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マンガでわかる 仕事もプライベートもうまくいく 感情のしくみ |
実業之日本社 |
うつなどに効果を挙げる心理療法である認知行動療法から発達した、健康な人のためのストレス対処法とされるコーピング。
本書は、コーピングの実践者、インストラクターとして第一人者である城ノ石ゆかりさんの三冊目の著作です。
今回は、彼女が主宰する4nessコーピング基礎講座に題材をとり、同講座インストラクターで漫画家でもある今谷鉄柱さんが基礎講座の進行を漫画で描き、その毎回の講座で起こったことについてゆかり先生が解説する、という構成の本で、非常にとっつきやすい心理学の本になっています。
今回の記事はこの本の感想文の第一回なのですが、この本を読んでみての感想は、一言。
「メッセージがシンプルで、力強い!」
実は私も、ゆかり先生が主宰する4nessコーピングの受講生であり、鉄柱さんのようにインストラクターになるための講座に通っている真っ最中なのですが、そのインストラクター講座に行く機上でこの本を読みだして、夢中になって読み進めてしまいました。
この本がまず言いたいことは
「感情にはしくみがある」
という表題通りのメッセージ。
人は自分の行動を変えよう変えようと努力するのですが、それではうまくいかない、というのがゆかり先生の言いたいことなのです。
「人の行動は感情が決めているのだから、感情を変えないと行動は変えられない。」
その実例はこの本に山のように載っているので、是非本書を本でほしいのですが、たとえば、コップの半分まで水が入っているという状況があった時に、
「まだ半分も水がある」
と安心に感じる人と
「もう半分しか水がない」
と不安に感じる人がいるということはよく言われることですよね。
コップに水が半分入っているという事実は変わらないのに、感情はこのように人によって違います。そして、水がまだ半分もあると満足した人はさらに水を飲むという行動に出るかもしれないし、水が半分しかないと怖れを感じた人はまず水は飲まず、とっておくとか、水を注ぎ足すという行動に出るでしょう。
行動は周りの状況や刺激が決めるのではなく、感情が決定するのです。
だから、行動を変えようと思ったら、自分の感情の問題に取り組まなければならないのですが、この時に大事なのが
「感情には理由がある」
ということなのです。
たとえば、実に、うつにも理由がある。
うつ持ちになって長い私が振り返って思えば、うつは非常につらくて、自分が選んだとは思えないものだけれども、実はうつになるメリットや理由ってあるんですよ。
うつになれば、辛い人生の事実を直視しなくていい。自分の真の問題に真正面から取り組まなくていいのです。
うつ感情にさえ、ちゃんとメリットがあり、理由があって選んでいるのです。
これは、私にとっては天から降ってきた福音のような事実です。
うつだって自分で選んだ感情なんだと思えば、なんだか怖いことなくないですか?
うつは天災のような避けがたいものではなく、自分で選んでいるのですから、うつを選ぶことも選ばないこともできるのです。
この本は、そういう意味で、うつの療法として最も有効とされる認知行動療法の嫡出子なんだと思います。自分の認知が変われば、感情は変わり、行動は変えられるのです。
うつでさえそうなのですから、ぜひ、健康なあなたに、この良書を薦めたいと思います(感想文後編に続く)。
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ゆかり先生の講座や本のいいところは、コップの水が半分もあるというポジティブシンキングをしましょう、とは決して言わないことなんですね。
今ある感情をそのままに選んでもいいし、別の感情を選んでもいい。そのような感情を持っている自分なんだと気づくことが大人としての成熟だと言ってくれるのです。
そこがいい。
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