中国海警、軍移行で活発 尖閣周辺、荒天でも活動 海保、石垣島に新型船
2019.6.14 08:37
石垣島に配備が見込まれる海保最大級のヘリコプター搭載型巡視船と同型の「れいめい」(海上保安庁提供)
海上保安庁が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海警備をめぐり、石垣島(同市)に最大級の
巡視船を配備する見通しとなった。尖閣周辺海域で過去最長の連続確認日数を更新し続けている
中国海警局(海警)の公船に対し、有事対応を強化するためだ。海警の公船が存在感を増した背景には、
軍最高指導機関、中央軍事委員会傘下の武装警察部隊に編入され、軍事組織として確立したことが
あるとみられる。(加藤達也)
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日本政府は最近、尖閣周辺での海警の活動について、ある変化を把握した。以前は波高が
2メートル程度になると航行を中止し、尖閣周辺を離脱して帰港していた海警の船が、最近は荒天にも
洋上で待機し、静まるとすぐに活動を再開するようになったというのだ。
海保関係者は行動形態の変化について「海警が治安機関から軍事組織に移行し、指揮命令系統が
本格的に機能し始めたことがある」と分析する。海警は昨年7月、武装警察部隊に編入。現在は
6人の幹部のうち上位5人を軍人が占めるなど、この1年で人事、組織が完全に「軍」に改変された。
自衛隊関係者は尖閣をめぐる海警の活動について、「領有」を主張する「示威」の段階を過ぎ、
日本側の対応能力を試しつつ、船隊陣形を確認することで作戦能力の向上を図っている可能性を
指摘する。
重点を「軍事」に移した海警は今後、夜間、悪天候など条件を変えて領海侵入や接続水域航行を
「訓練」として繰り返す可能性があり、日本側の対応も一層、難しくなる。
海保幹部は緊張感を高めている。