Josephcunlife107の日記

ロンドン(カナダ)生活、IVEY BUSINESS SCHOOLの日常。

クリスマス休暇②‐鳴子温泉‐

2006年01月09日 | 

 独眼流の名で親しい伊達正宗の青葉城址が残り、今年楽天の本拠地として話題をさらった杜の都仙台から北に車を走らせること1時間程の距離に鳴子温泉峡はある。鳴子温泉郷は、鳴子温泉・東鳴子温泉・川渡温泉・中山平温泉・鬼首温泉の5つの温泉地の総称で、370から成る豊富な源泉と泉質の良さで知られている。

 東北地方は温泉の宝庫なのだが、都心から距離が遠い為アクセスの利便性の関係上、知名度が低くなりがちなのが現状だ。例えば、東北最北端に位置する青森県は、いまでこそ新幹線はやての開通により、身近に感じることができるが、それまではまさに陸の孤島状態である。このような場所に片道6時間以上と2-3万円の交通費用をかけて東京から週末に温泉に入りに行こう考える人は、相当の温泉好きか、時間とお金に余裕がある人に限られてくる。普通であれば、コストと時間を節約できる近隣の伊豆や箱根に向かうであろう。

 こうした利便性という外的要因は、温泉街の努力ではどうにもしがたいことなので、内的な競争可能要因をフルに活用して箱根や伊豆と競争しなければならない。九州の黒川温泉では、温泉街と露天風呂の整備、湯めぐり手形及び多様な宿泊サービスを導入することで、多くの顧客を惹きつけた。温泉という資源を温泉街が共有して、最初に温泉街の成長を目指し、それから温泉街内での旅館同士を競わせるという手法だ。温泉街の顧客集客力が高まれば、温泉街をブランド化し更なる発展を見込むことも可能である。東北の温泉街も黒川温泉を手本にどんどんサービスの質を上げてほしいものである。鳴子温泉も都心から距離があることに加えて、鳴子というブランドは、紅葉とこけしのイメージが強いので温泉街としての地位が群馬の草津や伊香保に比べて低い。

 僕自身、鳴子温泉峡に来るのは2回目だった。数年前に来た時は紅葉の時期で、まさに絶景であった。その時は温泉に入ることができず、次回来るときには、温泉に入りたいと思っていたので、鳴子温泉に泊まることには過大な期待を抱いていた。鳴子町は、既に一面雪景色が広がっていたので、容易に雪見露天風呂を想像させた。今夜の宿であるしなびた旅館でチェックインを済ませると、早速露天風呂へと向かった。

 露天風呂というのはまさに日本の文化である。こうして雪景色を見ながら熱い温泉に入り心身を癒すことは、本当に素晴らしいことだ。このような素晴らしい資源のある日本から、僕はだんだんとカナダへ帰りたくなってきた。

 カナダを出る前に日本での休暇予定についてクラスメートと話す機会があったので、僕は、彼らに温泉と露天風呂について少し話をした。日本の温泉では、裸で熱い風呂に他人と一緒に入るのが習慣なんだよと僕が教えると、彼らは一様に驚きの反応を示す。話を少し広げて混浴風呂もあるんだよというと、皆目を丸めて興味深々だった。男の考えることは至極単純で万国共通である。だから僕は、“2年後日本に僕が戻ったら連れて行くので遊びにおいで”と彼らに言う。彼らの喜びの反応は云うまでも無い。実際のところは、混浴温泉に入ったからといって彼らの期待しているようなリターンは、往々にして生まれない。

 男性は混浴風呂に入る時に自分の好みの女性が一緒に入って来ることを期待する。しかし、現実はちょっと違っていて、例えば、彼らが温泉に入る際に10人の女性が入っていると仮定する。これに加えて、20代から60代の女性が同人数、同頻度で温泉を利用すると仮定した場合、20代の女性は2人しか入浴していないことになる。そこから更に彼らの好みの女性が入ってくる確立が25%だと仮定するとすると、最低20人の女性が温泉に入っていなければ確実に彼らの好みの女性と一緒に温泉に入る機会に巡り合うことができないこととなる。混浴風呂の利用者は、通常女性よりも男性が多いであろうから、男性の入浴者数が女性の倍の人数と仮定すると、20人の女性に対して40人の男性が入っていることになる。そうなると、60人が一度に温泉に浸かっていることとなるのだが、60人もの大人数を一度に収容できる温泉となると、僕は一箇所くらいしか思い浮かべられない。20代の女性がやってくる混浴露天風呂といキーワードで綿密なリサーチをすることは可能なのだろうが、僕はそこまでして混浴露天風呂に入りたいという執着心は全く無い。ということで、僕はクラスメートの期待には応えることは出来ないだろう。彼らの期待を裏切らない為に、勧めることができることは、彼女を連れておいでというくらいである。

 温泉からあがって部屋でくつろいでいると、食事が運ばれてきた。料理には鍋がついてくるということだったので期待をしていたのだが、料理を見た瞬間に僕の期待は一瞬にして失望へと変わった。10種類以上あったであろう料理の中には、多くの中華料理が並んでいた。何故鳴子で中華を食べなければならないのだろう。仕方が無いので箸をつけたのだが、イカのチリソースの味付けは明らかに間違っていたし、天麩羅は気持ちが悪くなるくらい脂っこく、海鮮鍋は見るからに安物の具材を使用していた。僕は無念にも運ばれてきた料理の多くを残した。せめて口直しにと思い味噌汁を飲んだのだが、これも間違いだった。味噌汁までもが普通の味付けが施されていなかった。この時僕は、30年以上続く老舗の旅館が、鳴子温泉というブランドだけで生きてきたことを悟った。この日、僕が食べた料理は今回日本で食べた食事の中で最も美味しくなく、後味の悪いものだった。気を取り直してテレビを見ながら傍にあったプリッツをポリポリと食べていると、運転疲れも重なっていつの間にか眠ってしまっていた。

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2 コメント

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中華料理 (jiazhi)
2006-01-09 21:54:14
老舗旅館で中華料理とは。。。

ありえませんね~。
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Unknown (Josephcunlife107)
2006-01-11 06:50:53
全く参りました。味も最悪でした。
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