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ほかならぬ人へ

2015-03-23 14:43:51 | 読書
白石一文著「ほかならぬ人へ」直木賞受賞作を読んだ。

『ほかならぬ人へ』には、表題作と『かけがえのない人へ』の2編が収録されている。
どちらの小説も、恵まれた境遇にありながら家族への愛や執着が希薄な人間にとって、大切なものは何かという通底したテーマがある。





あらすじ(サイト参照)

『ほかならぬ人へ』は「ベストの相手が見つかったときは、この人に間違いないっていう明らかな証拠があるんだ」…妻のなずなに裏切られ、失意のうちにいた明生。
半ば自暴自棄の彼はふと、ある女性が発していた不思議な“徴”に気づき、徐々に惹かれていく…。


『かけがえのない人へ』は聖司という誠実なエリートの婚約者がいながら、元上司の黒木とSM的な関係を続ける会社員、みはる。
彼女は、若い愛人の家で発作を起こして倒れる父親に、人間的な深みを感じることができない。
そして、そんな父と別れない母には、自信のなさと嘘の匂いを感じる。さらに、弟も軽薄にしか見えない―。
こんな家族の中で育ったみはるも『ほかならぬ人へ』の明生と同様、豊かさゆえの腑抜けな状況におかれているといっていいだろう。