【アメリカ合衆国での初回放送 = 2006年3月20日】※タイトルの「driven」は「drive(運転する)」の過去分詞形で、「意欲的、やる気がある」というような意味の形容詞的用法もある。
「ザ・ヒプノティック・スパ」でバスローブ姿や水着姿の女性客たちがくつろいでいる。突如、覆面をした3人組の強盗が侵入し、彼女たちをホット・タブから引き摺り出す。そして、ロッカーから財布やキーや宝石類を出すよう命令する。
駆け付けた警備員も殴られ、拳銃を落としてしまう。その拳銃を拾おうとしたマリソル・デルコ(エリックの妹)も殴られ、額に怪我を負う。覆面男たちは元々、銃は持ってなかったようだが、これで彼らの手に拳銃が渡ってしまったことになる。
ヴィクトリア・モレナという女性がペッパースプレーを覆面男たちの1人の顔に浴びせるが、数メートル離れた所にいたもう1人の覆面男に胸を撃たれる。
3人の覆面男たちは女性客たちから奪ったキーを使い、駐車場にあった3台の高級車…ランボルギーニとヴァイパーとアストン・マーティンに乗って逃亡する。覆面男たちは最初から高級車が目当てだったのだろうか?
ホレイショ・ケイン警部補やフランク・トリップ刑事らが現場に到着したのは、ちょうどマリソルやヴィクトリアらが救急車に運ばれている時だった。マリソルは幸い、大した怪我ではなさそうだ。エリックが病院まで彼女に付き添って行くと主張するが、エリックには現場捜査という大事な役目がある。そこで、ホレイショがマリソルに同行することにする。(べつに、ホレイショが現場捜査をしても良いんじゃないの?エリックも不満を感じたはず…?)
フランクは周辺の全ての病院に、「ペッパースプレーで顔をやられたと思われる患者が現れたら、すぐ知らせるように」と呼びかける。
ヴィクトリアは右胸を撃たれていたが、致命傷ではないようだ。また、救急隊員によると、誰かが人工呼吸で助けてくれたらしいという。その報告を受けたカリー・デュケイン捜査官が周囲を見渡すと、案の定、目撃者の中にシャツに血の付いた男性がいた。彼はマッサージ・セラピストのピーター・ニーリーという若い男性だ。
「人工呼吸でヴィクトリアを救った事をどうして黙ってたの?」と訊かれたピーターは「彼女がもし、人工呼吸の甲斐がなくて死んじゃったりしたら、ボクの責任だって訴えられるかもしれないからね」と答える。
だが、女性限定のスパ内で起こった発砲事件をピーターはどうやって知り得たのだろうか?
エリックがピーターの事情聴取を続ける間、カリーはヴィクトリアの胸を貫通した弾丸を探す。
弾丸は壁にめり込んでいた。弾丸を取り出す際、カリーは別の穴…覗き穴に気付く。誰かが壁の向こうからスパの中を覗いていたらしい。そして、その覗き男は他ならぬピーターだったのだ。
エリックはピーターを逮捕する。
マイアミ総合病院に顔の手当てに現れたビリー・ロビンソンという男が逮捕される。ビリーはとぼけようとするが、病院の駐車場にあったアストン・マーティンのキーがそのポケットから出て来たとなれば、もう誤魔化しようがない。ビリーはまた、スパの警備員の手足を縛るのに使ったのと同じジッパー紐(zip ties)も持っていた。
しかし、ビリーは共犯者たちの正体については沈黙を守るのだった。
ライアン・ウルフ捜査官とダン・クーパー(オーディオ&ビデオ・ラボの職員)がヴァイパーのGPS装置の信号を追う。しかし、GPS装置は貨物置場のフォークリフトに取り付けられていた。2人は仕方なく、GPS装置をラボに持ち帰って調べることにする。
その頃、ランボルギーニは高速95号線を時速150マイル(約240キロ)で飛ばしていた。運転していたのはヘイデン・クルーズというカー・マニアで、「ジョー」と名乗る「クルマ屋」から10万ドルで買ったばかりだという。ヘイデンはこのクルマを手に入れるために2ヶ月も待ったのだが、「入荷したという連絡があったらすぐに買わないと、他の誰かに買われちゃう」というため、盗難車かどうかも考えずに即、現金で買ったのだった。
カリーとライアンがGPS装置を調べる。GPS装置をヴァイパーから外してフォークリフトに取り付けるのに使われた道具の痕が付いているはずだ。GPS装置を外した道具はアセチレン・トーチらしい…ということは炎で焼き切ったのだから、弾痕やタイヤ痕のように型を特定できない。だが、熱せられたGPS装置を素手で持つのは無理だったのだろう、万力の痕が付いていた。
同じ型の万力は他の未解決の自動車盗難事件でもクルマを分解するのに使われていた。
自動車盗難グループのリーダーと目されるカーヴェル・ワトソンという男は保釈金によって現在のところは釈放されていた。
カリーは客になりすまし、カーヴェルが経営する高級オートショップで「ヴァイパーのドアはないかしら?」と店長に話しかける。すると、経営者のカーヴェルが奥から出て来て、「ちょうど今日、入荷したんですよ」と言うのだった。そこで、カリーは警察バッジを出す。
また、カーヴェルの店の裏のゴミ箱からスパの客たちから盗んだハンドバッグの1つが見つかるが、カーヴェルは「俺は誰かにハメられてるんだ!」と主張する。
ヴィクトリア・モレナは結局、心臓麻痺で死んでしまう。弾丸によって受けた肉体的な傷そのものは致命的でなくても、「撃たれた」という精神的なショックで心臓が止まってしまう事があるのである。これで、事件は「強盗」から「殺人」に変わった。
解剖室(?)。エリックは丁寧な、思いやりを込めた手つきで、ヴィクトリアの死体から証拠を集める。衣服を袋に入れ、手や髪に残された異物を採取する。そこにジャヴィエル・モレナ…ヴィクトリアの亡夫が現れ、まるでエリックがヴィクトリアを冒涜してるかのように「何をしてるんだ!?」と迫る。ここはたとえ被害者の身内であっても立入禁止なのだが、警備の隙間から入り込んで来てしまったらしい。エリックはジャヴィエルに同情し、「これは彼女を殺した犯人を捕まえるためにやっているんです」と説明する。
ヴィクトリアの髪には砂糖(ショ糖)と灰が含まれていた。砂糖工場ならマイアミにはいくらでもあるが、灰が混ざってるとなると…エリックたちは約3週間前に火事で閉鎖されたサリヴァン砂糖工場の事を思い出す。
ホレイショとライアンがSWATチームとともにサリヴァン砂糖工場に行くと、ちょうどヴァイパーの分解作業中だった。作業員たちはすぐに取り押さえられるが、そこに奥の事務所から元締め…ジョー・タナーがショットガンを持って出て来る。ライアンはジョーに対して拳銃を構えるが、どういうわけか発砲できずに凍り付いてしまう。ジョーが今にもライアンを撃とうという時、ホレイショがジョーを撃つ。
ライアンがさっさと撃っていれば、ジョーも死なずに済んだかもしれないが、ホレイショの位置からは撃ち殺すしかなかった。ライアンが謝ろうとすると、ホレイショは「おまえの位置からは標的がよく見えなかったんだ。いいな?」と言い聞かせる。帰署後、内部調査官のリック・ステットラー刑事に事情聴取を受けたライアンはホレイショに言われた通りに供述する。
紫外線検査の結果、ジョー・タナーの腕にもペッパースプレーの痕跡が確認された。ヴィクトリアが第1の覆面男(ビリー・ロビンソン)の顔にペッパースプレーを浴びせた直後、第2の覆面男に向かっても噴霧したのだが、そちらは顔にまでは届かず、腕にかかっただけだった。ジョーがその第2の覆面男だったというわけである。
しかし、第3の覆面男…つまり、ヴィクトリアを撃った男はどこの誰なのか?
ジョーはスパの女性客たちのハンドバッグも持っていたが、彼女たちの運転免許証は無かった。免許証には住所が書いてある。クルマ泥棒が家宅侵入もやるというケースは珍しいが、なにしろ、クルマのキーと一緒に家のカギ等も奪ってるのだから、やろうと思えば十分可能だろう。
だとすると、マリソルも心配だ。ホレイショはマリソルを自分の家に匿うことにし、パトカーで送らせる。
それから、ホレイショは他の強盗被害者…シンシア・ギルモアの自宅に向かう。到着すると、シンシアはコーヒー・テーブルに縛り付けられていた。ヴィクトリアを撃った覆面の男(声でわかったらしい)の仕業だという。また、その犯人はシンシアのブラックベリー(PDA)も奪い、「おまえの金持ちの友人たちを皆、餌食にしてやる」とうそぶいたという。
シンシアのPDAに登録されている全ての人間の所に一度に警察官を派遣するのは無理だ。
犯人は手袋をはめずに素手でシンシアを縛ったため、ロープに上皮細胞が残っていたが、それから検出されたのはジャヴィエル・モレナのDNAだった。ジャヴィエルには強盗の前科があったのだ。しかし、死んだヴィクトリアの夫ジャヴィエルがどうしてシンシアを襲ったのだろうか?
ジャヴィエルはスパにいた覆面男たちとは関係なく、ヴィクトリアも撃っていなかった。シンシアを縛ったのも彼ではない。実はジャヴィエルとシンシアは以前から浮気をしており、S&Mゴッコにロープを使った事があったのだ。ジャヴィエルいわく、「証拠写真もある」という。
写真といえば、覗き男のピーター・ニーリーも隠し撮りぐらいはしてたのではないか?…とカリーは思い付く。案の定、スパで採集した証拠品の中にペン型のスパイカメラがあり、中に残っていたフィルムには覆面男たちの写真もあった。第3の覆面男の顔はよくわからないが、身長はジャヴィエルよりもだいぶ低いことがわかった。それから、手首付近に刺青をしている。
ダンはなぜか、ライアンがジョーと対峙して凍り付いてしまった一件を知っており、ライアンをからかう。ライアンは激怒し、「俺の位置からは標的がよく見えなかったんだよ!」と言い張る。
デルコがホレイショに「マリソルは?」と尋ねる。彼女はアパートにもおらず、携帯電話にも出ないというのだ。2人がマリソルのアパートに急行すると、争った形跡…そして血痕があった。奥には男…オートショップの店長のグレッグが倒れていた。その腕には例の刺青があった。つまり、ヴィクトリアを殺したのはグレッグだったのだ。それでは、グレッグを殺したのは誰なのか?強盗たちが仲間割れをしたのだろうか?
ホレイショはマリソルの様子を見るために帰宅し、彼女にグレッグのことを告げる。
グレッグの胸に撃ち込まれていたのは.38口径の弾だった。ヴィクトリアが撃たれたのと同じ拳銃(元々はスパの警備員が持っていたもの)によるものらしい。グレッグにはその他、裂傷や挫傷もあり、また、肋骨も折れていた。マリソルのアパート内で犯人とかなり争ったのだろう。
さらに、強く掴まれた腕の部分に縫い目模様が見えるので、相手は手袋をしていたはずだ。半分位で縫い目が終わっているから、防寒用というよりは運転用の手袋だろう。カリーとエリックがその模様を様々な手袋と照合した結果、ヘイデン・クルーズのものと一致することがわかる(写真)。そう、あのランボルギーニを買ったカー・マニアだ。
ヘイデンは無実を主張する。「俺は拳銃なんか所持してないし、手にも硝煙反応は無かっただろう?」というわけだ。だが、ホレイショが「手に硝煙反応が無かったのは手袋をしていたからだ」と指摘すると、ヘイデンはグレッグと争った事実を認める。
ヘイデンは盗品を売り付けられた事を知って怒り、グレッグを尾行して殴打したが、撃ってはいないという。
ホレイショたちは捜査令状の手配をし、ヘイデンの自宅やクルマを調べる。すると、スパの警備員が縛られたジッパー紐と同じものが見つかる。
結局、覆面強盗事件の黒幕はヘイデンだったのだ。財布や宝石類を盗ませたのはただの目くらましで、やはり、3台のクルマが目的だった。「誰も傷付かないはずだった」のだが、警備員が拳銃を持っていたり、ヴィクトリアがペッパー・スプレーを使ったことで状況が変わってしまった。被害者たちの家に強盗に入る予定もなかったのだが、グレッグが欲を出して勝手な行動を取ったため、始末することにしたのだ。高級車を盗むのはオイシイ商売なので、それだけをやっていれば良いのである。他の事にまで手を出したら、ややこしくなっていけない。
ライアンはカリーに「実は標的がちゃんと見えてたんだよ。でも、引き金が引けなかった」と打ち明ける。すると、カリーは微笑み、「あたしもね、最初の頃はしばらく夜間パトロールをやってたんだけど、そのあと、昼間の任務に変わったら夜目が効かなくなっちゃったのよ。あなたの場合、パトロールの仕事からラボの仕事になって、また現場勤務に戻ったわけでしょう?そんなにいろいろ変わったら戸惑っても不思議じゃないわ。だから、気にしないことね」とアドバイスする。ライアンは胸のつかえが取れた気分だった。
マイアミ・デイド署。窓から夕日が差し込んでいる。
マリソルが「これまで、あたしは癌のことばかりが気になって、ちゃんと『生きる』ことを忘れてた」とホレイショにもらす。目の前でヴィクトリアが撃たれて、自分自身もあやうく殺されるかもしれないという状況に陥って、ようやく気付いたのだ。
「まだ結婚もしたことないし、赤ちゃんだって産んだことない」と涙声で訴えるマリソルに、ホレイショは「まだ、できるさ」と優しく答える。マリソルはあと、ほんの数ヶ月しか生きられないはずなのに、ホレイショはどうやら、「君さえ望むなら、私が君の夫に、そして赤ん坊の父親になってあげよう」と決心してるように見える。
マリソルは「あなたがそう言うと、説得力があるわ」と、かすかな笑みを浮かべる。
ホレイショはもしかすると、「『女の幸せ』を得て未来への希望を持つことによって、マリソルの寿命も伸びるかもしれない」、いや、「残りの人生が短いからこそ、幸せにしてあげよう」と思ってるのだろうか?
(マリソルのアパートでは殺人事件も起こってしまったことだし、彼女は今後、ホレイショと一緒に住むんだろうか?)
【今日の一言】
Marisol Delko: Horatio, you get them. OK?
Lt. Horatio Caine: I will.
「ザ・ヒプノティック・スパ」でバスローブ姿や水着姿の女性客たちがくつろいでいる。突如、覆面をした3人組の強盗が侵入し、彼女たちをホット・タブから引き摺り出す。そして、ロッカーから財布やキーや宝石類を出すよう命令する。
駆け付けた警備員も殴られ、拳銃を落としてしまう。その拳銃を拾おうとしたマリソル・デルコ(エリックの妹)も殴られ、額に怪我を負う。覆面男たちは元々、銃は持ってなかったようだが、これで彼らの手に拳銃が渡ってしまったことになる。
ヴィクトリア・モレナという女性がペッパースプレーを覆面男たちの1人の顔に浴びせるが、数メートル離れた所にいたもう1人の覆面男に胸を撃たれる。
3人の覆面男たちは女性客たちから奪ったキーを使い、駐車場にあった3台の高級車…ランボルギーニとヴァイパーとアストン・マーティンに乗って逃亡する。覆面男たちは最初から高級車が目当てだったのだろうか?
ホレイショ・ケイン警部補やフランク・トリップ刑事らが現場に到着したのは、ちょうどマリソルやヴィクトリアらが救急車に運ばれている時だった。マリソルは幸い、大した怪我ではなさそうだ。エリックが病院まで彼女に付き添って行くと主張するが、エリックには現場捜査という大事な役目がある。そこで、ホレイショがマリソルに同行することにする。(べつに、ホレイショが現場捜査をしても良いんじゃないの?エリックも不満を感じたはず…?)
フランクは周辺の全ての病院に、「ペッパースプレーで顔をやられたと思われる患者が現れたら、すぐ知らせるように」と呼びかける。
ヴィクトリアは右胸を撃たれていたが、致命傷ではないようだ。また、救急隊員によると、誰かが人工呼吸で助けてくれたらしいという。その報告を受けたカリー・デュケイン捜査官が周囲を見渡すと、案の定、目撃者の中にシャツに血の付いた男性がいた。彼はマッサージ・セラピストのピーター・ニーリーという若い男性だ。
「人工呼吸でヴィクトリアを救った事をどうして黙ってたの?」と訊かれたピーターは「彼女がもし、人工呼吸の甲斐がなくて死んじゃったりしたら、ボクの責任だって訴えられるかもしれないからね」と答える。
だが、女性限定のスパ内で起こった発砲事件をピーターはどうやって知り得たのだろうか?
エリックがピーターの事情聴取を続ける間、カリーはヴィクトリアの胸を貫通した弾丸を探す。
弾丸は壁にめり込んでいた。弾丸を取り出す際、カリーは別の穴…覗き穴に気付く。誰かが壁の向こうからスパの中を覗いていたらしい。そして、その覗き男は他ならぬピーターだったのだ。
エリックはピーターを逮捕する。
マイアミ総合病院に顔の手当てに現れたビリー・ロビンソンという男が逮捕される。ビリーはとぼけようとするが、病院の駐車場にあったアストン・マーティンのキーがそのポケットから出て来たとなれば、もう誤魔化しようがない。ビリーはまた、スパの警備員の手足を縛るのに使ったのと同じジッパー紐(zip ties)も持っていた。
しかし、ビリーは共犯者たちの正体については沈黙を守るのだった。
ライアン・ウルフ捜査官とダン・クーパー(オーディオ&ビデオ・ラボの職員)がヴァイパーのGPS装置の信号を追う。しかし、GPS装置は貨物置場のフォークリフトに取り付けられていた。2人は仕方なく、GPS装置をラボに持ち帰って調べることにする。
その頃、ランボルギーニは高速95号線を時速150マイル(約240キロ)で飛ばしていた。運転していたのはヘイデン・クルーズというカー・マニアで、「ジョー」と名乗る「クルマ屋」から10万ドルで買ったばかりだという。ヘイデンはこのクルマを手に入れるために2ヶ月も待ったのだが、「入荷したという連絡があったらすぐに買わないと、他の誰かに買われちゃう」というため、盗難車かどうかも考えずに即、現金で買ったのだった。
カリーとライアンがGPS装置を調べる。GPS装置をヴァイパーから外してフォークリフトに取り付けるのに使われた道具の痕が付いているはずだ。GPS装置を外した道具はアセチレン・トーチらしい…ということは炎で焼き切ったのだから、弾痕やタイヤ痕のように型を特定できない。だが、熱せられたGPS装置を素手で持つのは無理だったのだろう、万力の痕が付いていた。
同じ型の万力は他の未解決の自動車盗難事件でもクルマを分解するのに使われていた。
自動車盗難グループのリーダーと目されるカーヴェル・ワトソンという男は保釈金によって現在のところは釈放されていた。
カリーは客になりすまし、カーヴェルが経営する高級オートショップで「ヴァイパーのドアはないかしら?」と店長に話しかける。すると、経営者のカーヴェルが奥から出て来て、「ちょうど今日、入荷したんですよ」と言うのだった。そこで、カリーは警察バッジを出す。
また、カーヴェルの店の裏のゴミ箱からスパの客たちから盗んだハンドバッグの1つが見つかるが、カーヴェルは「俺は誰かにハメられてるんだ!」と主張する。
ヴィクトリア・モレナは結局、心臓麻痺で死んでしまう。弾丸によって受けた肉体的な傷そのものは致命的でなくても、「撃たれた」という精神的なショックで心臓が止まってしまう事があるのである。これで、事件は「強盗」から「殺人」に変わった。
解剖室(?)。エリックは丁寧な、思いやりを込めた手つきで、ヴィクトリアの死体から証拠を集める。衣服を袋に入れ、手や髪に残された異物を採取する。そこにジャヴィエル・モレナ…ヴィクトリアの亡夫が現れ、まるでエリックがヴィクトリアを冒涜してるかのように「何をしてるんだ!?」と迫る。ここはたとえ被害者の身内であっても立入禁止なのだが、警備の隙間から入り込んで来てしまったらしい。エリックはジャヴィエルに同情し、「これは彼女を殺した犯人を捕まえるためにやっているんです」と説明する。
ヴィクトリアの髪には砂糖(ショ糖)と灰が含まれていた。砂糖工場ならマイアミにはいくらでもあるが、灰が混ざってるとなると…エリックたちは約3週間前に火事で閉鎖されたサリヴァン砂糖工場の事を思い出す。
ホレイショとライアンがSWATチームとともにサリヴァン砂糖工場に行くと、ちょうどヴァイパーの分解作業中だった。作業員たちはすぐに取り押さえられるが、そこに奥の事務所から元締め…ジョー・タナーがショットガンを持って出て来る。ライアンはジョーに対して拳銃を構えるが、どういうわけか発砲できずに凍り付いてしまう。ジョーが今にもライアンを撃とうという時、ホレイショがジョーを撃つ。
ライアンがさっさと撃っていれば、ジョーも死なずに済んだかもしれないが、ホレイショの位置からは撃ち殺すしかなかった。ライアンが謝ろうとすると、ホレイショは「おまえの位置からは標的がよく見えなかったんだ。いいな?」と言い聞かせる。帰署後、内部調査官のリック・ステットラー刑事に事情聴取を受けたライアンはホレイショに言われた通りに供述する。
紫外線検査の結果、ジョー・タナーの腕にもペッパースプレーの痕跡が確認された。ヴィクトリアが第1の覆面男(ビリー・ロビンソン)の顔にペッパースプレーを浴びせた直後、第2の覆面男に向かっても噴霧したのだが、そちらは顔にまでは届かず、腕にかかっただけだった。ジョーがその第2の覆面男だったというわけである。
しかし、第3の覆面男…つまり、ヴィクトリアを撃った男はどこの誰なのか?
ジョーはスパの女性客たちのハンドバッグも持っていたが、彼女たちの運転免許証は無かった。免許証には住所が書いてある。クルマ泥棒が家宅侵入もやるというケースは珍しいが、なにしろ、クルマのキーと一緒に家のカギ等も奪ってるのだから、やろうと思えば十分可能だろう。
だとすると、マリソルも心配だ。ホレイショはマリソルを自分の家に匿うことにし、パトカーで送らせる。
それから、ホレイショは他の強盗被害者…シンシア・ギルモアの自宅に向かう。到着すると、シンシアはコーヒー・テーブルに縛り付けられていた。ヴィクトリアを撃った覆面の男(声でわかったらしい)の仕業だという。また、その犯人はシンシアのブラックベリー(PDA)も奪い、「おまえの金持ちの友人たちを皆、餌食にしてやる」とうそぶいたという。
シンシアのPDAに登録されている全ての人間の所に一度に警察官を派遣するのは無理だ。
犯人は手袋をはめずに素手でシンシアを縛ったため、ロープに上皮細胞が残っていたが、それから検出されたのはジャヴィエル・モレナのDNAだった。ジャヴィエルには強盗の前科があったのだ。しかし、死んだヴィクトリアの夫ジャヴィエルがどうしてシンシアを襲ったのだろうか?
ジャヴィエルはスパにいた覆面男たちとは関係なく、ヴィクトリアも撃っていなかった。シンシアを縛ったのも彼ではない。実はジャヴィエルとシンシアは以前から浮気をしており、S&Mゴッコにロープを使った事があったのだ。ジャヴィエルいわく、「証拠写真もある」という。
写真といえば、覗き男のピーター・ニーリーも隠し撮りぐらいはしてたのではないか?…とカリーは思い付く。案の定、スパで採集した証拠品の中にペン型のスパイカメラがあり、中に残っていたフィルムには覆面男たちの写真もあった。第3の覆面男の顔はよくわからないが、身長はジャヴィエルよりもだいぶ低いことがわかった。それから、手首付近に刺青をしている。
ダンはなぜか、ライアンがジョーと対峙して凍り付いてしまった一件を知っており、ライアンをからかう。ライアンは激怒し、「俺の位置からは標的がよく見えなかったんだよ!」と言い張る。
デルコがホレイショに「マリソルは?」と尋ねる。彼女はアパートにもおらず、携帯電話にも出ないというのだ。2人がマリソルのアパートに急行すると、争った形跡…そして血痕があった。奥には男…オートショップの店長のグレッグが倒れていた。その腕には例の刺青があった。つまり、ヴィクトリアを殺したのはグレッグだったのだ。それでは、グレッグを殺したのは誰なのか?強盗たちが仲間割れをしたのだろうか?
ホレイショはマリソルの様子を見るために帰宅し、彼女にグレッグのことを告げる。
グレッグの胸に撃ち込まれていたのは.38口径の弾だった。ヴィクトリアが撃たれたのと同じ拳銃(元々はスパの警備員が持っていたもの)によるものらしい。グレッグにはその他、裂傷や挫傷もあり、また、肋骨も折れていた。マリソルのアパート内で犯人とかなり争ったのだろう。
さらに、強く掴まれた腕の部分に縫い目模様が見えるので、相手は手袋をしていたはずだ。半分位で縫い目が終わっているから、防寒用というよりは運転用の手袋だろう。カリーとエリックがその模様を様々な手袋と照合した結果、ヘイデン・クルーズのものと一致することがわかる(写真)。そう、あのランボルギーニを買ったカー・マニアだ。
ヘイデンは無実を主張する。「俺は拳銃なんか所持してないし、手にも硝煙反応は無かっただろう?」というわけだ。だが、ホレイショが「手に硝煙反応が無かったのは手袋をしていたからだ」と指摘すると、ヘイデンはグレッグと争った事実を認める。
ヘイデンは盗品を売り付けられた事を知って怒り、グレッグを尾行して殴打したが、撃ってはいないという。
ホレイショたちは捜査令状の手配をし、ヘイデンの自宅やクルマを調べる。すると、スパの警備員が縛られたジッパー紐と同じものが見つかる。
結局、覆面強盗事件の黒幕はヘイデンだったのだ。財布や宝石類を盗ませたのはただの目くらましで、やはり、3台のクルマが目的だった。「誰も傷付かないはずだった」のだが、警備員が拳銃を持っていたり、ヴィクトリアがペッパー・スプレーを使ったことで状況が変わってしまった。被害者たちの家に強盗に入る予定もなかったのだが、グレッグが欲を出して勝手な行動を取ったため、始末することにしたのだ。高級車を盗むのはオイシイ商売なので、それだけをやっていれば良いのである。他の事にまで手を出したら、ややこしくなっていけない。
ライアンはカリーに「実は標的がちゃんと見えてたんだよ。でも、引き金が引けなかった」と打ち明ける。すると、カリーは微笑み、「あたしもね、最初の頃はしばらく夜間パトロールをやってたんだけど、そのあと、昼間の任務に変わったら夜目が効かなくなっちゃったのよ。あなたの場合、パトロールの仕事からラボの仕事になって、また現場勤務に戻ったわけでしょう?そんなにいろいろ変わったら戸惑っても不思議じゃないわ。だから、気にしないことね」とアドバイスする。ライアンは胸のつかえが取れた気分だった。
マイアミ・デイド署。窓から夕日が差し込んでいる。
マリソルが「これまで、あたしは癌のことばかりが気になって、ちゃんと『生きる』ことを忘れてた」とホレイショにもらす。目の前でヴィクトリアが撃たれて、自分自身もあやうく殺されるかもしれないという状況に陥って、ようやく気付いたのだ。
「まだ結婚もしたことないし、赤ちゃんだって産んだことない」と涙声で訴えるマリソルに、ホレイショは「まだ、できるさ」と優しく答える。マリソルはあと、ほんの数ヶ月しか生きられないはずなのに、ホレイショはどうやら、「君さえ望むなら、私が君の夫に、そして赤ん坊の父親になってあげよう」と決心してるように見える。
マリソルは「あなたがそう言うと、説得力があるわ」と、かすかな笑みを浮かべる。
ホレイショはもしかすると、「『女の幸せ』を得て未来への希望を持つことによって、マリソルの寿命も伸びるかもしれない」、いや、「残りの人生が短いからこそ、幸せにしてあげよう」と思ってるのだろうか?
(マリソルのアパートでは殺人事件も起こってしまったことだし、彼女は今後、ホレイショと一緒に住むんだろうか?)
【今日の一言】
Marisol Delko: Horatio, you get them. OK?
Lt. Horatio Caine: I will.
ラストのお部屋はマイアミデイド署のHorarioのオフィスですね。
とにかくこの2人の関係には疑問符がいくつあっても足らない私ですが、スポイラーで知っていたとはいえ、こんな形で!とさすがに開いた口がふさがりませんでした。
ここ4~5週間、マリソルの「マ」の字も出てこなかっただけに、ラストシーンのやり取りはビックリ…というか、見てる方が恥ずかしくなっちゃう部分もありますね(苦笑)。同じ展開にするのでも、セリフや演技にもうちょっと工夫が欲しかったところです。(マリソルって、ひょっとして演技下手!?)
余計な(ごめんなさい)エピソードをちりばめたような気がします。ただでさえ英語を追うので必死なので、いきなりの展開だと、自分の想像力に任せるしかありません(笑)
例えば、今回だと、あの亡くなった女の人の夫が浮気の証拠写真・・・から、写真といえばー・・・と、なったところも、あのジムの覗き男=夫にしてましたから。ジョウさんのエピガイがなければ、気が付きませんでした。おいおい。
マリソルも、なんか充分エンジョイしてるように見えますけど。
マイアミは一体どこに向かっていくんでしょうかー??
ところで、マリソルのアパートって、結構ハイクラスなイメージじゃないですか?お金にかなり困ってたはずですが…。ホレイショが援助してるにしても、彼と出会う前からそこに住んでたんでしょうし、第一、ホレイショ自身も公務員ですしねぇ。あと、今回は息抜きでスパに行ったと言ってましたが、客層がかなり良さそうな店なので、きっと料金も高いですよね。