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【朝鮮日報コラム】韓国大統領府の説明、違うと感じたら自分の目を疑えと?

2018-10-29 00:46:51 | 韓国

韓国大統領府の説明、違うと感じたら自分の目を疑えと?

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が先週、今回の訪欧について「韓半島(朝鮮半島)平和プロセスに

ついて幅広い支持を得た」と言ったのを聞いて、あらためて驚いた。一般の評価とあまりにもかけ離れている

話だからだ。「あらためて」という言葉を使ったのは、訪欧と関連して驚いたことが一度や二度ではなかった

からだ。


 文大統領は「対北朝鮮制裁の緩和を通じた非核化促進」というメッセージを持って、欧州各国を訪問した。

これに先立つ現地メディアとのインタビューで、「北朝鮮の非核化がある段階に到達すれば経済制裁を

徐々に緩めることを真摯(しんし)に検討すべきだ」と事前に言っていた。この程度なら、事前の地ならしが

済んだという意味だ。20数年間、歴代大統領の首脳会談を見守ってきた経験では、それは常識だった。

ところが、韓仏首脳会談で、「対北朝鮮制裁の緩和を通じて非核化を促進できるよう力を貸してほしい」

という文大統領の要求に、マクロン仏大統領は冷静に一線を画した。共同宣言には、北朝鮮が身震いするほど

嫌がる「CVID」(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)という表現まで盛り込まれた。

文大統領だけでなく、首脳会談の準備をした側近たちも当惑したことだろうと思っていた。

ところが、大統領府関係者は「うまく行った。期待していたよりもうまく行った」と語った。首脳会談の

結果を見てまず驚き、その結果に対する大統領府の解釈にまた驚いた。


 文大統領はその後も欧州の首脳に会うたびに「対北朝鮮制裁緩和」を頼んだが、CVIDという同じ答えが

返ってきた。51カ国が参加したアジア欧州会議(ASEM)首脳会談の閉幕宣言にもCVIDという文言が

盛り込まれた。欧州諸国の間では「CVIDが実現するまで北朝鮮に圧力を加える」という共通認識が

あったのにもかかわらず、韓国大統領はこのような流れを読み取れず、的外れな主張をしていたわけだ。

外交・安保担当が大統領の補佐を誤ったために恥をかいたのだ。これほどの事態となると外交上、

事故を起こしたと言っていい。文大統領が訪欧結果に逆上したら問責人事をするかもしれないと思って

いたが、見当違いだった。


 大統領訪欧の準備をしていた側近たちは「欧州諸国に対して、対北朝鮮制裁緩和の必要性を公論化した」と

自ら評した。公論化とは、あまりよく知られていない問題について関心を持つよう促し、議論のテーマ

として取り上げるプロセスのことだ。北朝鮮の核問題はそうしたプロセスの対象ではない。

1993年の第1次北朝鮮核問題以降、国際会議が開かれるたびに議論されてきた。北大西洋条約機構

(NATO)事務総長は今年初め、ドイツ・ミュンヘンで行われた会議で、「ミュンヘンはワシントンより

平壌から近い。北朝鮮の核はNATO同盟国すべてにとって脅威となるので、最大限の圧力をかけて放棄

させなければならない」と言った。北朝鮮の核について、韓国は南北和解と緊張解消という観点から

見ているが、欧州はグローバルな安全保障問題だと見なしている。国内政治で公論化がうまく行ったことを念

頭に、欧州諸国に伝えたいと思っていたとしたら、とんでもない見当違いだろう。


 大統領府は今回の訪欧の最大の成果としてローマ法王の訪朝受け入れを挙げている。文大統領が

ローマ法王と会った直後、大統領府はソーシャル・メディアに報道資料を掲載した。

ローマ法王が「正式な招待状を送ってくれれば条件なしに回答するつもりだ。私は行くことができる」と

語ったという内容だった。大統領府関係者は「法王がこのように破格のメッセージを出すとは全く

予想していなかった」と興奮した。

かなりの数のメディアが法王の回答を省略して「招待状が来たら条件なしに行くことができる」と報道した。

これは誇張・歪曲(わいきょく)報道だ。このような報道を知った韓国の国民たちは、ローマ法王が

北朝鮮に行きたがっていて、招待状を心待ちにしている姿を頭に思い描いたことだろう。

 

 しかし、外信が報じたローマ法王訪朝のニュースはニュアンスがかなり違っていた。ローマ法王庁の

公式メディア「バチカンニュース」は「法王は訪朝についてオープンだ」と言う見出しでこのニュースを

伝えた。この記事で、「法王庁は訪朝の準備を始めたのか」という問いに、

法王庁国務省長官は「そうではない。現在は訪朝に関心を示した段階だ」と答えた。

「韓国政府はローマ法王の訪朝意思を確認したと発表した」と言うと、国務省長官は「こうした種類の

訪問は真摯な準備が必要だ」と述べた。

一方、米CNN放送は「『訪朝招請を受け入れるのか』という質問に、ローマ法王庁は答えなかった」と

報道した。


 韓国政府の北朝鮮核問題における外交路線が正しいかどうかは、主観的な判断がかみ合わない

可能性がある。しかし、その路線に対する国際社会の反応が熱いのか、それとも冷淡なのかは、ある程度の

数値化が可能な客観的領域だ。外信報道を見ても、今回の訪欧に対する国際社会の全般的な見方が

読み取れる。

ところが、韓国大統領府はそうした見方とはあまりにもかけ離れた評価をして人々を驚かせているのだ。

訪欧を批判的に報道したメディアに対して、大統領府は「ゆがんだ見方をするとそう見えるだろう」と言った。

世間のことについて、大統領府の説明とは違って見えたら、自分の目が間違っていると思って

とがめなければならない世の中になった。



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