「行ったことねーなー」
どこに?
「フォルクス」
ワーゲン?
「車は地名じゃないだろうが!」
どーりでおかしいと思ったんだ
「素で言ってたのか…」
フォルクス、ねぇ…どこの国よ?
「いや、ファミレスなんだが」
あー、そいえば聞いたことある気も…
「首都圏にも数10店舗あるみたいだが…看板は見たことあるんだが入ったことはないなぁ」
どーゆー店なの?
「もともとはダイエーグループで、ステーキで有名らしいとは聞いていたんだが…ま、ファミレスとしてはちょっと高給な、っていう」
へぇ、今度見つけたら入ってみるかなぁ
「あ、もし行ったら感想聞かせてね?」
あ、れ?お前が行くんじゃないの?行ったことねーなー、って、行ってみたいのかと
「こーゆー記事があって」
成型肉?
「らしい」
なに?それ
「なんていうのかなぁ、使えない肉ってある、だろ?」
え?腐ってるとか?
「ま、それはさすがにないんだろうけど…切り落としとかで、食えないわけではない、んだけど、ステーキとかでは使えない、とか、まずいわけではないんだけど、なんかモツそのままな肉でイメージ的に、とか」
あー、たしかに…うまいけど、これ、立派な店では使えないだろうなぁ、的な部分ね
「そーゆーのを集めて、で、どーやるのか知らんけど、ツナギになるようなものと一緒に圧着させる、のかな?で1枚の肉のように見せる、と」
な、に?それ…
「それで公正取引委員会が排除命令を、と」
うまいの?
「だから行ったことないんだって…」
あ、そか
「こんなリリースは出てるんだけど」
お詫び、ねぇ…
「で、どんな肉だったのか、の説明もある、んだけど当該商品は、焼肉店等で一般に「ハラミ」として使用されております、豪州産牛肉の「シンスカート」を主たる原材料として、より柔らかな食感でおいしくお召し上がりいただく目的で、いったん細くカットして成型加工したものであります。他に原料として国産牛脂と植物性たんぱくを使用しております。
これらの加工処理は品質向上の目的で行ったものであり、これにより商品の味はさらに良くなったものと当社では判断しております。しかしながら加工処理については、当社ホームページ内で説明するにとどまり、メニューならびにチラシへの記載がなされなかったために一枚肉との誤解を招き、ご迷惑をおかけしてしまいました。
たいへん申し訳ございません
と」
ハラミ、かぁ…結構好きなんだよねぇ
「まぁうまい部位ではあるなぁ」
で、それを、えと…カットして、で、成型加工、で、牛脂と植物性タンパク、ねぇ…ま、危ないモンでもない、と言うか、うまくする工夫だ、というんなら…
「だったら、ハラミを原料にした1枚肉風のステーキです、でよくねーか?」
…確かに…
「そうすることで美味いんなら、最初っからメニューにそう記載すればいいこと。ハラミが好きであろうと、いわゆるステーキを食べたくて、恐らくそれなりの金額出して、で、実は成型肉でした、なんていったら、例え美味かろうとむかつくだろ?」
ま、うまいかまずいか、は抜きにしてヤだろうねぇ…
「まぁ、スーパーなんかで売ってるサイコロステーキもこの手のみたいだけどなぁ」
そなの?
「まぁ、マンガとかでそーゆー記述もあるし、そうでなくても食えばわかるだろ?あんなの」
あ、わかるもんなんだ
「フォルクスで出してたのがわかるようなものなのかは知らんけど…つか、サイコロステーキ、なんて肉の食い方からしたらおもっきし邪道なわけだし…どう考えたって肉汁を捨てまくりで…」
趣旨が変わってまいりました
「つか…ハンバーグにでもすりゃいいと思うんだがなぁ、つかえない部位の肉なんて」
そいえばそうだよねぇ
「横浜にあるハングリータイガーってステーキ屋、ハンバーグが有名なんだが、あれって、たしか大きさ的にはステーキには使えないけど、本来ステーキにつかえるぐらいの肉をパテとして使ってます!って売り方してたと思うが」
ハングリータイガー、横浜駅からなくなりそうだねぇ…
「どんどん暴走していくな…」
しかし…圧着とかいってるけど…大丈夫なの?
「何が?」
いや、どうやってくっつけるんだろ?と。圧力かけたところで、粘着性のあるものがないとほぐれちゃうわけだし…
「まぁそうだなぁ。粘着性のある植物なんじゃね?」
随分あっさりと
「つか…植物性タンパクって書くようなものはあんまり…」
?どゆこと?
「まず、植物、ってなんだよ?と。なんて植物かを書け、と」
そいえば…植物、って聞いて、あぁ、だったら食べられるんだ…合成ノリとかではないんだ、とか安心しかけたけど…何を使ってるんだ?
「書けないのか書かないのか知らんけど…書くべき、だろ?ステーキの材料に、『肉』って書いてあったら、お前、何の肉だ!って聞くわな?」
ムチャクチャ不安になる書き方、だねぇ
「プラス、タンパク、な?」
タンパク…何が悪いの?
「なんでタンパクだけ使うんだよ?どんな植物使ってるのか知らんけど、丸のままでいいだろ?と。わざわざなんでタンパクを」
そこだけに粘着性が…といっても、わざわざタンパクを抽出する手間をかけて、と思うと…
「ま、これも確実じゃない、んだが…使い終わった後のもの、なんだろうなぁ、と」
使い終わった、後?
「植物って、ま、野菜としてそのまま食べるだけじゃない、んだが」
それ以外?え、と…なんか加工する、とか?
「ま、そうだな」
野菜を加工する…で、あまり物が出る…あ、豆腐を作ると、オカラが残る、とか?
「まぁ、それもそうだな。絞られて豆乳として出てきた以外、のオカラ、大豆、として商品化することはできないけど、たんぱく質は残っているだろうから、植物性タンパクと言ったとしても、まぁ、ウソはついてない」
すごいごまかし方…
「まぁ、オカラの場合、たんぱく質もそれなりに出ちゃってるから、ちょっと違和感があるんだけど…たんぱく質が多く残っている、となると、油をとったカス、だわな」
油をとったカス、ねぇ…いわゆる種から、できるだけ油だけをとろうとする、と言うと…結果的にはたんぱく質ばっかり残る、やね、確かに
「で、大豆からも油をとってるわけで、そうすると結構な量の絞りカスが出る。もったいない、どうにか使えないか、ってことで、植物性タンパク、と言う名前にして出荷、と」
でも、使い道なんて…肉を固めるのりとして、以外にあるの?
「多分、これそうだろうなぁ、と思う例だと…醤油の原材料に大豆加工品とかかかれている場合があるんだが」
なんか変ないいっぷり…
「醤油を作るのに丸大豆だと都合が悪い、ヒト手間かけなきゃ、ってワケではない、よな?多分」
聞いたことはないねぇ…
「さすがに大豆を使用、と書くには気が引けるし、かといって、油とったカス、なんて正直にも書けん…で、『大豆加工品』よし、ウソではない!と」
タチ悪いね…
「それ以外にも、んーと、人造肉って知ってる?」
なんだ、そのいかにも怪しげなオーラ漂うものは…
「ここの1967年の所に書いてあるとおりキッコーマンが商品化した、んだが…まぁ、名前を思い出せないということは、あんまり売れはしなかった、んだが。お前の言う通り、いいイメージは思いつかんしなぁ」
その人造肉みたいなものがあるの?
「いや、まさにそのものなんだが…カップヌードルにはいってる肉なんかは、確かかつては人造肉といわれていたもの、そのものなんだが」
えー!そうだったの?
「今は知らんけど昔はそうだったはず…というか、オレをホントに肉だと思って食ってるヤツはいないだろ?」
そいえば…色が肉っぽいから肉なのかなぁ?とは思うけど、味も触感も、肉を食った!ってのと微妙に違う、んだよねぇ…カップラーメンの肉を食った、って感じで
「害があるのか?というと、必ずしもそうではない、とは思うけど…植物性タンパク、とかそーゆー言い方をしてる、って場合、本来ゴミになるはずのものを使って、で、イメージ悪くないように、植物だのタンパクだの、ウソではないけどあいまいなことばでごまかしてる、って思った方がいいと思うよ」
ま、それを知った上で、納得して食えるんであれば、まだ精神衛生上いい気が…後になってから、実はあれ大豆のカス、とか知ると、今まで知らんで食ってたよ…って結構落ち込みそう
「話戻るけど…知った上で、あー、それでも構わないよ、確かに美味いし、で安いんだったらOK!だったとは思うんだが…あそこのステーキ美味かったなぁ、また食いたい、とか満足してたら、実は…とかだとショックはかなりでかいと思うなぁ」
ま、ねぇ…しかも連れとかと一緒に入って『お、ここのステーキ、美味いじゃん!オレ、味がわかる男だからさぁ』とかひけらかしてた日にゃ…