初アルバム・リリースに辿り着いて生まれた、ソロ・シンガーとしての矜持の萌芽。
ソロ・シンガーとしてこれまで3枚のシングルを重ねてきた脇田もなりが、今週7月26日にソロとしては初となるアルバム『I am ONLY』をリリース。“私は私でしかない”とシンガーとしての矜持を表わしたかのようなアルバム・タイトルだが、参加作家陣を見渡すと、その意図に違わぬヴァラエティに富んだ“脇田もなりだからこそ”適えられた楽曲ラインナップという自負もあるのだろう。
そのアルバム・リリース記念ミニ・ライヴが行なわれると聞きつけ、フライデーナイトの錦糸町へ足を運んだ。『I am ONLY』リリース記念ミニ・ライヴは、HMV record shop コピス吉祥寺、タワーレコード池袋店に続いて、タワーレコード錦糸町店は第3弾。彼女のライヴ観賞は6月20日のHMV record shop 新宿ALTAでの「I'm with you」リリース記念ミニ・ライヴ以来となる。
冒頭のアップ・テンポでキューティなフュージョン・ポップ「赤いスカート」から、夏の喧騒を掻い潜った夜を感じるメロディアスな「祈りの言葉」やノスタルジックなポップ「夜明けのVIEW」といったミディアムへ繋ぎ、アシッド・ジャズを透過したスタイリッシュなハウス・ダンサー「I'm with you」へ。本来はこの4曲で終了の予定だったが、「I'm with you」の終盤で観客から“Boy Friend”のコールが自然発生的に繰り出されると、サプライズで「Boy Friend」を。コール＆レスポンスで一体感を高めながら終始アットホームな雰囲気も携えた、ファンとの“適度の距離感”が心地良いステージを展開した。
当初は高音を抑えるように歌っていたとのこと。なかなか自身の歌唱がどのようなものかしっくりとこなかった時期もあったようだが、さまざまな楽曲を多くの制作陣とこなしていくうちに、徐々に疑心暗鬼な部分が消失。肩肘張った歌唱はあまり見られず、歌うことの愉しさをようやく実感し始めているようだ。セットリストの選曲やMCなどの構成も自らのコントロールの下で行なうことで、シンガーとしての自立と矜持が芽生えてきたとみえる。
個人的には元来の持ち合わせているパンチのある歌唱をさらに磨いてもらいたい気持ちもあるが、それは良し悪しというより好みの話。現時点では、脇田もなりというシンガーが成熟する上での必要な栄養素を、さまざまな楽曲と歌唱スタイルを通じて吸収している段階ということだろう。その成熟度を確かめるのに持ってこいと言えるのが、9月8日に渋谷clubasiaで行なわれるワンマンライヴ。バンドを率いてのステージとのことで、ソロ・シンガーとなってから発露した新たな一面とバンド・サウンドとの融合は、さらに新たなケミストリーを生む可能性も充分。Especia時代からもシンガーとしての評価が高かった彼女だが、自らのセンスで創り上げるステージでその進化やシンガーとしての“懐”“奥行き”などをどのように表現するのか。今後を占う上でも注目に値するステージとなりそうだ。
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＜SET LIST＞
01 赤いスカート
02 祈りの言葉
03 夜明けのVIEW
04 I'm with you
05 Boy Friend（Extended mix）
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ミニ・ライヴ終了後はアルバムなど購入者への特典会が行なわれていたが、そこへEspecia時代のメンバー、森絵莉加の姿が。脇田もなりが一ファンとして森絵莉加を迎えてCDにサインする微笑ましい光景に、この日集ったファンからも笑顔がこぼれていた。
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■ 脇田もなり／I am ONLY（2017/07/26）
HCCD-9590 VIVID SOUND / HIGH CONTRAST
［CD］
01 IN THE CITY
02 IRONY
03 泣き虫レボリューション
04 ディッピン
05 Cloudless Night
06 祈りの言葉
07 Boy Friend
08 I'm with you
09 EST! EST!! EST!!!
10 赤いスカート
11 あのね、、、
12 夜明けのVIEW
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【脇田もなり ソロ始動後の記事】
・2016/09/23 星野みちるの黄昏流星群Vol.5＠代官山UNIT
・2017/06/20 脇田もなり＠HMV record shop 新宿ALTA【インストア】
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