中国、北朝鮮にミサイル・核実験の停止を提案
2017/3/8 15:24 BBC
中国の王毅外相は7日、北朝鮮に対して「迫りくる危機を回避するため」ミサイルや核開発の実験を停止するよう提案した。
現在北京で開かれている全国人民代表大会(全人代=国会)に出席した王氏は、北朝鮮がミサイル実験などを停止する代わりに、米国と韓国が合同軍事演習を止めることができると語った。
朝鮮半島での有事を想定した合同軍事演習は定例となっているが、北朝鮮は毎回、強く反発している。
北朝鮮は6日早朝に日本海に向けて弾道ミサイル4発を発射させた。国営朝鮮中央通信は翌日、ミサイル発射は在日米軍基地を標的として想定していたと伝えた。
ミサイル発射を受けて米国は、韓国で地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」の配備を始めた。
王外相は朝鮮半島情勢について、「2つの列車がお互いに向かって加速しながら走り、どちらも譲る意思がない」ような状態にたとえ、「お互い本当に衝突するつもりなのか」と懸念を示した。
王外相は、双方による軍事活動の停止が、緊張を和らげ交渉を再開する最初の一歩になると述べた。
6日に発射されたミサイルのうち3発が日本の排他的経済水域(EEZ)内に落ちたことを受け、安倍晋三首相とドナルド・トランプ米大統領は、「脅威は新たな段階になっている」との認識で一致している。
国連安全保障理事会は全会一致でミサイル発射を強く非難し、国際的な義務の深刻な違反であり、地域の安定を脅かしていると述べた。
8日も会合を開く予定の安保理は、北朝鮮に対して「さらに重大な措置をとる」と警告し、新たな制裁を科す可能性を示唆した。
一方、米国は、韓国内のTHAAD配備に対する中国の反発の鎮静化に努めている。
THAADは北朝鮮のミサイル攻撃から韓国や在韓米軍を守るのが目的。7日には、THAADの一部が運びこまれた。
オバマ前政権時代に米韓が合意したTHAAD配備をめぐっては、中国や韓国で反対する動きが出ていた。
THAAD配備地域の住民は、攻撃の標的にされる可能性を懸念している。また中国は、THAADのレーダーは防衛目的を越えた機能を持ち、米国の軍事力が地域に侵入しているのを示していると主張し、「我々の安全保障を守るため、必要な措置を断固としてとる」と述べた。
米国務省のマーク・トナー報道官は7日の会見で、THAAD配備について、「中国やそのほかの主要国にとっての脅威にする意図はなく、実際に脅威ではないことは、我々と中国との対話ではっきりさせている」と述べ、中国の懸念を和らげようとした。
トナー報道官は、北朝鮮による「挑発的な行動や行為」に対応するため、米国は地域の関係国に「積極的に連絡を取っている」と語った。
同報道官はさらに、ティラーソン国務長官が来週、韓国と日本、中国を初訪問する際に、北朝鮮について協議すると述べた。