表現者としての芽吹きとシンガーとしての柔軟性は、明日の飛躍への証。
オリジナル曲としては約2年ぶりとなる「PLACE」を7インチ・シングルで6月12日(土)にリリースした脇田もなりが、そのリリース・イヴェントをリリース日から展開。タワーレコード池袋、同錦糸町を経て、3日目となるタワーレコード渋谷でのイヴェントが行なわれた。ミッドウィークの18時30分というやや早めの時間帯での開催に、本人は「正直、リアルに10人くらいかな」「Tweetしても“いいね”があんまり付かないし」と不安がったが、5Fのイヴェントスペースにはしっかりとファンたちが駆け付け、池袋、錦糸町に続いて渋谷でも「PLACE」が完売。久しぶりの新曲を待ち侘びていたファンの熱量の高さが窺えた。
脇田もなりのステージは、単独では今年2月のCOTTON CLUB公演(記事→「脇田もなり @COTTON CLUB」)、5月末の代官山LOOPラストデイに行なわれた仮谷せいら&PUMP!主宰企画公演にゲスト参加してHALLCAとともにEspeciaメドレーを披露したステージ(記事→「〈HOME~Thank You “Daikanyama LOOP” Last Day~〉@ 代官山LOOP」)以来となる。
7インチ・シングル「PLACE」の表題曲「PLACE」は、“住所不定無職”やMagic, Drums & Loveのヴォーカリスト&ドラマーで作詞家のYURINA da GOLD DIGGERと作詞を、新井俊也(冗談伯爵)、Dorianというおなじみの“盟友”と作曲を、それぞれ脇田自身が共作という形で参加。カップリングのDorian制作曲「ONDO」でも詞を共作しており、これまでは提供された楽曲を歌うことに重心を置いていたが、自身の脳裏に浮かんださまざまな心境や感情を表現していきたいという想いも芽生えたのだろう。「いっぱい提出して、いっぱい却下されて、またいっぱい提出して……(笑)」という作業のなかで、アーティストとして歌うだけでなく、作り手として表現することにも意識していると語っていた。
インストアで4曲、約30分のステージゆえ、さまざまなトピックが次々に眼前で起こるということはない。ただ、COTTON CLUB公演でも感じたことだが、歌唱における表現力の向上が非常に顕著となっている。詞世界と自身の感情を共鳴させるようなヴォーカルワークには、本人は無意識かもしれないが、シンガーとしての表現と作り手としてのそれとの両面を一体化させようという意図も伝わってきた。そして、何よりも、こういった歌唱を余計な力みが抜けた、非常にリラックスした柔軟性に富むアティテュードで繰り出せていることが秀抜だ。
先に披露した「ONDO」は“愛”をテーマにした楽曲とのことで、2021年に制作。冒頭の「黄昏 茜色 メモリー……」の詞から想起されそうな、夏の終わりのノスタルジーも感じられるミディアム・スローで、ハイトーンやファルセットを長く使う、従来の楽曲とは異質のヴォーカルワークが印象的だ。
一方、タイトル曲の「PLACE」は、「2020年はこの楽曲しか作っていない」というほど、コロナ禍など様変わりしたライフスタイルで思うことなどを詰め込んだ力作で、“私の居場所”がテーマ。詞やメロディの一部も手掛けたりと表現者として学びを得た楽曲だと言い、ポジティヴに、リラックスして歌える契機になった楽曲とも。イントロのドラム・ブレイク直後に「IN THE PLACE TO BE~」から流れ込んで軽快にグルーヴィなポップを展開するが、新井俊也のソウル・ヴァイブスとDorianの煌びやかなポップネスが巧妙に溶け合った、“表現者・脇田もなり”の嚆矢として申し分ない色合いの楽曲に仕上がっている。
リリース・イヴェントは、6月18日(金)18時からのHMV&BOOKS SHIBUYAを残すのみで、27日(日)には恵比寿・LIQUIDROOMのTime Out Cafe & Dinerにてリリース・パーティが行なわれる予定。また、17日(木)にはTBSラジオ『アフター6ジャンクション』のコーナー「LIVE & DIRECT」にてオンラインライヴを行なうほか、同番組での生放送の風景を動画サイト「MUSER」で配信(有料/ラジオ番組より3曲多く披露予定)することも決定。飛躍の加速度を高めている進行形の脇田もなりを知り、確かめるにうってつけのラインナップといえそうだ。
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【脇田もなり「PLACE」リリース記念ミニ・ライブ&特典会】
<SET LIST>
01 ディッピン
02 FRIEND IN NEED
03 ONDO (*)
04 PLACE (*)
(*): song from 7inch analog「PLACE」
<MEMBER>
脇田もなり(vo)
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■ 脇田もなり / PLACE(2021/06/12)
HCR9705 VIVID SOUND / HIGH CONTRAST
※7インチ(DLコード付き)
※RECORD STORE DAY 2021 エントリー・アイテム
Side-A: PLACE
Side-B: ONDO
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【脇田もなりに関する記事】
・2016/09/23 星野みちるの黄昏流星群Vol.5@代官山UNIT
・2017/06/20 脇田もなり@HMV record shop 新宿ALTA【インストア】
・2017/07/28 脇田もなり@タワーレコード錦糸町【インストア】
・2017/09/08 脇田もなり@clubasia
・2017/11/25 脇田もなり@HMV record shop 新宿ALTA【インストア】
・2017/12/15 脇田もなり@六本木VARIT.
・2018/01/28 脇田もなり@下北沢BASEMENTBar
・2018/03/21 脇田もなり@下北沢BASEMENTBar
・2018/05/06 脇田もなり@新宿MARZ
・2018/07/11 脇田もなり@六本木Varit.
・2018/08/09 脇田もなり『AHEAD!』
・2018/09/14 脇田もなり@WWW X
・2019/01/27 脇田もなり@六本木VARIT.
・2019/07/13 脇田もなり@HMVコピス吉祥寺【インストア】
・2019/08/01 脇田もなり@タワーレコード錦糸町パルコ【インストア】
・2019/09/23 脇田もなり@渋谷CLUB QUATTRO
・2019/10/03 脇田もなり『RIGHT HERE』
・2019/12/04 脇田もなり @Billboard Cafe & Dining
・2020/02/14 脇田もなり @Motion Blue Yokohama
・2020/02/19 脇田もなり @HMV&BOOKS SHIBUYA【インストア】
・2021/02/21 脇田もなり @COTTON CLUB
・2021/05/31 〈HOME~Thank You “Daikanyama LOOP” Last Day~〉@ 代官山LOOP
・2021/06/16 脇田もなり @タワーレコード渋谷【インストア】(本記事)
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