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<人工肉時代 ⑤>代替肉は「うまみ」のある新ビジネス? 大手も続々参入

2019-06-17 13:47:35 | 食べ物・食の安全

代替肉は「うまみ」のある新ビジネス? 大手も続々参入

2019年6月17日 8:26 発信地:ニューヨーク/米国     AFP

【6月17日 AFP】植物性の「肉」は、もはや食品業界の異端ではない。スーパーでの売れ行きも良く、

ファストフード・チェーンや食品企業で注目商品となっているだけではなく、ウォール街の投資家らの

人気も集めている。

 

 米金融大手JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)は、植物性肉の市場規模は15年以内に

優に1000億ドル(約11兆円)を超えると推計している。

また、英大手銀バークレイズ(Barclays)は、10年以内に世界で販売される肉全体の約10%、

最大1400億ドル(約15兆円)相当を「代替肉」が占めると試算している。

 

 大手飲食店チェーンではバーガーキング(Burger King)が今年4月から、同社の看板商品である

ハンバーガー「ワッパー(Whopper)」のベジタリアン版を試験販売しており、

マクドナルド(McDonald's)もドイツで肉不使用のバーガーを投入した。

米ケンタッキーフライドチキン(KFC)は肉を使わないメニューを検討中だ。

 

 もちろん代替肉自体は目新しいものではない。だが、食品業界のスタートアップ企業や成長中の

企業はより新しいテクノロジーを活用し、本物の肉の味や食感などを徹底的に再現しようとしている。

それと同時に、環境や動物保護の観点、あるいは健康上の理由から植物性肉の食品を選ぶ消費者も

いっそう増えている。

 

 代替肉メーカーとしてよく知られているベンチャー企業、インポッシブル・フーズ

(Impossible Foods)やビヨンド・ミート(Beyond Meat)は、時に急増する需要に応えるのに

苦心するほどで、ウォール街の投資家らもその潜在性を有望視している。

 

 インポッシブル・フーズのインポッシブル・バーガー(Impossible Burger)はすでに米国と

アジアの飲食店計7000軒で販売されている。評価額20億ドル(約2200億円)の同社は最近、

3億ドル(約320億円)を調達した。

 

■大手も続々参入

  食品大手ではスイスのネスレ(Nestle)が4月、欧州で大豆、小麦、ビートルートなど植物の

抽出物を主原料とした「インクレディブル・バーガー(Incredible Burger)」の販売を開始した。

同社は今秋には米国で、エンドウマメを主原料としたベジタリアン向けバーガー「スイートアース

(Sweet Earth)」の発売を計画している。

 

 欧州食品・日用品大手ユニリーバ(Unilever)も昨年、植物性肉専門ブランド

「ベジタリアンブッチャー(Vegetarian Butcher)」を立ち上げた。同社は「世界一の植物性肉

ブランド」を目指すとしている。

 

 米食品大手ケロッグ(Kellogg)はベジタリアン食品部門「モーニングスターファーム

(MorningStar Farms)」を通じて、1970年代から代替肉市場で存在感を発揮している。

 

 急成長する業界で積極的に事業展開している企業にはこの他、自国でベジタリアン・バーガーを

立ち上げたブラジル食品大手JBSや、ビヨンド・ミートに出資したことがあり、現在は自社で

植物性肉製品の販売を計画している米タイソン・フーズ(Tyson Foods)などがある。

 

 動物性食品の代替製品を推進する「グッド・フード・インスティテュート(Good Food Institute)」

によると、2018年の代替肉の販売額は前年比23%増と急成長している。

だが、食肉市場全体ではまだ1%にすぎず、ミルク市場の13%を大豆やアーモンド、ココナツなどを

原料とした非乳製品が占めることに比べればまだまだ及ばない。

 

■投資家らが警告するリスク

  代替肉市場は大きな潜在性を秘めているが、アナリストらは業界が直面している不確定要素を

見失ってはいけないと警告している。

 

「リスク要因はいくつかある。例えば、消費者の舌にアピールするために添加物を使用している

製品は結果的に、うたっているよりも健康的ではなかったりする」とバークレイは指摘している。

 

 バークレイがもう一つ指摘しているのは、マーケティングに関して「規制による制約を受ける可能性」

だ。例えば、米国では畜産業団体が、「肉」という単語の使用を動物性食品に限定するよう

政治家らに働き掛けている。

 

 また、JPモルガンは、新興企業には常にリコールによって混乱が生じるリスクがあると警告している。

より大きな企業、多様な企業がこぞって市場に参入し、存在感が増すことにより、そうした過誤が

起こった場合の影響が増幅される可能性があるという。

 

  
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