2018年12月6日 WEDGEInfinity 岡崎研究所
「議長声明」の冒頭は、次のように始まる。
すなわち、「9,16及び17の段落」で書かれた内容について、合意がなされなかったということである。
では、それらの段落には、何が書かれているのか。
まず、9段落を見てみよう。その内容は、次の通りである。
APEC首脳会議の現地取材をしたワシントン・ポスト紙のロウギン記者は、11月20日付の同紙で、
共同宣言には、中国が唯一反対した、と述べている。どうやら、「公正かつ開かれた形で」という文言が
気に入らなかったらしい。
続いて、16と17番目の段落である。
WTOの改革に関しては、トランプ政権も推進していて、日米欧で連携してWTOの改善をしようと、
首脳会談等で合意している。WTOがきちんと機能していないから「不公平な」貿易が起きる、
というのがトランプ大統領の考え方である。
安倍総理は、APEC首脳会議前、11月16日に豪州に立ち寄り、モリソン首相と会談しているが、
その時に発出された共同プレス声明にも、WTOの改善が盛り込まれた。
ということは、これらの段落に反対しているのも、中国ということだろうか。
パプア・ニューギニアは、APEC首脳会議が始まる前、中国の習近平総書記を国賓として厚遇した。
しかし、オニール首相は、APEC首脳会議では、あくまで議長としての中立を守り、中国の圧力に屈せずに
、多国間会議を取り持った。自由で開かれたアジア太平洋の一員として、小国ながら踏ん張った。
中国は、相当、いらいらしていたようで、それをロウギンは、「癇癪外交」と名付けた。
参考:外務省「APEC2018」平成30年11月18日、Josh Rogin ‘Inside China’s ‘tantrum diplomacy’ at APEC’ Washington Post, November 20, 2018