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チハルだより

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ショカツサイとおばちゃま

2007-04-23 | Weblog



おかげさまで、
『うちゅういちのタコさんた』が増刷になりました。
読んでくださったみなさま、
いつも応援してくださるみなさま、
ありがとうございます。

また本書は、夏のすいせん図書に
なったそうです。
たまこと父ちゃんのおはなしを
楽しんでくれる子がいたら、うれしいナ。


『えっちゃん えがつく ええやんか』も
順調のようです。秋に発売の予定です。


丹精してお米を育てていらっしゃる方から
今年は渇水で、田んぼに水をはる準備がすすまない……
と聞いたので、仕事部屋の前の坂道を
てくてく登り、雨乞い岩にお参りに行きました。

とちゅう、木苺の白い花が咲く場所で、
山菜採りをしているどこかのおばちゃまに会いました。
「これって、木苺の花ですよねぇ」
って声をかけたら、
「そうよ。今年はいっぱい実ができるわよ」
って、木苺のじょうずな摘み方にはじまって、
木苺酒のつくり方、飲み方から、
なぜか、おばちゃまの身の上話まで、
「おばちゃんはね、おばちゃんはね」
と、つぎつぎお話してくださるのでした。

おばちゃまは、寒いときはハワ○に住んでいて、
いまはJ○Lに勤めるお子さんの出張で
別荘に遊びに来ていて、
(わたしの住んでいるところには別荘が多いのです)
お孫さんは、英語しかしゃべれなくて……

初対面なのに、ひとこと声をかけただけなのに、
身の上話をしてくださる方に出会うことがたびたびあって、
どうしてかなぁ?と思いながら
うんうんうなずいて聞いてたら、
今度は質問されました。

「おじょうちゃん、おうち、どこ?」

「えっと……おじょうちゃんじゃないけど、
あっちのほうです」
って、指をさしたら、
近所の方のお名前を挙げられて、
「おばちゃんはね、どこどこのお姉ちゃんとも
よくお話するのよ」
と、おっしゃるので、
「あ、そのお姉ちゃんの弟さんと、
うちの子、同い年なんです」
って、いったら、
おばちゃまのかろやかなおしゃべりが、
一瞬ぴたりと止まり、
「まあ、あなた、そんな年なの?
わたし、てっきり高校生かと……
学校はじまってる時間なのに、
どうしてこんなところにいるのかしらって
ふしぎだったのよ」


推測。
おばちゃまは、学校さぼって
山の中をふらふらしている高校生(だと思った)を心配し、
気が気でなく、
おしゃべりをしていてくれた……のかな?


散歩していると出会うおばちゃまは、
初対面で、「すき!」
って思える人が多いです。


森道に咲く写真の花、
ショカツサイ(ハナダイコンともいうそうです)
にカメラを向けていたときも、
べつのおばちゃまに出会い、
(こちらも初対面です)
この花が、いつごろから、どのように
咲いたのか、いっぱいお話しくださって、
「気に入ったなら、つんでいきなさい」
と、しきりにすすめてくださるのでした。
(わたしは、花が終わったら、
種をもらいにきますとお返事しました)

それからね、
おしゃべりはしていないけど、
ほっかむりして、割烹着つけて、
もんぺはいて、白いゴム長靴はいて、
草刈機ぶんぶんふってすすみゆく
おばちゃまのうしろに、
ぽつん、ぽつんと、すみれの花むれが
刈りのこしてあるのをみつけたとき、

「おばちゃま、だぁいすき!」

って、心のなかで、つぶやかずには
いられないのでした。


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