた山国の紅芙蓉の風情。(高橋正子)

■10月2日
★木の実降る空の青さとなりにけり/宮本和美
この句の主題は、「空の青さとなりにけり」。どのような空の青さかというと、「木の実降る」ころの空の青さだという。「木の実降る」と「空の青」の取り合わせがすっきりとしている。(高橋正子)

■10月3日
★街灯りすみずみまでの良夜なる/藤田洋子(正子添削)
街をくまなく照らす月の光に、街に暮らす人たちのささやかな幸せが見える。街に住む人みんなの良夜。(高橋正子)

■10月4日
★稲田道わが影ともに持ち歩き/小口泰與
稲穂の垂れた稲田の道は、遮るものもなく、日差しが明るい。その道を歩けば、歩く限り、わが影がくっきりと映る。「影を持ち歩く」ことになる。(高橋正子)

■10月5日
★澄む水をたどりて山の懐へ/多田有花
「懐へ」が効いている。普段山に登る人でなければ、その山の懐がよくわからないだろうが、澄む水の流れをたどれは、山のほっかりとしたところに着く。そこが山の懐だろう。民話的な要素があるのもまたよい。(高橋正子)

■10月6日
★小鳥来る崎の潮目の濃き流れ/柳原美知子
「崎の潮目」に作者の立つ風景がよく見える。流れの早さの違う潮が出会うと、一筋波打ったように見える潮目。その濃い色こそ小鳥が渡ってくる頃色と言える。小鳥来るを新鮮に詠んだ。(高橋正子)

■10月7日
★裏門を開けてありけり松手入/宮本和美
俳句の俳句たる良さのある句。いつもは閉めてある裏門だが、松の手入れをするために、脚立だの、箒だのと道具を持ち込む。また剪定した枝を運び出す。風通しもよくなって、ちらっと庭が見えたりする。手入れされていく松に、青空が透けて、すがすがしい庭となっているのだろう。(高橋正子)

■10月8日
該当作品なし

■10月9日
★秋天と海を背に歌舞奉納す/柳原美知子(信之添削)
奉納の歌舞が、原初の空と海を背景に舞われることに、神妙ながらも大らかさがある。秋の澄んだ天であること、藍色に澄む海であることに、歌舞がはなやかに浮き上がる。(高橋正子)

■10月10日
★青空の大きな朝に鳥渡る/川名ますみ
「大きな朝」と受け止めたところが詩の心。広くて、ひんやりとした朝の大空を鳥が渡ってゆく。永遠の大きい空を渡る鳥が印象付けられる。(高橋正子)

■10月11日
晩稲田を黄金に染めている夕日/桑本栄太郎(正子添削)
晩稲が熟れるころは、秋も深まる。夕日に染まり、黄金色に輝く田にもどこかにさびしさが見える。(高橋正子)

■10月12日
★あかあかと鶏頭晴れたる山を背に/飯島治朗(正子添削)
晴れた蒼い山を背景に、鶏頭の花のあか色があざやかに浮かぶ。添削は、テーマが鶏頭であることをはっきりとさせた。(高橋正子)

★どこまでも群青の湖鴨来る/黒谷光子
どもまでも群青という美しい湖の世界。そこに長旅の終わりに舞い降りた鴨たち。湖で冬を越す鴨たちの、はじめの姿が印象深く詠まれた。(高橋正子)

■10月13日
該当作品なし

●今日の佳句/高橋正子選

2009-10-02 08:47:28 | 今日の佳句
■10月1日
★秋暑し奈良井は水場多き街/古田敬二
昨年秋に紅葉吟行で訪ねた、奈良井宿を懐かしく思い出しました。水場から吹き出る湧水の豊かさに感動しました。(渋谷洋介)

★色づけば風を生みけり猫じゃらし/桑本栄太郎
いつも風に揺れているような猫じゃらし、色づけば尚かるがると風を生んでいるようです。野の道の何処にでもある情景が素敵に詠まれています。(黒谷光子)

★きちきちの迷い込みたる台所/宮本和美

■10月2日
★牧場の晴れゆく空に小鳥たち/飯島治朗
先ほどまで秋雨が降っていたのに、雨が上がると同時に山から牧場へと餌を求めて小鳥たちが沢山やって来た情景をうまくとらえていると思います。(小口泰與)

★朝寒を背戸より連れし山の風/小口泰與
そろそろ晩秋になろうとしています。それを風で実感された様子がさらりと詠まれています。 (多田有花)

■10月3日
★月光の豊かに満ちて潟の波/丸山美知子
今晩は中秋の名月。満月の月明かりが湾に満ち溢れ、波を静かに輝かせています。叙情溢れる光景が素敵な好きな一句です。 (桑本栄太郎)

★どつぷりと暮れし車窓や月今宵/桑本栄太郎
すっかり暮れてより現れる今宵の月の明るさ。車窓より一際美しい満月が目に見えるようです。(藤田洋子)

★逞しき山風吹きて稲雀/小口泰與
山からの大風に、さすがの稲雀たちも煽られるように飛び立ったのでしょうか。力のあるどっしりとした御句に感じ入ります。(小川和子)

★団栗の日毎色濃く落ち転ぶ/宮本和美
ユーモラスで楽しさのある秋の句。ドングリコロコロの童謡を思い出しました。(河野啓一)

■10月4日
★秋麗に孫らと牛の乳しぼり/飯島治朗
季語「秋麗」の効いた牧歌的雰囲気の句と存じます。動きもある好みの句です。(宮本和美)

★西空の茜にひとつ秋の星/桑本栄太郎
★十六夜の月の浮き立つ家路かな/笠間淳子

■10月5日
★まなうらに湖の満月描き眠る/黒谷光子
湖のうえにのぼった、煌々とした満月がまなうらから離れず、余韻を楽しみながら眠りにつく作者に共感いたします。 (小川和子)

■10月6日
★山峡に開けて蕎麦の花ざかり/多田有花
かってはお米が貴重品であった山峡の里。今蕎麦の花が満開で旅人の眼を奪うが、山家育ちの友人から聞いた、幼い頃の話を思い出してしまった。(渋谷洋介)

★校庭に育つ稲箱雨上がる/祝恵子
実習の稲作の箱も実りの秋、雨が上がれば取り入れが待っています。子ども達がお米を育てることを経験できるのはいいことですね。(黒谷光子)

★青空や老いの手力桑括る/小口泰與
★熱の肩すこし湿らせ雨の月/川名ますみ

■10月7日
★毬栗の弾けて海の見える場所/小川和子
★鵯や雨をたずさえ峠より/小口泰與

■10月8日
★秋の尾根天空の中を歩みけり/多田有花
晴れ渡った青空に尾根が浮かたって見える現象を詠れたものと拝察致します。下五の「歩みけり」の表現が秀逸で、天に向かってバンザイをしたくなる様な気分になります。共感大です。(宮本和美)

★台風の風に木犀振り撒かれ/河野啓一
木犀の句は香り云々しいう句が多いが、台風と木犀の取り合わせが秀逸で、下五の「振り撒かれ」詠者の思いもが見られ、意表を突いた素晴しい句と存じます。(宮本和美)

★炊き立ての新米飯に一夜漬/國武光雄

■10月9日
★台風の過ぎたる後の海青々/高橋秀之(正子添削)
この度の台風は、殊に、風が激しかったようですね。当地でも、雨なき青天に、列車も車も止まるほどの強風が吹き荒れました。それゆえ、野分晴の清澄は、一際。海もさぞ美しかろうと想っておりましたところ、御句に出会い、眼前に「青々」たる大海が開けました。(川名ますみ)

★白樺の秋高々と輝ける/小西 宏
秋の澄んだ青空に輝く白樺のシロ。青と白の色彩が秋の日にくっきりとして明るい。清々しく、心の洗われる思いがします。(飯島 治朗)

■10月10日
★秋うららお握り弁当篭に詰め/河野啓一
秋の遠出の有様を直裁に表現されて居り、私も思わず楽しくなつて参りました。季語「秋うらら」の選びも適切で佳句と存じます。(宮本和美)

★にわか雨北より晴れて菜を間引く/黒谷光子
驟雨を吹き飛ばす様に琵琶湖の北から晴れ、早速、夕餉の菜の一助にと畑に出て、よくもこんなに厚く蒔いたものよと感心しつつ間引き菜をされて居る詠者の姿を想像致しました。爽やかさを関させる佳句と存じ、共感を覚えました。(宮本和美)

★一面の蕎麦畑とはふとまぶし/宮本和美

■10月11日
★断崖の湖青々とキリギリス/小西 宏
断崖の湖とキリギリスとの取り合わせに意表を突かれました。どこか旅先での写生でしょうか。空想が広がります。(河野啓一)

★山門の小菊や凛と香り来る/宮本和美


■10月12日
★リアス式の湾一望に秋澄める/篠木 睦(信之添削)

■10月13日
★団栗の確かなる音たてて落つ/小西 宏
澄んだ大気にはっきりと聞く団栗の落ちる音、確かな秋の深まりを感じ取られたのでしょう。 (藤田洋子)

★賑やかに笑った後の秋の声/迫田和代
★金木犀大樹たりけり香(か)に塗れ/渋谷洋介(正子添削)