史上初の高校野球東京ドーム開催。
例年であれば神宮球場にて行なわれる全国高等学校野球選手権大会の東・西東京大会の準決勝、決勝は、東京2020 オリンピック・パラリンピックの影響で同球場が使用できないため、高校野球の公式戦としては史上初めて東京ドームにて開催。
当初は昨夏に東京ドーム開催が予定されていたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響でオリンピック・パラリンピックが延期、夏の甲子園やその予選となる地方大会も中止となり、都道府県・地区単位による独自大会へと移行して、日程や使用球場が大幅に変更になっていた。
東京ドームでは、7月31日(土)の西東京大会準決勝2試合、8月1日(日)の東東京大会準決勝2試合、2日(月)の東・西東京大会の決勝2試合、合わせて6試合を開催。今後、東京ドームにて高校野球の公式戦が行なわれるかどうかは分からないため、記念ということもあり、8月1日と2日の4試合を観戦した。
コロナ対策のため、マスク着用義務、検温、アルコール消毒、ソーシャルディスタンスのための座席間隔の確保、大声での会話は禁止など制限を設け、チケットは全席指定の事前予約のみ。外野席は学校関係者のみで、声出しは伴わずも、ブラスバンドの演奏は許可されたこともあり、盛り上がりに欠けるということはなかった。
また、屋内ゆえ酷暑の中でのプレーとはならず、試合環境としては快適なものに(一番快適に感じていたのは選手以上に観客だと思うが)。その一方で、選手は東京ドーム特有の環境に悩まされる場面も。昼間の東京ドームの天井は見づらいことで知られているが、何回か外野手が飛球を見失い、ヒットや交錯するシーンも見受けられた。通常は7分間の試合前シートノック時間が10分間に増えていたのは、そのためなのかもしれない(ノックで高いフライを打っていた高校が多かった)。また、他球場より硬いと言われるマウンドの土に、投手それぞれの相性が出たかもしれない。一方で(特に見下ろして投げるようなオーヴァースロー投手は)投げやすい傾斜とも言われており、そのマウンドにいち早く順応出来たかどうかにも影響されたところはあるだろう。
さて、1日2試合が行なわれたが、そのインターバルが準決勝は約2時間、決勝は約3時間あったため、2試合を通しで観戦しようとする観客や高校野球ファンは、時間のやり繰りに困ったかもしれない。再入場は可能だったため、東京ドームの外に出られることは出来たが、暑さのためかそのままドーム内に残って涼む人が意外と多かった。食事を済ませるだけでなく、スマホゲームや読書で時間を潰す人もいて、観戦慣れしている人たちに感心してしまった。試合前にはキャッチボールやシートノックのみならず、普段はおそらく行なわないだろう両校の打撃練習もあったため、優勝候補の高校の選手たちのハイレヴェルな打撃をドームにこだまする金属音を聞きながら見ることが出来たのも、貴重な機会になったのではないだろうか。
なお、この開催を踏まえて、今後も高校野球の東京ドーム開催を続けてもいいのではという声も上がっているようだが、2020年および2021年は東京2020オリンピック開催のため11月からの開催へ移行している都市対抗野球大会が例年7月に行なわれるため、簡単に実現は難しいと思われる。
以下に、東・西東京大会準決勝、決勝の結果をまとめておくことにする。東東京大会の準決勝と決勝、西東京大会の決勝については、ロング・ダイジェスト動画も併せて紹介しておく。
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【第103回全国高等学校野球選手権大会 西東京大会】
《準決勝》2021年7月31日(土)
◇第1試合
國學院久我山 vs 日大三
日大三 011 000 010 3
久我山 020 101 00X 4
(日)宇山、岡村-安田
(久)高橋-黒崎
【本塁打】
(日)鎌田(2回ソロ)、星(3回ソロ)
◇第2試合
東海大菅生 vs 世田谷学園
世田谷学園 000 000 0 0
東海大菅生 004 004 X 8
(7回コールド)
(世)建守-西村
(菅)櫻井、本田-福原
【第103回全国高等学校野球選手権大会 東東京大会】
《準決勝》2021年8月1日(日)
◇第1試合
関東一 vs 修徳
修 徳 000 100 000 1
関東一 004 000 00X 4
(修)床枝-若松
(関)市川-石見
【本塁打】
(修)佐藤(4回ソロ)
(関)津原(3回3ラン)
◇第2試合
二松学舎大附 vs 帝京
二松 000 040 000 4
帝京 100 000 001 2
(二)布施、秋山-鎌田
(帝)高橋(蒼)、安川、新垣-本村
【第103回全国高等学校野球選手権大会 西東京大会】
《決勝》2021年8月2日(月)
東海大菅生 vs 國學院久我山
國學久我山 201 000 000 3
東海大菅生 102 310 01X 8
(久)高橋、内山-黒崎
(菅)本田、櫻井、千田-福原
【本塁打】
(菅)堀町(3回2ラン・ランニング)、千田(4回3ラン)
※東海大菅生 4年ぶり4回目の優勝
【第103回全国高等学校野球選手権大会 東東京大会】
《決勝》2021年8月2日(月)
二松学舎大附 vs 関東一
二 松 010 000 310 5
関東一 000 000 010 1
(二)秋山-鎌田
(関)市川、鈴木-石見
※二松学舎大附 3年ぶり4回目の優勝
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