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マイ ポエム

私の詩と写真を載せています

第一詩集『昔のままの本棚』一人想いから 4(完)

2009-11-17 12:11:17 | Weblog
 僕の手


僕の手はまだ君にふれたことがない
触れまいとして触れていない
もしも僕の手が君にふれたら
触れたその角度そのままで
僕は君を抱き締める角度を
僕の手にたのしむことができる
触れた髪の毛 肩の先
そのままのところを動くことなく
君の喉もとから胸、お腹や尻の
いくつものふくらみへ
脚の内側から指先にまで
柔らかさからなめらかさへ
まさぐりまわって
手の掌におさめてしまうのだから

僕はまだ君にふれていない
僕は僕の手を君に触れさせない
君の生命のしなやかさが
僕の手の中で
踊り輝くその日まで
僕は僕の手を隠していたい


 
心のこり



もしも死んで魂がのこるものなら
何にとりつこうか
生きてきた証に

その存在を解き明かせないでいる
「窓」にとりつこうか
死んでなおも此の世を眺めていられるように

このちいさな未完成の
わが家の庭にとりつこうか
死んでなおも花たちと在るように

魂はのこるだろうか それらに
むしろ生きられなかった夢に
あるいは生かしえなかった詩に

それとも
いとしい一人想いの
あなたに…………



 嫉 妬


暗い階段のような
真っ黒な君の瞳の中を
降りていきたい
君の瞼を閉じさせて
僕が出られないように

遠い昔の夜を
響いてくるにちがいない声を
僕は消して行く
○○ ○○ とささやく
遠い声
君の身体中探しまわって
殺しに行く

どんな夜に染められて
こんなに縺れいるのか
君の髪にまどいながら
眠れない僕は
君の思い出の中を駆けて
微睡んでいる男を
幾度も
殺しに行く



第一詩集『昔のままの本棚』一人想いから 3

2009-11-16 18:12:43 | Weblog
面 影


僕の眼はもっと聡い筈でした
僕の耳はもっと豊かな筈でした
でも今は 病んでいます
僕の眼は まだ記憶していないのです
貴女の面影を 自由に
笑顔にしたり
心配そうな顔付きにさせたり
喜びに放心しているようにしたりできる程に

僕の耳もまだ 貯えていないのです
心の中で貴女をおしゃべりにさせて
貴女の心根そのままの声が
僕の中でいつまでもこだまする程に
そしていろんなあなたの仕種の癖なども
いいえ もっともっと
僕の知らない
貴女の思い出の中の出来事まで
全部 僕のものにしたいのです

まだ諦めたくありません
僕の一人想いですが
貴女のことをよく知らないままで
何も知らないままで


 もう一人の世界


一人想いは一人占いに似て
恋を恋する
わがまま
誰も傷めず
どんな世界もはばからない
無敵の自由
まして自分を傷付けることはない
失恋知らず
さらにもっと保護作用が付いていて
一人想いするのは
もう一人の私

ただ どんどんと距離が開いて
二人の空間に道などはない
だから迷うはずもないはずが
私はどっちの私なのか
私の居場所はなくなり
私は私に帰れない

一人想いは
もしかして生きたかもしれない
ほんとうは生きたかった
生きることへの夢
迷い込めば 二人の私の
死に至る病


第一詩集『昔のままの本棚』一人想いから 2

2009-11-15 21:27:39 | Weblog
ごちそうさま


昼休みのコーヒーのひととき
貴女のお店へ行けば
貴女に仝える
そんな当たり前のことが
幸せで
今日もコーヒーのほんのひととき

貴女にとってはただのお仕事のひととき
そんな当り前のことは
分かっているから
私は本を読んでいるふりをしている
いろんな雑用をもち込んでいる
貴女の傍で
コーヒーのまわりに流れている
貴女の全てを味わっている

貴女のそばに居るだけで
十分だから
知らん顔している
いや、貴女の全てを知りたくて
さも知らん顔している

もう一つの傍に
誰かが居ても
いろんな貴女が顔を出すから
たのしくて知らん顔している

嫉妬なんかやかない   。
貴女のお店だから……
で、すましているわけではない
僕への当て付けだと
自惚れることにしているから
やきもちなんか焼かない
貴女のお店だから
帰りには はっきり言うことにしている
「ごちそうさま」と



 あなたを視つめていたい


もう少し視つめていていいですか
一人想いをきめこんでいる
恥ずかしさから
僕はほんの少し
盗み見しかしていません

もう少し視つめていていいですか
視つめて見つめ返されて
見透かされてしまうことが気になる
一人想いのやましさ
でももう少し視つめていていいですか

貴女を視つめることは
貴女を遣い昔にもどって愛すること
貴女を眺めていることは
此の世の外に貴女を連れ出すこと
貴女を視つめることは
貴女を抱きしめてしまうこと

あなたをいつまでも
いつまでも視つめていたい
一人想、故の
大胆さで
その誰かと粋な話が交されていても
いろんな貴女が顔を出すから
たのしくて知らん顔している

嫉妬なんかやかない   。
貴女のお店だから……
で、すましているわけではない
僕への当て付けだと
自惚れることにしているから
やきもちなんか焼かない
貴女のお店だから
帰りには はっきり言うことにしている
「ごちそうさま」と



 あなたを視つめていたい


もう少し視つめていていいですか
一人想いをきめこんでいる
恥ずかしさから
僕はほんの少し
盗み見しかしていません

もう少し視つめていていいですか
視つめて見つめ返されて
見透かされてしまうことが気になる
一人想いのやましさ
でももう少し視つめていていいですか

貴女を視つめることは
貴女を遣い昔にもどって愛すること
貴女を眺めていることは
此の世の外に貴女を連れ出すこと
貴女を視つめることは
貴女を抱きしめてしまうこと

あなたをいつまでも
いつまでも視つめていたい
一人想、故の
大胆さで



  一人想いですが


あの海のように広く
あの海の音のように繰り返し
いつまでも貴女を愛していたい

だんだん力を高めて
波頭を立てて
貴女のもとへ打ち寄せたい

激しいしぶきで
貴女を驚かせたい

静かに引いていく波で
貴女をいつまでも愛撫していたい

漂々と吹く潮風のように
貴女の髪にまとわりついて
愛の海辺に貴女を狂わせたい

第一詩集『昔のままの本棚』一人想いから 1

2009-11-14 08:34:46 | Weblog
時間を越えて


めぐりあいは
今もなお
熱い眼ざしでいて
私はなんども 振りかえる
あの頃は

しかし
私を振りかえることはない
時間はすでに
墓碑をたてていて
いつも 無銘のままだ

遠ざかるほどに
風景の中の小さなかけら
齢を重ねれば
脈絡もかすんだ語草に
時間は見知らぬ顔でページを操る

だが 人は夢見ることができる
かきたてることもできる
生きていく新しい時間に向かって
はむらたつ想いを
私は詩って行くだろう

大切なあなたに




 空 想


日曜日
きれいに咲いてくれた皐月の
植替えをしていて
いつのまにか
別世界に入り込んでしまっていた。
空想がずんずん広がっていった
作業もどんどんはかどっていった

 ……本立の光る緑と影に
   幾度も染め替えられながら
   二人で 森をそぞろ歩きし

 ……深い夜からうかびあかってくる
   二人のめぐり合いを
   テーブルの灯に
   ひろげて語り合い
   ところどころではあっても
   お互いの生き姿を
   少しずつ 知っていく
   たのしさ………………

作業はあらかたかたづいていた
夕陽はとっくに隠れていた
調子にのって
楽しすぎた私は
暗くなる夜を抱えて
今、苦しんでいる。

第二詩集「風に恋して」 窓 より 4 (完)

2009-11-13 08:59:12 | Weblog
 校 舎


三階の窓に広がっている
青い海と白い帆
キラリと光るあの頃の瞳

二階の窓には
ゆれるように
緑の涙がたまっている

一階の窓からは
なつかしい声がいっせいに
弾けてくる

校舎よ
姿は変わっても
おまえの窓だけは
幼い心そのままだ

もう少ししたら
終業の鐘が窓をこわすだろう
一番に飛び出してくるのは
きっとあの頃の僕


 だから私は窓を詩う


窓は哲学者だろうか それとも
詩人だろうか
存在としてだけの世界が
窓によって
果てしない物語りになる

窓はリアリストだろうか あるいは
空想家だろうか
広がりにすぎない空間に
「内」と「外」とが創成される
そして訪れとめぐりあいが約束されるのだ

おまえ自身は内だろうか それとも
外だろうか
人間が人間の身体に属しながら
なおも 胸に抱くものに
はるかに
帰属して居るように