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中国政府の安邦保険「管理」、債務つぶしの第一歩  / 後始末は誰の手に?

2018-02-28 10:00:10 | 中国・中国共産党・経済・民度・香港

中国政府の安邦保険「管理」、債務つぶしの第一歩


 中国の安邦保険集団は何もないところから出発し、瞬く間に「大きすぎてつぶせない」企業となった。これは中国の金融市場の

問題がどれだけ急速に膨らみ、どれだけの後始末がまだ残っているのかを物語っている。

中国政府は23日、安邦を直接的な管理下に置くと発表した。同社は斬新な投資商品を販売し、積極的な買収を繰り広げてきたが、

昨年夏には債務問題解決に受けた取り締まりが進む中で呉小暉会長(当時)が逮捕されていた。


 今後、同社には公的資金の注入を含めた資本増強策が施される可能性が高い。中国の経済誌「財新」は昨年4月、安邦のバランス

シート上の損失が2兆元(約34兆円)と報じていたが、後始末にかかるコストの総額は不明だ。


 当局が発表した1年間にわたる安邦の「管理」は、中国にとって好ましい動きと誤解されたかもしれない。金融機関の株価は上昇した。

投資家は経済全体を損なわずに金融危機を表面上食い止められたことを歓迎したかもしれないが、そんなに楽天的であってはならない。

 

 安邦は海外で買収攻勢を強め、米ニューヨークの名門ホテル「ウォルドーフ・アストリア」に大枚(米国史上最高金額である19億

5000万ドル(約2164億5000万円)で購入)をはたいた。こうした動きを支えたのは、大胆にレバレッジを効かせた高利回り

投資商品を個人投資家へ販売する事業だ。金融システムのレバレッジ解消を目指す

中国政府は2017年、「理財商品」と呼ばれるこの種の投資商品の取り締まりに乗り出した。安邦にとっては最大の資金源が絶たれた

格好だ。


2014年、安邦保険集団が買収した米ニューヨークの最高級ホテル「ウォルドルフ・アストリア」


 安邦と理財商品に対処するだけで中国の債務問題が片付くわけではない。理財商品や債券は投資対象としての勢いが衰えた半面、

中国企業は信託融資や簿外取引で行われる企業間の委託貸付など、かつて人気のあったノンバンク融資に戻っている。


 ノンバンク融資は15年と16年にそれぞれ4%しか増加しなかったが、昨年は15%の伸びを記録した。債券や株式の発行総額も

依然として高水準にある。


 しかし安邦と理財商品市場を抑え込んだ当局が、今度はその他のクレジット商品にも目を光らせ始めている。


 企業間貸し付けの監視強化が発表された後の1月、こうした融資の伸びは少なくとも12年以来の低水準に落ち込んだ。融資総額の

増加率も急激に鈍化している。信用に依存した経済では、信用創造が減速すれば、やがて成長も鈍る。


 安邦の囲い込みには成功したかもしれない。だが金融に中国経済の大部分を浸食させてしまったことのコストを全て清算するまでの

道のりは遠い。


安邦生命 呉会長の妻は、元国家主席である故・鄧小平の孫娘。、習近平の敵対勢力である共産党内の江沢民派とも近いとされる。

株主も習近平の敵が多く、呉氏は江沢民派の金庫番の役割をしていました。

安邦生命の会長呉氏は、金融機関の腐敗にメスを入れた習近平に潰されたと言われています。現在会長は「経済犯罪の疑い」で起訴されている。

安邦生命が中国政府の管理下に入った為、買収した名門ホテル「ウォルドーフ・アストリア」は中国政府の手中に。

傘下のストラテジックホテル&リゾート、JWマリオット・エセックス・ハウス、ワシントンのフォーシーズンズホテルも中国の管理下に入ります。

米不動産大手ブラックストーン・グループが現在、ウォルドルフ・アストリアを買い戻すことを検討。

 

中国の安邦保険、後始末は誰の手に?

2018 年 2 月 27 日 09:39 JST   THE WALL STREET JOURNAL

――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」

*** 

 中国政府は安邦保険集団という3200 億ドル(約34兆円)規模の厄介ごとを引き取った。問題は、政府がその後始末にどの大企業を

利用するかだ。


 中国は先週、多額の負債を抱え、資産を野放図に膨らませた複合金融グループ、安邦保険を公的管理下に置いた。

10年前に経営破綻の瀬戸際にあった米保険大手 アメリカン・インターナショナル・グループ (AIG)の中国版といってもよいかも

しれない。ただ、その救済策はかなり違う手法になりそうだ。


 資産規模2兆元(約34兆円)の安邦保険は資金繰りに窮する手前だったため、中国政府は同社を完全に管理下に置く必要があった。

安邦は保険商品を装っているものの、実は短期・高利回りの投資商品である貯蓄型生命保険の販売で急拡大したが、この種の商品の

取り締まりは昨年、強化された。 クレディ・スイス によると、こうした保険の多くが今年、満期を迎える予定だ。その販売で得た

収入はより長期の資産に投資されており、支払い義務が履行できなくなるのは目に見えていた。安邦が代わりの資金源を見つける

すべはなかった。


 政府の管理下に置かれたという事実から、安邦の資産で支払い義務をカバーできないのは明らかだ。さらに不都合なのは、資産が

あまり流動的でない点だ。同社の資産にはベルギーと韓国の同業やニューヨークの名門ホテル、ウォルドーフ・アストリアなどがある。

このホテルは大掛かりな改修を実施中だ。こうした外国資産の多くは、中国政府にとっては戦略的な価値がなく、売却されるはずだ。


 さらに懸念されるのは、金融・不動産セクターにまたがる安邦保険の国内資産だ。同社は上場企業の株式を少なくとも2000億元相当、

保有している。中国民生銀行の株式2割弱、招商銀行株1割超、不動産開発業界では遠洋集団の株式3割、金地集団株2割などだ。

 

 中国政府が安邦を公的管理化に置いたことで、資産の投げ売りを回避できる見込みが出てきた。安邦は23日付の証券当局への

届け出で、これら企業の一部に対して持ち分の削減計画を最近立てたことはないと通知したと明らかにした。ただゆくゆくは一部を

処分する可能性がある。売却先は同業他社になりそうだ。

 

 

 

 政府の後ろ盾のある国有銀行は安邦に融資し、その場しのぎに手を貸す可能性がある。だが民間企業もやむを得ず救いの手を差し

伸べそうだ。中国保険当局は、安邦に民間資本を導入する意向を示している。

 

 

 

 潤沢な手元資金を持ち、中核事業が黒字でオフショア資金を利用しやすいインターネット大手の アリババグループ と テンセント

ホールディングス も支援候補だ。この両社は先ごろ大連万達集団の資産を取得した。万達も積極的な資産買収が当局の注意を引いて

いた。

 

 

 

 アリババとテンセントは安邦の後始末で政府を手助けすれば、点数を稼げるだろう。両社は圧倒的地位を誇るモバイル決済に

とどまらない金融サービス事業の拡大を目指している。

 

 

 

 ただ、アリババとテンセントが支援に乗り出した場合、両社の株主がほうきを握ることになる。