マイ ポエム

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詩  深い哀悼を込めて友に送る 2

2010-03-31 15:24:48 | Weblog
樹海を超えて   深い哀悼をこめて 2      


たくさんのクラスメイトを
この一年 亡くした
そのたびに突き落される哀悼の海
しかしひとしお流されれば
やがて いつも浅瀬にたどり着き
送別の橋を渡れる
だが 此度ばかりは
果てしない樹海に
置き去りにされたままである

初恋で失くしたあなたを
今また亡くすことが
こんなに力を削ぐものとは
愛がずっと燃えていたわけではないのに
こんなに目頭を温めるとは

今更の
哀惜の言葉の空しさが
記憶の中の大事なものを
白く消していく
生きている間にこそ
愛惜の言葉を
もっと交わせておけばと
そんな悔みばかりが
樹海に漂う

初恋は
初恋を失くすことによって
そのあとあとを 紡いでいたのだろう
私が沢山のいろんな人々との
愛に出会うことを
だから あなたを亡くすことは
私のこれまで巡り合ってきた人々への
友情も 恋も 色褪せさせてしまうのだろう
私の気力をも萎えさせるのだろう

樹海にある道標は
間違いなく 私への
最期が近いという知らせ
だが きっとあなたは
僕を迎えに来ることはないだろう
数年ぶりに 今頃は
ご主人と再会を果たしているのだから
旧友とてお邪魔なはずだ

ならば あとしばらく
あなたへの祈りの中で
樹海の呪縛を晴らしておきたい
亡き人にも 生きている人にも
褪せた色に輝きを取り戻しておきたい
私の人生の終盤に
青春の風をもう一度吹きこませたい

詩  深い哀悼を込めて友に送る 1

2010-03-28 21:19:53 | Weblog
この三カ月、私は深い悲しみに閉ざされていた。
人の死が、友の死が、初恋の人の死がこれほどまて私を苦しめるとは思わなかった。

 亡くした大切な人に
        深い哀悼をこめて 1          


小学校六年二学期
初めての男女共学
何かしらのさざめきがあったかどうか
戦後二年目 当時の私たちは
まだまだままごと遊びの
茣蓙の中の童だった
おてんばでしっかりものの
僕の隣りに座った女の子
いつの間にか 私は心の隣に
座らせていた
幼すぎてまだ恋とは云えないだろうが
今もよく思い出す
私の初恋

中学を卒業してからは
殆ど交流は途絶えていたのに
老いてからは 
よく電話をかけあった
それも手がだるくなるほどの長電話
君の元気な声が今も
私の耳に残ったままだ  

だから唐突すぎるのだ
一枚のはがきが
君の訃報を知らせるなんて

「あの人亡くなったん知ってる?」
なんて 電話をくれていた君だったのに
そんな君からの電話が少なくなり
声にも張りがなくなっていた
どうして君の体の不調に あの時
想い遣らなかったのか

大切な時に いつも気付かない私
大切な人を 失ってばかりの私

僕はいつも君にはひと押しが足りない
もうひと押ししていたら
片思いに終わらなかったかも知れない
もうひと押しすれば
今も君の元気な声を聞けていただろう

つまらない無駄話も 大事な話も
なんでも話し合えて
私の余生に灯りをともしてくれていた
終生の友の話し声
大切な人の長電話

君が逝ったのではないだろう
僕が君を失っただけなのだから

私は今日も電話を待っている