昨日の夕方、娘の恋人のA君がチェンマイ大学病院から別の公立病院へ転院させられました。これからはA君の30バーツ健康保険(ほとんどタダ)を使って入院を続けることになるのだそうです。私には今ひとつ転院しなければならない理由がはっきりしません。事故相手の任意保険の医療費限度額を越えたからだと妻は言うのですが、そうすると大体70万バーツが上限だったということになります。
もうひとつは容体の安定化ということが考えられます。10月8日の事故直後に救急搬送されたチェンマイ大学病院は、急性期の病気の患者や高度医療が必要な患者を受け入れる病院です。自分で呼吸できるようになり、とりあえず状態が落ち着いてきたA君は出なければならないのでしょう。ただし安定してきたと言っても、高熱が出たり、ときどき腹部からの出血があるので、脳のダメージ以外にもA君の容体は決して予断を許さないと思います。
転院した病院は、わが家から車で20分くらいです。でもA君の実家からは1時間以上かかります。今日は娘はもちろんですが、久しぶりにお父さんと二番目のお姉さん(写真の中央)が来ていました。
この写真からも分かるように、A君は栄養が足りないので、足はほとんど骨と皮だけになってしまいました。ハンサムで、スリムだけれども筋肉質のとてもカッコいい男だったのに・・・
お昼になってから、昨日バイクを置いたままになっているチェンマイ大学病院まで娘を送ってやりました。途中、約束通り寿司の食べられる和食屋さんに寄りました。
お昼を食べながら娘の話をいろいろ聞いてやりました。ちょっと愚痴っぽい話もありますが、話さずにはいられないのです。きっと妻には、いつも電話で話してるのかもしれません。
「お父さん、Aはね、本当は浮気者なんだよ。もてるから女が何人もいたの。事故の夜、バイクの後ろに乗ってた女も実はそうなんだよ。それから、この子もそうだよ。(と言ってケータイの写真をいろいろ私に見せる)」(娘以上にきれいな子はいませんでした!)
「でもね、事故のあと誰も病院へ来ないんだよ。Aは馬鹿だよ。そんな薄情な女といっぱい付き合ってさ。」
「私だけなんだよ、Aの面倒を看れるのは。お父さんもお母さんも、お姉さんもちょっと無理なの。何もわかってないの。どうしたらいいか知らないの。私はさ、もう看護婦さんみたいに世話できるようになっちゃった。好きでやってるわけじゃないけど、誰もやらないから、私がやらなければならないの。私はAを見捨てることはできないよ。」
「お前だって浮気者じゃないのか?」と私。
「今はそんな暇ないのよ。Aのことで精いっぱいだから。これからも、ずっとそうでも構わないの。最後まで私が面倒看なければ、Aがかわいそうでしょ。」
「お父さん、私ね、実はいっぱい泣いたんだよ。病室で泣けないからトイレでこっそり泣いたんだよ。でも看護婦さんに見つかったことがあるの。夜中にトイレに駆け込むのは泣くためだって、バレちゃったの。昨日の夜も新しい病院の看護婦さんに見つかったの。こればっかしは仕方ないじゃん・・・?」
あくまでも明るい表情と声で、淡々と話し続ける娘でした。でも、突然慣れない病院に転院したばかりで疲れているのでしょう。大好きなはずの寿司を半分以上も残しました。こんなのは見たことがありません。事故から1か月半、今は気丈な娘だけれど、今後A君にもしものことがあったら・・・娘の心が崩壊してしまうんじゃないかと、ふとその心配が頭をよぎりました。
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A君はともかく、娘にとっては今が最大の試練、
「艱難辛苦、汝を玉にす」となってほしいものです。
きっと乗り越えて生きていくと思います。
長い将来のために。
それを乗り越える娘さんを応援したい。
いつも話をする(喧嘩もする)妻がいないので、私が会いに行くと、娘はいろいろと話したいことがあるようです。娘は早口なので、彼女のタイ語の半分も理解できません。それでも、会って一緒にご飯を食べるだけでもいいので、毎日励ましに行ってやろうかと思います。
また、あなたが娘さんを思う気持ちにも打たれました。
ご家族、みんなで頑張ってくださいね。
私は、お祈りしかできませんが、絶えず祈っています。
(浦安市在住)