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「自分が源泉」ファシリテーター、4nessコーピングインストラクターである弁護士徳岡宏一朗のブログです。

「週刊文春」の1ページ目に謝罪広告命じる異例の判決! 自民元候補・元女優への名誉毀損で東京地裁

2015年05月28日 | 自分が源泉

 

 これは素晴らしい画期的な判決です!

 暴力団組長と交際していたなどと週刊文春に報じられ、2013年の参院選への出馬辞退を余儀なくされたとして、元女優の田島美和さん(51)が文芸春秋に1650万円の賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁の倉地真寿美裁判長は2015年5月27日、440万円の賠償と謝罪広告の掲載を命じました。

 判決で倉地真寿美裁判長は

「関係者の不自然な供述しかなく、客観的な裏付け資料が存在しない」

「記事の重要部分が真実とは認められず、政治活動に支障が生じた」

と認定するとともに

「名誉毀損(きそん)の程度が甚だしく、政治活動の妨げとなっている」

として、週刊文春の1ページ目と、ホームページに1年間、謝罪広告を掲載するよう命じました。

 

 この判決によると、週刊文春は2013年5~6月、田島さんが「暴力団組長の愛人だった」などと報じたことで、田島さんは自民党の公認を得て参院選比例代表に立候補予定だったのに、報道後に公認を辞退し、立候補できなかっというのです。

 この判決の画期的なところはもちろん、謝罪広告を出す場所を週刊誌の1ページ目と指定したことと、HPに一年間謝罪広告を掲載するように命じたところです。もちろん、謝罪広告の文面・内容と大きさ・文字のポイント数などは細かく指定しているはずです。

従来の謝罪広告の例

 

 

 従来、週刊文春や新潮などの週刊誌の記事が名誉毀損行為と認定され、損害賠償が命じられても、謝罪広告までは認めないことが多かったのです。

 また、謝罪広告を命じても、判決ではその掲載場所までは指定しないので、週刊誌は一番後ろの目次の上に掲載するというのが通例でした。

 しかし、それでは名誉を毀損する表現に比べて、名誉を回復する効果が著しく乏しく、私も憲法の授業でそういう謝罪広告の例を示しながら、これはおかしいと言い続けていました。

 ですから、謝罪広告を掲載する場所を指定するのも、ホームページに一年間も掲載することを命じるのも、現在のマスメディアによる個人の被害の実態に沿ったもので、私は画期的な良い判決だと思います。今後もこういう判決が出ることを期待します。

 

  今回の判決は、事後的とはいえ謝罪広告と慰謝料を命じることで週刊文春の表現の自由を制約するものですし、さらには謝罪広告の出し方まで指定するもので、表現の自由の具体化である週刊文春の編集権をも制約するものです。 

 ですから、裁判所も相当悩んだでしょうし、週刊文春の記事の内容が相当ひどく、またそれによる「与党の公認を辞退し、立候補を取りやめる」という事態による名誉権とはまた別の権利である参政権侵害についての悪影響が、普通の事例とは違うという点も考慮されたでしょうから、この判例が一般化するかどうかについてはまだ判断しかねます。

 それでも、この判決は学界でも論議を呼び判例集に載りそうですし、上級審でも維持されるかは微妙ですが、それだけに勇気ある判決と言えるでしょう。

 ちなみに、個人的なことですが、倉地真寿美判事は司法研修所で同期同クラスの裁判官。友人として非常に嬉しい判決でした。

 確かに週刊文春をはじめとするマスメディアによる個人の人権侵害は目に余るものがあります。また、昔と違って紙媒体だけで表現された内容が伝わるだけでなく、今はネットで情報が拡散し、しかもそれがいつまでも検索すると出てくるという時代で、「忘れられる権利」が議論されている状況です。

 ですから、この判決が投じた一石は重く、これから慎重に議論していかなければならないと思います。


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週刊誌1ページ目などに謝罪広告命じる判決

5月27日 18時11分NHK

週刊誌1ページ目などに謝罪広告命じる判決
 
 
 
 
 
 
週刊誌に事実と異なる記事を報じられ国政選挙に立候補できなくなったと女性が訴えた裁判で、東京地方裁判所は名誉毀損を認め、週刊誌側に、謝罪広告をほかの広告などを除いた1ページ目に加え、ホームページにも1年間掲載するよう命じる異例の判決を言い渡しました。
この裁判は、おととしの参議院選挙で自民党の公認を受けて比例代表での立候補を予定していた元女優の田島美和さんが、「週刊文春に『暴力団組長と交際していた』という、事実と異なる記事を報じられ立候補を断念せざるをえなくなった」と主張して、出版元の文藝春秋に謝罪広告の掲載や損害賠償を求めていたものです。
この裁判で、東京地方裁判所の倉地真寿美裁判長は「記事の重要な部分は真実とは認められず、名誉毀損に当たる」と判断しました。
そのうえで、政治活動の妨げになっていることなどを重くみて、名誉を回復する措置として、謝罪広告を週刊文春のほかの広告などを除いた1ページ目に1回載せることに加え、ホームページにもトップページの1番上に1年間掲載するよう文藝春秋に命じる異例の判決を言い渡しました。
また、損害賠償として440万円の支払いも命じました。
判決について、田島さんは「身の潔白のために正々堂々と闘ってきたので、非常にうれしく、感謝しています」と話しています。
一方、文藝春秋は「不当判決であり、即日控訴した」というコメントを出しました。
 

元女優の名誉毀損、文芸春秋に賠償と謝罪命令

2015年05月27日 21時21分 読売新聞

 週刊文春の記事で名誉を傷付けられ、参院選に立候補できなくなったとして、元女優・田島みわ氏(51)が発行元の文芸春秋に1650万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は27日、440万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じる判決を言い渡した。

 倉地真寿美裁判長は「名誉毀損きそんの程度は著しく、継続中の政治活動を妨げている」と述べ、謝罪広告は同誌の広告やグラビアを除く最初のページのほか、1年間は同誌サイトのトップページに掲載するよう指定した。

 同誌は2013年5~6月の計3回、田島氏が暴力団関係者と交際していたなどとする記事を掲載。この影響で田島氏は同年7月の参院選での自民党公認を辞退し、出馬しなかった。

 判決は、記事の根拠となった田島氏の知人の証言について「不自然で信用できない」と指摘し、「真実と信じる相当の理由もなかった」と認定した。

 文芸春秋は「不当判決」とし、即日控訴した。

2015年05月27日 21時21分 読売新聞
 

文春1ページ目に謝罪広告命令=自民元候補の名誉毀損—東京地裁

2015 年 5 月 27 日 20:00 JST 更新 ウォールストリートジャーナル

 「元組長と交際していた」とする週刊文春の記事で名誉を毀損(きそん)され、参院選の自民党 の公認候補を辞退せざるを得なかったとして、元女優の田島みわ氏(51)が発行元の文芸春秋に1650万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が27日、東 京地裁であった。倉地真寿美裁判長は、同社に440万円の支払いと同誌1ページ目への謝罪広告掲載を命じた。

 倉地裁判長は記事の主要部分について、「根拠となった関係者の証言は変遷していて信用できず、真実とは認められない」と指摘。「田島氏の政治活動の妨げとなっている」などとして、謝罪広告を同誌の誌面に加え、ウェブサイトのトップページに1年間掲載するよう命じた。

 判決によると、問題の記事は、同誌の2013年5月16日号から同年6月20日号まで、3回にわたって掲載された。

 田島氏は同年7月の参院選で自民党の比例代表候補に公認されていたが、報道などを受けて立候補を取りやめた。

 文芸春秋の話 不当判決であり、即日控訴した。 

[時事通信社]

 

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2015-05-28 02:23:02
政治家生命って...
ヌードやSMの写真集を出してた人ですよ。(田島みわ=麻生真美子=麻生真宮子=MAMIKO)

元組長との関係が無かったとしても、写真集の件で公認取り消しになっていた可能性が高かったわけです。(当時、自民党の石破氏は、写真集のことを知っていたら公認しなかったという趣旨の発言をしている。)

週刊文春を庇うつもりはありません。

でも、今回の件では、
元女優さんが被害者ぶってると思いました。
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