朴槿恵氏よりもっと可哀そうな(?)次期大統領
2017年03月08日16時23分 中央日報
朴槿恵(パク・クネ)大統領に奇跡が起こるのは容易ではない。憲法裁判所が下した婚姻憑藉姦淫罪・姦通罪・死刑制度・堕胎禁止・
首都移転・金英蘭(キム・ヨンラン)法など主な判決には共通分母がある。裁判官の傾向よりも一般国民の世論に忠実したという点だ。
最近、世論調査で弾劾賛成が77%にもなっている。
弾劾が棄却されても大統領の役割を全うすることができるか疑問だ。保守政治家から否定的立場を見せている。洪準杓(ホン・ジュ
ンピョ)慶尚南道(キョンサンナムド)知事は「国民は大統領がどうしてあのように乱雑な人々と付き合う女〔崔順実(チェ・スンシル)被
告〕に人事について相談し、政策を尋ねたのだろうか、怒っている」と述べた。正しい政党の金武星(キム・ムソン)議員は「大統領らしく
ない行動を散々してきた」とし「本人もみじめな最後を迎えるかもしれない」と批判した。
現在の構図を見れば、次期大統領選は野党に圧倒的に有利だ。特に文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表には黄金構図
だ。何より朴大統領が保守陣営を完全に壊滅させたからだ。これに民主党は左右が活発に活動して幻想のチームプレーを見せてい
る。左側では李在明(イ・ジェミョン)城南(ソンナム)市長が猛活躍して正義の党は存在感が薄くなった。右側には安熙正(アン・ヒジョ
ン)忠清南道(チュンチョンナムド)知事が国民の党と正しい政党まで確かに牽制している。文前代表にとっては花見劫に他ならない。
問題は、今後5年間、次期大統領が花道を歩くより勝者の呪いにかかるかもしれないということだ。最初の“苦難の行軍”は韓米FTA
再交渉だ。米トランプ政府は「FTAのために対韓国輸出は12億ドル(約1364億円)が減少し、韓国の対米輸出は130億ドルが増え
た」として再交渉の圧力をかけている。野党は過去の発言で困難を強いられている。文前代表は2012年、「韓米FTAは差交渉を通じ
て不利益を正す」と公言した。だが、今の韓国ははるかに不利な立場だ。再交渉で不利益を正すどころか、元が取れたら幸いだ。
戦時作戦権の返還も同様だ。自主国防と戦作権の早期返還は親盧陣営の従来からの考えだ。韓米連合司令部の解体、駐韓米軍
縮小など連鎖反応を引き起こす敏感な問題でもある。だが、米大統領選を行ってから両国は名分や感情に振り回されている雰囲気
だ。米国のトランプ氏は国内総生産に比べて2.4%余りの韓国国防費を米国水準(4.3%)に引き上げるように呼びかけている。ま
た、韓国が戦作権を要求する場合「トランプ氏は『望むならすぐにでも持っていけ』という可能性が大きい。彼は衝動的・反射的傾向が
強い」(ムン・ジョンイン教授)。最近、米外交専門誌フォーリンポリシー(FP)も「(進歩出身の次期大統領が要求すれば)韓国はいかな
る争いもなく米軍を撤収させることができる」として駐韓米軍撤収の可能性まで示した。
何より難しいのは経済問題だ。まず、人口分布を見れば25~29歳は年齢別に平均63万人程度だ。だが、20~24歳は平均70万
人にもなる。今後5年間、より真っ暗な若者失業の崖が待っているわけだ。国際通貨基金(IMF)の李昌ヨン(イ・チャンヨン)アジア・太
平洋局長は「韓国は今後10年間、3%台の着実な成長を遂げるべきだ」と強調しているが、次期候補の間で構造調整と規制緩和の声
は聞こえていない。
直ちに金融から不安だ。連邦準備制度(FRS)は「最近、悪い経済指標がない」として来週を基準に利上げを予告した。FRSが昨年
12月に1年ぶりに基準金利を0.5~0.75%に上方修正したことに続き、今回はわずか3カ月で基準金利を引き上げるということだ。
韓国銀行も「予想より米基準金利の引き上げ速度が速い」と慌てている様子だ。今のままならFRSは今年3回にわたって基準金利を
引き上げ、年末に韓米基準金利が逆転する可能性もある(韓国1.25%)。
韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁は「米国の利上げに機械的に反応しない」と強気に出た。だが、韓米基準金利は2回だけ逆転
したことがある。1999年6月~2001年3月と2005年8月~2007年8月だったが、当時、外国人資金が引き潮のように流出して韓
銀は仕方なく金利を引き上げた。その時、韓米金利の高空行進の後遺症となったのがカード大乱と米サブプライム住宅ローン問題
だった。
金利が上がれば、借金の逆襲が始まる。すでに家計融資は1344兆ウォン(約133兆4432億円)に上っている。低い信用の多重
債務者146万人から危険に陥ることになる。3年連続で利子補償倍率が1未満の「ゾンビ企業」3278社が破産に追い込まれ、不動産
市場も揺れる。韓国経済が総体的に厳しい局面に直面するわけだ。
もしかしたら次期大統領は積弊を除去する前に積弊に踏み付けられ息が詰まるかもしれない。忍びに野党の「コード人事」との敵・味
方を分けることが復活する兆しも不吉だ。この前、某メディアの報道本部長出身がソウル市政務副市長に内定したところ「なかったこ
と」になった。出勤直前に進歩団体が「どうして反逆者に重要な地位を任せるのか」と非難したわけだ。勝者の呪いに、すでに紅衛兵の
影までちらつくなら、並大抵のことではない。