毎朝、昔の連続テレビ小説(朝ドラ)『本日も晴天なり』を見ています。ヒロインは原日出子さん。そしてその両親役で、父親役は津川雅彦さん、母親役は宮本信子さん。なお、宮本信子さんは、今年の秋の叙勲で旭日小綬章を受けられました。
マルサの女
昔、宮本信子さんのご主人伊丹十三監督の『マルサの女』という映画がありました。『マルサの女』は山崎努さんが演じるラブホテルの経営者の脱税を巡るマルサとの闘いを描き見応えがありました。
そして2作目『マルサの女2』は、ズバリ宗教法人です。
宮本信子さん演じる東京国税局査察部の査察官となった板倉亮子。
宗教法人を隠れ蓑として巨額の脱税を目論む地上げ屋、その背後に潜む政治家、建設会社、商社そして銀行などの巨悪と国税局査察部マルサの息詰まる攻防を描いています。亮子の上司が津川雅彦さん演じる花村統括官、息の合ったコンビで悪を追い詰めるが、、、。
その宗教法人「天の道教団」の管長、実は地上げ屋の鬼沢鉄平、演じるのは、釣りバカ日誌シリーズのスーさんこと三國連太郎さん。三國さんの迫真の演技、凄かったなぁと今でも覚えています。
地上げのためならどんな汚い手も厭わないヤクザを操り、商店主など弱い庶民を追い詰めていく、あのバブル期の最前線。
鬼沢は、休眠の宗教法人を見つけ、笠智衆さん演じる元僧侶に僧侶の格好をさせ、写真を撮りあたかも実在してるかのように装う、そして鬼沢の妻を教祖として教団を立ち上げ、税金を払うことなく次々と地上げをしていきます。
やがて、口封じのためトカゲの尻尾切りで、下っ端のヤクザは次々と殺され、さらに取り調べ中の鬼沢までもビルの屋上からヒットマンに狙われる。結局、彼もトカゲの尻尾だったのです。
からくも難を逃れた鬼沢、巨額の財産を隠匿していた自身の黄金の墓に愛人とともに逃げ込み、高笑い。
一方、彼らが地上げした土地では、ビル建設の地鎮祭が行われており、政治家、関連した企業のトップ連中が、地上げに命をかけたヤクザの下っ端の死も意に介せず、ビル建設を成し遂げたことを喜び、巨悪たちは談笑する。
そして、亮子たち査察官らは、自分たちの力が及ばず無力感でいっぱい、フェンス越しにその光景を眺めて皆悔しそうに唇を噛む。
これがラストシーン、ちょっともやもや感が残ります。
そして
もちろん「天の道教団」は、架空の宗教法人ですが、その後に起きたオウム真理教の地下鉄サリン事件、そして今回の世界統一家庭連合(旧統一教会)の騒動。これらに先駆けるかのような映画だったのですな。
その昔、「旧統一協会」は合同結婚式で話題になりました。翁の学生時代は確か「原理研究会」という名称で、絶対に近づかないように注意されていました。そして「国際勝共連合」、この名前久しぶりに聞きました。
今回の一連の騒動で、被害者の救済法案が野党の立憲民主党と日本維新の会から共同提案されていますが、今国会での成立は疑問視されています。
そりゃそうでしょう。こと宗教に関することは信教の自由を謳う憲法がありますので、一部に被害があったと言っても宗教団体全体に係る問題ですから。
例えばマインドコントロールと言っても、それを法律用語にしなくてはいけません。心理操作、心理操縦とでも訳すのでしょうか? 心情的、感情的な曖昧な言葉は、法律には馴染みません。
また、マインドコントロールされていると思われる人を、誰が診断し、誰が認定するのか、そんなに容易なことではないと思います。精神科医か専門のカウンセラーか、わかりませんが。
そして、カルト教団と言っても既に国が宗教法人と認めているのに、何をもってカルト教団として解散命令を出せるのか、まだまだ議論の余地は沢山ありそうです。
法案を提出した野党界隈は、いろいろ批判しているようですが、全ての国民、世論が望んでいると錯覚し、功を焦ると後でブーメランが飛んできますよ。ここは落ち着いて時間をかけて地についた議論を望みます。
別に新法ではなくとも、今の宗教法人法を改正し、例えば「特別質問権対象宗教法人」とか、「常時監視宗教法人」とか、違法行為と思われる行為を一定期間監視できる規定を作るだけでも、何もしないより少しはマシかもしれません。妄想ですが。
そして当たり前ですが、最後に高笑いするのは、それこそ国民でなくてはいけません。そんな日が早く来ると良いのですが。
またまたいつもの四流翁の戯言です。ご放念ください。
終わり